シリーズ アジアを知る (7)シンガポール~アジア経済の中心としてマーケティング分野においても牽引~ | リサーチ・市場調査・マーケティング

グローバルコラム
2016/7/12

シリーズ アジアを知る(7)シンガポール~アジア経済の中心としてマーケティング分野においても牽引~

シリーズ アジアを知る(7)シンガポール~アジア経済の中心としてマーケティング分野においても牽引~

概要

・ 総人口(※1):約546万9000人(2000年)
・ 居住者人口(※1):約387万700人(2000年)
・ 公用語:英語(行政関係)、華語(マンダリン)、マレー語、タミル語
・ オンライン普及率:72%
・ スマートフォン普及率:92%
※1:総人口はシンガポールの居住者と非居住者とを併せた数値。また、居住者人口はシンガポール国民と永住権者とを併せた数値。

イントロダクション

 英語のシンガポール(Singapore)という名称はマレー語のシンガプーラ(Singapura)に由来する。この「シンガプーラ」はさらに、サンスクリット語のシンガ(Singa、ライオン)とプーラ(Pura、町)に起源を求めることができる。こうした背景から、紋章やマーライオンの絵姿など、国の象徴としてあらゆる場所にライオンが使われているのを見ることができる。また習慣として、シンガポールをライオンシティと呼ぶこともある。
 シンガポール人の大半は、マレー半島、中国、インド亜大陸(※2)から移民して来た人々の子孫である。
※2:インド、パキスタン、ネパール、ブータン、バングラデシュなどの地域

経済

 1965年の独立以来、シンガポール経済は急速な成長を続けてきた。シンガポール経済が強くなった理由としては、オープンで外向きな成長戦略が成功を収めたことが挙げられる。
 2000年から2010年までを取り上げてみても、1630億シンガポールドルから3040億シンガポールドルへと、GDPがほぼ倍増する成長を遂げた。同時期の一人当たり実質GDPも年率約12%と急激な伸びを記録する一方、インフレ率は平均で2%未満、失業率は3%未満に抑えられた。

シンガポールにおけるGDP構成(2013年)

 成長の原動力となる天然資源を持たないシンガポールは、熟練労働者による付加価値製造業、港を活用した卸売業や小売業、金融サービスの提供などを基盤に経済を成長させて来た。
 サービス業はシンガポール最大の産業で、他を圧倒している。2013年の統計ではGDPの75%を占めている。一方、製造業は19%、その他の産業は6%を占めている。

情報通信サービス

 シンガポールの情報通信サービス業はデジタル時代の新たなビジネスチャンスを掴むのに有利な位置に付けている。早くから情報通信技術に注力したことが功を奏し、世界経済フォーラムの「Global Information Technology Report 2013」によると、シンガポールはネットワークへの対応が進んだ国として世界で第2位、アジアでは首位に付けている。
 「The Intelligent Nation 2015 Master Plan」において全国ブロードバンド網計画を打ち出したことで、シンガポールではインフラとしてのネットワークがより拡充するものと思われる。

モバイルおよびオンライン普及率

 シンガポール人は世界的に見てもオンラインでの商品購入に積極的な傾向がある。その範囲は多くの製品やサービスに及ぶ。世界的な業績評価企業ニールセンが本日公表したレポートによると、近年、シンガポールではeコマースが指数関数的な伸びを見せている。
 シンガポール人の41%はほぼオムニチャンネル的に、オンラインでの情報収集を楽しみつつ、オンラインでもオフラインの小売チャンネルでも商品を購入している。ショッピングリストの上位に来るのは食料雑貨 (82%)、ファッション用品 (65%)、パーソナルケア用品 (65%) となる。

地域のコンシューマーインサイトの中心地としてのシンガポール

 アジアの大部分において、コンシューマーインサイト(消費者洞察)はまだあまり発展していない分野だ。シンガポールは、アジアの消費者を理解したいと考える世界のコンシューマーブランドに対して、アジア地域の中心拠点としての役割を果たしていく意向を明らかにしている。
 アジア各地との往来のしやすさ、整備された研究開発インフラ、教育水準の高い労働力、そして創造力やブランディングに優れた企業や地域の需要を掘り起こすマーケティングリサーチ企業が多数存在することで、シンガポールはそうした役割を実現するのに有利な位置づけとなっている。
 しかし、シンガポールが最も実力を発揮できるのは、物事を技術と人間的な感覚という複眼的な視点で見られる人材を開発するために、国民の多様性をより積極的に活用するという側面においてだろう。そうした人材はシンガポールでも周辺地域でも求められている。科学や社会科学の背景を持つことが考えられるが、同時にビジネス戦略についても造詣が深い必要がある。
 アジアコンシューマーインサイト研究所(Institute on Asian Consumer Insight :ACI)を設立したことは、シンガポールの方向性として正しいものだといえる。ACIはアジアの消費者間の類似点や差異点を見つけだし、それらの洞察に基づいて、各ブランドが成長戦略を策定するための手助けをしている。
 シンガポール政府は、企業がエコシステム内で能力を高めるための研修や活動を支援している。こうした取り組みは、企業がコンシューマーセントリック(消費者中心)なイノベーションを進めるのを地域のために支援していく、シンガポールの能力をさらに拡大させることに繋がっている。


出典:
・ http://www.sgs.gov.sg/The-SGS-Market/The-Singapore-Economy.aspx
・ www.edb.gov.sg
・ http://www.nielsen.com/sg/en/press-room/2015/shift-in-shopper-dynamics-provides-new-opportunities.html
・ http://www.guidemesingapore.com/industry-guides/ecommerce/singapore-ecommerce-industry-overview
・ http://www.cariasean.org/asean/economy-profiles/singapore-economy-profile/

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