Insight Scope インサイトスコープ
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コーヒー飲用者のインサイトを探る
第1回 パーソナル化進む家庭用コーヒー市場
味の素ゼネラルフーヅ株式会社
家庭用事業部家庭用第一部 Stickグループ 統轄マネージャー
三宮 智昭
2014 / 08 / 22
スティック状の袋に1杯分ごとの粉末を詰めたAGF(味の素ゼネラルフーヅ)のスティックコーヒーは、2002年の発売以降、右肩上がりの成長を続けています。〈ブレンディ〉スティック、〈マキシム〉スティックのブランドで展開しているAGFのスティックカテゴリーの出荷額は、2010年度は100億円ほどでしたが、今年度には約3倍の300億円にまで伸びる見通しです。
スティックカテゴリーは5年で約3倍に
スティック状の袋に1杯分ごとの粉末を詰めたAGF(味の素ゼネラルフーヅ)のスティックコーヒーは、2002年の発売以降、右肩上がりの成長を続けています。〈ブレンディ〉スティック、〈マキシム〉スティックのブランドで展開しているAGFのスティックカテゴリーの出荷額は、2010年度は100億円ほどでしたが、今年度には約3倍の300億円にまで伸びる見通しです。コーヒー市場のうち、スティックコーヒーのカテゴリーで当社はトップシェアを維持していますが、カテゴリー全体でも、2004年からの10年間で売上規模は2.8倍に成長しています。1杯分ごとにドリップコーヒーを詰めたパーソナルレギュラーコーヒーも伸びており、コーヒー市場はパーソナル化が進んでいると言えます。
家庭用にインスタントコーヒーが発明され、対抗馬としてパーソナルドリップが出てきたり、外食ではスターバックスなどのプレミアムコーヒーや、最近のサードウェーブやセブンカフェといった具合に、常に革新が生まれてくる構造ができています。こうしてマーケットは拡大し、提案の循環によって業界全体が成長を続けることができているのでしょう。こうした循環は他の飲料にはあまり見られません。例えば紅茶では、ティーバッグがひとつの革新でしたが、それ以降、キリンの「午後の紅茶」のヒットを除いてはあまり新しい提案が出てきていません。
さらなる成長が期待できる市場
順調に売り上げを伸ばしている〈ブレンディ〉スティックですが、まだ充分に掘り下げられていない層がたくさんあると感じています。女性の購入率でも、インスタントコーヒーは6割近くあるのに対して、スティックはまだ4割ほどにとどまっています。購入率をインスタントコーヒー並みに上げることができれば、市場は1.5倍になります。また、飲用頻度で見ても、インスタントコーヒーは年間で1人平均400杯くらい飲まれているのに対し、スティックは年間100杯も飲まれていません。
これまでカフェオレを中心に展開していましたが、最近はブラックコーヒーのスティックが好調で、売り上げが昨年比1.5倍くらいのペースで伸びています。ブラックは、カフェオレと違い甘さやミルク感など、味の再現性を訴求しにくいのでスティック化のメリットがないとされてきました。それでも、個包装による鮮度の高さや、気分によって選びやすいといったスティックの利便性が浸透した結果、ブラックコーヒーでもスティックを選ぶ人が増えているのです。継続した購買促進の策などの提案を打ち続ける必要はありますが、〈ブレンディ〉スティックは今の倍くらいの売上げ規模にはできるのではないかと考えています。