インドネシアで小型車はエコ? | リサーチ・市場調査・マーケティング

グローバルコラム
2014/9/24

インドネシアで小型車はエコ?

インドネシアで小型車はエコ?

年々豊かになるインドネシアの人々の生活

 「ジャカルタの町の印象は?」とジャカルタを訪れた人に尋ねると、大抵の人が「渋滞がひどい」ことをあげます。よくいえば活気があると言えるのでしょうが…ジャカルタはメインの大通りから、町中を走る小さな路地までが四輪車・二輪車で埋め尽くされています。2013年、四輪車は122万台、二輪車は774万台が販売されました。毎年、ものすごい勢いで車道を走る乗り物が増加しています。「渋滞がひどい」という印象を与えてしまうのは仕方のないことなのでしょう。現在東南アジアの中ではタイが一番の販売台数を誇っていますが、そんなタイをインドネシアが追い抜く日はそう遠くないといわれています。

 インドネシアの人々の生活は年々豊かになってきています。州によってばらつきはあるものの、2014年の全国の最低賃金の上昇率の平均は17%、首都であるジャカルタの上昇率は11%でした。人々は「来年もきっと給与は上がり生活も良くなるはずだ。」と希望を持っており、調査会社などが発表する消費者信頼感は東南アジアでいつもトップの水準です。

インドネシアのエコカー政策

 購買意欲の高い消費者が多いインドネシアですが、国産車がなく自動車は一般市民にとって高嶺の花。購入意欲があっても予算が合わずほとんどの人は二輪車を使用していました。 そこで政府が打ち出した政策が低価格で燃費のよい小型車「Low-Cost Green Car (LCGC)」への税優遇制度。これはインドネシアで生産された四輪車を環境配慮度で分け、配慮度の高さに応じて購入時の税金を下げるというものです。  この制度が適応される車は100万円前後で販売されています。このようなエコカー政策が打ち出されるまでは、一番値段の低い車でも150万円ほどでしたので、中間所得層にも買いやすい価格に大幅に近づいたと言えるでしょう。自動車各社は中間層を狙ったマーケティングに力を入れており、トヨタ車のアグヤに至ってはあえてトヨタのロゴを使わず、インドネシアの国章にも使われている神鳥のガルーダをロゴとして使用しています。

 このエコカー政策ですが、今後成長が見込まれる中間層への四輪車の普及以外にも、国内の四輪製造業界の雇用拡大や、政府が補助金を出して促進している石油燃料の消費量を削減することも狙いの一つです。 インドネシアで販売されているレギュラーガソリンは固定価格です。政府が価格を一定にするために補助金をだしているからです。これは国民を急な価格上昇から守るために導入された制度ですが、この補助金がふくれあがっています。

 インドネシアは産油国なのですが、国内の製油所が十分整備されていないために石油は輸入に頼らざるを得ず、国際的な石油価格高騰の影響もうけて大きな貿易赤字を生んでいるのが現状です。そこで政府は、石油消費を抑えるためにも国民に燃費のいい車に乗ってほしい…というわけでエコカー政策が生まれました。

誰もが車を持てる時代へ

 きっと読者の皆様は今回の記事を読んでいて「エコとは言っても車の台数が増えるんじゃ渋滞がさらに悪化するのは時間の問題だし、逆に二輪の人たちが四輪に乗り換えれば、結局石油燃料の消費量削減につながらないのでは…。」と思われるのではないでしょうか。

 全くその通りの議論がインドネシア国内でも繰り広げられています。消費量削減を促進するために、エコカーには補助金付き燃料を売らないというような案も出ていますが、すべての石油販売店で徹底されなければ意味がなく、今のところこれといった効果的な対応策は出されていません。

   また渋滞の悪化も進んでいるように感じます。私の住むアパートから職場まで距離は10キロほど。道 が空いていればほんの15分ほどで着きますが、実際には毎朝夕45分かけて通っています。そして私の通勤時間は住処も職場も変わらないのにちょっとずつ、ただ確実に毎年長くなっています。

 誰もが車を持てる時代が現実味を帯びてきました。
 数年後に読者の皆様がインドネシアを訪れたらどんな印象を持つのでしょうか。「渋滞がひどい」という今まで通りの印象以外のものを感じていただけるような町づくりがされることに期待しています。

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