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サードパーティクッキーとは。規制理由と想定される影響を紹介
2024 / 08 / 23
サードパーティクッキーは異なるWebサイト間のユーザーの行動を追跡できる仕組みですが、すでに規制が始まり、近く廃止が予定されています。なぜ廃止されるのか、今後業務に影響するのか気になっている方もいるでしょう。そこで今回は、サードパーティクッキーの仕組みや規制理由を解説します。今後クッキーの扱いがどうなるのかも含め、想定される影響もあわせて確認しておきましょう。
サードパーティクッキーとは
サードパーティクッキーとは、ユーザーが訪れたWebサイトとは異なるドメイン(第三者ドメイン)から発行されたクッキーです。Webサイトに掲載されている広告のサーバーから発行されます。クッキーとは、ユーザーの行動を小さなテキストファイルでブラウザ内に一時保存する仕組みです。Webサイトを訪問した際や、Webサイトで何らかの情報を入力した際に、アクセスしているサーバーから付与されます。再訪問時には自動的にブラウザからデータが送信されてサーバー上のユーザー情報と照合され、同一ユーザーであることを判断しています。
クッキーには、訪れたWebサイトが発行するファーストパーティクッキーもあります。
ファーストパーティクッキーは、発行元サイトでのみ機能するクッキーです。ユーザーの詳細情報を取得できるため、ユーザーの利便性を高めるために活用されています。
ユーザーが発行元サイト上で入力したIDやパスワード、個人情報、閲覧履歴などを保持でき、ショッピングカート機能や自動ログイン機能などを実現しています。
一方、サードパーティクッキーはサイトをまたがるWeb上の行動履歴を収集(トラッキング)するもので、主に広告をはじめとするマーケティングに活用されます。
サードパーティクッキーはどのように利用されてきたか
サードパーティクッキーは、異なるドメイン間のユーザー行動を広く収集可能です。そのため、主に行動追跡が必要な広告に活用されています。Web広告の効果測定
Web広告では、サードパーティクッキーを用いてコンバージョンを測定しています。広告のドメインから発行されたクッキーの有無で、どの広告からどのような経路でコンバージョンに至ったかを判断でき、広告効果の分析が可能になります。リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、一度自社サイトにアクセスしたユーザーに対して自社広告を配信する仕組みで、離脱後も追跡してユーザーにアプローチできます。さまざまなWebサイトの広告枠に過去にアクセスしたことのあるWebサイトの広告が表示されるのは、リターゲティング広告によるものです。自社のことを思い出してもらうきっかけになるため、通常のWeb広告よりも高いコンバージョン率を期待できます。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは、広告経由で商品の購入や資料請求などの成果が発生した際に、広告掲載者に報酬が発生する成果報酬型広告です。Webサイトやブログなどに掲載した広告からLPに遷移する際にサードパーティクッキーを利用して、どの広告を経由してアクセスしコンバージョンに至ったかを把握します。
アトリビューション分析
アトリビューション分析とは、コンバージョンに直接つながった広告だけでなく、それまでにユーザーが接触した広告やページを計測して、間接的な貢献度を分析する手法です。計測する際に、サードパーティクッキーを利用してユーザーの行動履歴を収集しています。
サードパーティクッキーの規制理由
サードパーティクッキーは、プライバシー保護の観点で問題視されています。ユーザーが把握していないところで閲覧履歴などの情報を収集できるので、個人情報が第三者に漏れているとも考えられるためです。そのため、サードパーティクッキーの利用は世界各国で法的に規制されるようになりました。利用時にはユーザー同意を必須とするほか、ブラウザ側でもブロックするといった対策が取られています。
すでにSafariでは完全に廃止され、Firefoxでは初期設定で規制、ChromeやEdgeでも段階的な廃止が進められています。シェアの高いブラウザにおいて廃止されれば、実質的に利用できなくなるでしょう。
【サードパーティクッキー】規制によって生じる主な影響
サードパーティクッキーの規制により、広告やクッキー利用にさまざまな影響が生じます。特に注意が必要になるのが、以下の3つです。コンバージョン計測の精度低下
サードパーティクッキーが規制されると、広告のクリックや表示によって発行されるクッキーが読み込まれません。ユーザーがコンバージョンに至った経路や、コンバージョンにつながった接触ページなどを取得できないため、正確なコンバージョン計測が難しくなります。リターゲティング広告の配信不可
リターゲティング広告は、サードパーティクッキーを利用してユーザーを追跡して行動履歴をもとに広告を配信しています。サードパーティクッキーが規制されると、行動履歴を取得できなくなるため、的確な配信が難しくなります。ファーストパーティデータの活用へのシフト
サードパーティクッキーの規制により今後活用が進むと考えられているのが、自社が顧客の同意を得て取得を行うファーストパーティデータです。ファーストパーティクッキーによるWebサイト内での行動履歴や、企業自身が保有する個人情報や購入履歴などの情報は、第三者が関与していないため、個人情報保護の観点での問題が発生しません。その上、自社が直接取得した情報で信頼性が高いため、マーケティングの精度向上も見込めます。
企業はサードパーティクッキーに依存しない体制構築が必要
サードパーティクッキーはアクセス解析や広告配信などに広く活用されてきましたが、規制は進んでおり、いずれ主要ブラウザでは利用できなくなります。今後サードパーティクッキーに依存しない体制を構築するために、代替技術への理解を深めておきましょう。サードパーティクッキーに代わる技術として下記があげられます。
デバイスフィンガープリンティング
ユーザーの使用端末やOSおよびブラウザ、IPアドレス、画面解像度など、属性の特徴から同一デバイスと判断して追跡を行う技術。リターゲティングなどにも活用できるものの、サードパーティクッキー同様に個人情報保護での問題が指摘されており、個人の特定を困難にするための制限も導入され始めている。広告識別子
Android OSを対象としたAAID(Google Advertising ID)、iOSを対象としたIDFA(Identifer For Advertising)を利用して、ユーザーの行動を追跡する技術。個人情報の特定はできない。Google Topics API
サードパーティクッキーを使用せず広告や測定を行う、Googleプライバシーサンドボックスのひとつ。ユーザーの閲覧履歴に基づいて選定された、関心が高いと思われるトピックの情報を広告配信に利用する仕組みで、第三者は介在せず、行動の追跡も行わない。このほか、ファーストパーティデータの活用に向け、SNSやコンテンツマーケティングなどの広告に頼らないマーケティングの展開、閲覧Webサイトの内容をもとにしたコンテキスト広告の利用、オフラインでのデータ収集も有効な選択肢です。自社に合った対策を考えておきましょう。