シリーズ ヨーロッパを知る (8)ヨーロッパのクリスマスは楽しいだけじゃない!? 冬の健康管理について | リサーチ・市場調査・マーケティング

グローバルコラム
2017/12/12

シリーズ ヨーロッパを知る (8)ヨーロッパのクリスマスは楽しいだけじゃない!? 冬の健康管理について

シリーズ ヨーロッパを知る (8)ヨーロッパのクリスマスは楽しいだけじゃない!? 冬の健康管理について

イギリスの冬と日照時間

 シリーズ “ヨーロッパを知る” 第8回目となる今回は、イギリスの冬の健康管理についてクローズアップし、考察したいと思います。

 ハロウィーンが終わって、すっかりロンドンの街はクリスマスモード一色になってまいりました。街中は冬を彩るイルミネーションが輝き始めています。最近日本でも人気のドイツクリスマスマーケット(※)がロンドンの大きな公園や遊園地に併設され、ロンドンでも人気のあるクリスマスイベントの1つです。

 しかしながら、ヨーロッパの冬は楽しいだけではありません。ロンドンは曇りが多く、暗いイメージがある方も多いと思いますが、特に冬場は日が昇る時間も遅く、日が暮れる時間が早いので暗いと感じる時間が長くなります。最近だと朝の8時頃にようやく明るくなり始め、15時台には日が暮れ始めます。出勤する頃も退社する頃も暗いということで、平日日に浴びる時間はほとんどありません。イギリスの日照時間を日別に調べてみたところ、12月や1月は1日のうち2時間ほどしか日照時間がないことが分かりました。気象庁が発表している東京の2017年1月の月平均日照時間が226.7時間ですので、単純に31日で割ってみると1日平均7.3時間あることが分かります。これはイギリスの約4倍の時間になります。

 

※ドイツ発祥のクリスマスマーケットで、各お店がログハウスのようになりクリスマスにまつわる雑貨やお菓子、ホットワインなどを販売している.

図1:1日あたりの日照時間(イギリス)

sourse:Whether online

日照時間が短いことで起こるとされる影響

 イギリスの国民健康サービス(National Health Service, NHS)では日光にあたる時間が少ない冬場(10月から3月初旬まで)は十分なビタミンDが摂れないと言っており、食事やサプリメントによる補給を推奨しています。アメリカで1950年から発行されているヘルシーライフスタイルマガジン「Prevention」はビタミンDの摂取が足りないと起こる症状として下記を挙げています。

・落ち込みやすい
・癌が治りにくい
・前立腺癌を発症する可能性が高い
・認知症やアルツハイマー病のリスクが高い
・肺炎、心臓病のリスクが高い
・うつ病になりやすい

 特に冬季うつという言葉があるように、私がイギリスに来て話をした日系企業の方によると、冬に欧州駐在になった方は精神を病みやすい傾向があるとのことでした。

 

不足しがちなビタミンDをどうやって摂取するか

 NHSが発表している方法としては、食事で補う方法とサプリメントの両方が推奨されています。食事では、サーモン、鯖、タラなどのオイリーな魚、赤身肉、レバー、卵黄などがあります。1日あたり8.5-10mcgの摂取が推奨されており、幼児や子どもには季節を問わずサプリメントの摂取が推奨されています。

 先日風邪をひき病院に行くと、医師からもビタミンDのサプリメントを摂ることを推奨されました。気になってドラッグストアに行ってみると、心なしかビタミン剤販売コーナーの、フェイス数が夏よりも拡大しているようです。会社のフランス人やドイツ人の同僚に聞いてみると、フランスにいた頃から冬場はビタミン剤を飲むようにしていると言っており、どうやらイギリスだけの問題でもないようです。

 

イギリスのサプリメント実態

 カンターメディアがStatista2017で発表している調査によれば、イギリスでよく飲まれているサプリメントを種類別に見てみると、タラの肝油(Cod Liver Oil)/フィッシュオイルやマルチビタミン、単一のビタミン剤の摂取者が、プロテインなど他のサプリメントと比較しても多いことが分かります。タラの肝油(Cod Liver Oil)は最近日本でも聞くようになりましたが、栄養医学研究所の説明によると、オメガ-3系脂肪酸であるEPA,DHAが非常に豊富に含まれる油で、さらにビタミンA,Dも豊富に含まれているようです。
 

図2:イギリスで飲まれるサプリメント種別

Source:Kantar Media © Statista 2017

 食べ物から栄養は摂取するものだと考える方も多いかもしれませんが、NHSでも推奨されているように、食事同様にサプリメントを重要と考える人が多いことが分かります。サプリメントが身近であるデータとして、イギリスでフィッシュオイルやビタミン剤を含むサプリメントを飲むヘビーユーザーが非常に多いことも特徴ではないでしょうか。
 

図3:サプリメントの摂取頻度

Source:Kantar Media © Statista 2017

政府や会社での取り組み

 2016年7月にはイギリス政府がビタミンDを推奨するコメントを出しています。ビタミンDのサプリメントの販売場所も増えており、スーパーやドラッグストア、インターネットで購入が可能です。赤ちゃんにはビタミンドロップが販売されています。NHSら複数の機関がHealthystart というサイトを運営していて、低所得の家庭には無料で提供しているようです。
 

 会社でもビタミンを摂取する取り組みが進んでおり、弊社では毎週月曜日の朝にフルーツを社員に提供しています。気持ちが沈みがちな月曜日に元気をつけてもらおうと始まった取り組みですが、冬場は風邪予防の意味も込めているようです。友人の会社ではビタミンDのサプリメントが置かれていて、自由に摂取できるという話も聞きました。

 日本でもビタミン摂取は以前から推奨されていますが、このように季節や天候を意識して栄養を摂っている人は少ないのではないでしょうか。国によって、気候や文化が異なることは当たり前ですが、新規参入や売上拡大を狙う国の季節の移り変わりに伴う生活変化や消費者意識を知ると、日本との違いが見え、今まで考えもしなかった機会に出会えるかもしれません。新しいアイディアを模索する際は、こういった一般消費者の日常について調査することもお勧めいたします。

 


参照:
■気象庁データ, 2017, 観測開始からの毎月の値
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/monthly_s3.php?prec_no=44&block_no=47662&year=&month=&day=&view=p4
■NHS, 2015, how to get Vitamin D from sunlight
https://www.nhs.uk/Livewell/Summerhealth/Pages/vitamin-D-sunlight.aspx
■Prevention, 2017, 10 worst things that can happen when you don’t get enough Vitamin D
https://www.prevention.com/health/vitamin-d-deficient
■NHS, 2016, The new guidelines on vitamin D – what you need to know
https://www.nhs.uk/news/food-and-diet/the-new-guidelines-on-vitamin-d-what-you-need-to-know/
■kanter Media, 2017, Vitamins and cod liver oils in Great Britain
https://www.statista.com/statistics/724327/users-of-vitamins-cod-liver-oils-and-other-supplements-britain-uk/
■栄養医学研究所, 2004, Cod Liver Oil(タラの肝油)について
http://www.nutweb.sakura.ne.jp/iframe/03_ippan/01nutrio/tara.html
※以上、すべて2017年12月アクセス

 

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Cross Marketing Group Inc. Global HQ Global Sale Manager 益並 香奈

大阪生まれ大阪育ち。2008年に外資系IT会社にて製造業、流通業、製薬会社のコンサルティング営業を担当。その後外資系自動車部品会社を経て、2013年にクロス・マーケティングに入社し、西日本営業部にてB2B、B2C向けの市場調査営業を担当。2016年8月よりイギリス・ロンドンに駐在。

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