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- グローバルコラム
インドネシアの携帯電話事情
2014 / 07 / 08
誰もがスマートフォンユーザー
手に握られているのは立派なスマートフォンで、機種はiPhone、BlackBerry、Galaxyと様々です。驚くのは、給与が月に3万円ほどの若い会社員と見える人や、さらに収入が低い(月に2万5千円程度)と思われるレストランの従業員、運転手なども一様に立派なスマートフォンを持っていること。そもそもインドネシアは、一人当たりのGDPが3500ドル程度の「新興国」と呼ばれる国の一つであり、町中で高価なスマートフォンを持つ人が多く見られるのは不似合いに思えるのです。インドネシアでスマートフォンがこれほどまでに支持されているのはなぜなのでしょうか。SNSはすでに日常の一部
インドネシアのFacebook利用者は、アメリカに次ぐ多さで世界第2位と言われています。インドネシア人のインターネット使用率は驚くほど高く、SNSで友人の近況を確認し、オンラインショップで買い物をし、メッセージアプリを使って連絡を取り、新製品やレストランの口コミをFacebookや画像共有アプリであるInstagramでシェアしたり、入手したりするのが日常生活の一部となっています。この「日常」を続けるためにスマートフォンは必須アイテムというわけです。これらのインターネット上の情報は、もちろんパソコンを使っても入手できるわけですが、スマートフォンが急速に普及したのに対し、家にパソコンインターネット環境がある人は非常に少ないのがインドネシアの現状です。パソコンを所有し、日本と比較して安くないプロバイダー料を払うのは、そうそう誰にでもできることではありません。また、通信インフラ設備がしっかりしていないため、少し郊外に行くと屋内までインターネット設備が引かれていない地域がまだまだ多いことも、インターネットを携帯電話で利用する人が多い理由の一つです。
低価格端末、低価格インターネットパッケージの出現
次に、低価格の機種や中古携帯電話が一般的に市場に出回ったことで、いろいろな層の人が手に入れることができるようになったことも、スマートフォンが支持されるようになった理由の一つと考えられます。つい最近まで、5万円ほどしていたスマートフォンですが、高価なスマートフォンが主流であったころは中古携帯がかなり市場に出回っていました。しかし最近は低価格のスマートフォンが販売されるようになり、新品も手に入りやすくなっています。インドネシアで絶大な支持を得ているBlackberryは、インドネシアの首都の名前を冠したJakartaという名前の廉価版最新機種を、2014年の5月から一台2万円ほどで販売しています。第3に、携帯でのインターネット使用料が一日単位で支払えることも、スマートフォンのある生活が人々の「日常」になりえた理由の一つでしょう。プロバイダーにもよりますが、携帯電話利用のネット使用料は一般的にひと月千円前後です。日本と比べると破格の値段設定ですが、インドネシアでは誰にでも払える金額ではありません。そこでプロバイダー各社は数十円からの1日パッケージ、少し余裕がある人のための7日間パッケージなどを売り出しており、使いたいときにだけ使える短期間パッケ−ジとして多くの人に支持されています。
選挙戦でSNS活用
人と人のつながりが濃いインドネシア人にとって、定額制のインターネット・チャットアプリがウケたことも、スマートフォン普及促進要素の一つといえるでしょう。友人との連絡はもちろん、家族、親戚同士の連絡もチャットアプリで行われるのが普通です。家族の近況、誕生会の様子…等が写真付きで人々の間を飛び交います。そのため、スマートフォンは若者だけでなく、幅広い年代の人々に利用されるようになっています。このインターネットの幅広い普及を受け、今年7月に大統領選挙を控えるインドネシアでは、各候補者がSNS上に特設ページを開いたり、支援者たちがファンページを開いたりして激しい選挙戦が行なわれています。SNSは候補者が直接有権者に自分を伝える場として、そして国土の広いインドネシア中に簡単に自分を宣伝する場として積極的に活用されています。
経済成長を続けるインドネシア。中流層が今後増えていくにあたり、スマートフォンの所有率もさらに高まることが予想されます。今後人々とインターネットの関係はどうなっていくのか、動向が大いに注目されます。