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- グローバルコラム
シリーズ アジアを知る (1)インドネシア~急激に都市化が進む若いパワーあふれる国~
2016 / 02 / 23
#経済成長,#消費市場,#SNS,#携帯 スマートフォン,#メディア
イントロダクション
「インドネシア」という名前は、「インドの」を意味するラテン語のインダス(Indus)と、「島」を意味するギリシャ語のネソス(nesos)に由来している。インドネシアは、もともとはインド諸島または東インド諸島と呼ばれていた。インドネシアの歴史は、その地理的な位置、天然資源、人々の移住や交流、戦争と征服、そして貿易や政治経済によって形作られてきた。
この国固有の地理、そして歴史の結果として、インドネシア国内には300以上の民族が住んでいる。多くのインドネシア人は、自分がインドネシア人だと考える前に、まず自分の民族や文化的集団から自分のことを捉えようとするかもしれない。
経済
近年は減速傾向にあるが、インドネシアの成長軌道は依然として印象的なものである。この国の国民一人あたりの総所得は着実に上昇してきており、2000年には560米ドルであった総所得は、2014年には3,650米ドルにまで成長した。 今日、インドネシアは世界で4番目に人口の多い国であり、購買力平価において世界10番目の経済規模を持つ。また、G20(主要20ヵ国財務相・中央銀行総裁会議)のメンバーでもある。貧困は大幅に削減されてきた。1999年以降、貧困率は半分以下となり、2014年には11.2%となった。
インドネシアにおいて海外直接投資で最も関心の高い分野は、鉱業分野、輸送や保管、遠距離通信、金属・機械・電子産業、そして自動車その他の輸送用機器である。
インドネシアへの最も活発な投資者はシンガポール、日本、韓国、そしてアメリカで、その投資は主にジャワ、ジャカルタ、バンテン、東ジャワ、東カリマンタンの5つの地域に集中している。
メディア・コミュニケーションの現状
インドネシアのメディア規制体制は比較的オープンなため、初期には非常に多くのメディア企業が誕生した。しかし、多くの開放的な市場の場合と同様に、それらは最終的に商業的な統合が避けられない状態に達した。携帯電話の人気やソーシャルメディアの急速な広がりと同様に、テレビも広く行き渡っていることもまた、インドネシアをアジアにおける最も大きな広告市場の1つにしており、国内外の広告代理店は複数のチャンネルで様々な広告を提供している。
・ モバイルおよびインターネットの普及
インターネットと携帯電話の普及の成長は、すべての通信技術の中でも得に劇的である。2005年には、有線接続のインターネットにアクセスできるのはインドネシア人の5%未満であったが、2012年までにその数は32%にまで膨らんだ。
スマートフォンは主要都市で人気となった。これにより、多くの人々は移動中にインターネットベースの通信アプリケーションを使用できるようになった。 ほぼすべての大人が携帯電話を所有している。実際、多くの人々は、同一ネットワーク内での安い通話通話料金の恩恵を得るために、また電波の受信範囲を最大化するために、SIMカードを2枚以上所有し、接続先のネットワークを使い分けている。
ITU(国際電気通信連合)によると、2011年末におけるインドネシアでの携帯電話のアクティブ回線数は2億3,700万回線であった。これにより、携帯電話の普及率は98%となった。
インターネットは、主に都市部中流クラスの教育を受けたインドネシア人が利用している。ITU(国際電気通信連合)によると、2011年のインターネット利用は人口のおよそ18%であった。
インドネシアの若者層は、インターネットに接続するためにスマートフォンやBlackberryのようなモバイル機器をますます使用するようになっている。
・ ソーシャルメディア
インターネットに接続できる人々は、TwitterやFacebookのようなソーシャルメディアで非常にアクティブな傾向が見られる。
インターネットは、インドネシア人の多く、とくにこの国の若者にとって、ニュースや情報を求める場所となっている。インターネットはまた、彼らが意見を述べたり、他者と交流したり、ブログを通じて情報発信したりする場所でもある。
インターネット分析サイトAlexaによると、www.Blogspot.com、www.wordpress.com、www.Blogger.comなどの情報発信サイトは、インドネシアにおけるアクセス数トップ20のサイトに含まれている。
Alexaによると、Facebookはインドネシアで最も閲覧数の多いウェブサイトであり、2位のGoogleを上回っている。
別のインターネット分析サイトsocialbakersによると、インドネシアのFacebookユーザーは2012年の10月でおよそ5,000万人である。これは、インドネシア人の5人に1人がFacebookのアカウントを持っていることになる。
進化し続けるインドネシアの消費者
インドネシアの人口は若く、急速に都市化し成長しているため、インドネシアは世界でもとりわけ成長の早い消費者市場となっている。コンサルタント会社McKinsey&Companyによる都市部と農村部の人口を対象とした2014年の調査レポートによると、およそ合計7,000万人もの消費者集団が、自分たちの将来について楽観的であり、その消費パターンや製品選択がますます洗練されたものになってきていることが示されている。
都市部5,500万人、農村部1,500万人のインドネシア人が消費階層であり、商業的に最も魅力的な階層である。
この急成長する消費階層のニーズや顕在化する態度を理解することが、インドネシアに活動範囲を広げようと考えている企業にとっては非常に重要なものとなるだろう。
資料:
· http://www.worldbank.org/en/country/indonesia/overview
· http://www.cariasean.org/asean/economy-profiles/indonesia-economy-profile/
· https://www.opensocietyfoundations.org/sites/default/files/mapping-digital-media-indonesia-20140326.pdf
· http://www.cdacnetwork.org/tools-and-resources/i/20140613150126-afpsq
· http://www.nielsen.com/ph/en/insights/news/2014/asian-mobile-consumers.html
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