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コーヒー飲用者の消費者インサイトを探る
第2回 ユーザーの声を聞くコツ

三宮 智昭
味の素ゼネラルフーヅ株式会社
家庭用事業部家庭用第一部 Stickグループ 統轄マネージャー

三宮 智昭

2014 / 09 / 05

#食品 料理,#生活 文化

コーヒー飲用者の消費者インサイトを探る<br>第2回 ユーザーの声を聞くコツ

前回のコラムでは、成長を続けるスティックコーヒー市場について解説しました。今回は、生活者のインサイトを発掘するための取り組みについて紹介します。

「甘さ」を軸にバリエーション展開

前回のコラムでは、成長を続けるスティックコーヒー市場について解説しました。今回は、生活者のインサイトを発掘するための取り組みについて紹介します。

AGF(味の素ゼネラルフーヅ)のスティックタイプのコーヒーは、ブレンディ、マキシム共に2002年に発売されました。緑のパッケージのカフェオレが最初の商品です。もっとも、現在のように「スティック」というカテゴリーを打ち出したのは2007年のことです。


20140905_02 左は発売当初の商品。「スティック」カテゴリーとして展開したのは2007年から。


カフェオレから派生して、カロリーハーフや黒豆カフェオレ、カルシウムプラスなどの健康系の商品が生まれました。黒豆カフェオレは、「黒豆ココア」が流行したときに非常によく売れましたが、健康系の商品は浮き沈みが激しく、今も残っているのはカロリーハーフのみです。

こうした経験から、ブームに乗るのではなくしっかりとユーザーのセグメンテーションを行い、そのセグメントに基づいて需要のあるところでユーザーを獲得しようということで、まずは甘さのバリエーションをラインエクステンション(拡張)の基本戦略としました。

コーヒーは非常に嗜好性が強く、飲み方が人によって大きく異なります。ブラックで飲む人がいれば、砂糖とミルクをたくさん入れて飲む人もいます。飲む人それぞれのこだわりがあり、そうした消費者の嗜好を数字化し、データに基づいてラインを広げていこうと考えました。

かつてはスティックでコーヒーを飲むことに抵抗がある人も多く、その一番の理由はスティックに入っている製品の品質が良いわけがない、というものでした。突き詰めると、スティックで飲んだときの「甘すぎる」という体験にあることがわかったので、甘いものだけでなく甘くないものもバリエーションに揃えることで、過去の体験に起因するネガティブなイメージを変えるという狙いもありました。


20140905_03


グループインタビューは参加者の絞り込みが重要

商品の開発や、味覚のバリエーションを展開するにあたっては、消費者インサイトを探るための調査を行っています。方法は、デプスインタビューや訪問調査も行っていますが、個別のインタビューよりも対象者のスクリーニングのテクニック次第で課題をうまく引き出せるグループインタビューを採用することが多くなっています。

グループインタビューでは仮説の検証を基本的な目的にしているので、確かめたい仮説に適したユーザーを集めています。具体的には利用頻度や購入価格、競合商品に対する知識がどれくらいあるのか、といったことを調査票に落としこんでいます。難しいのは、知識レベル、競合商品をどの程度知っていて、どんな行動をとっているのか、ユーザー自身の認識と実態にはズレが生じることもあるので、その部分については注意深く絞り込んでいます。

グループインタビューの参加者を集めるのは調査会社に頼んでいますが、対象選びについては調査会社が音を上げるくらい細かく条件設定をやらないと意味がありません。単純に「ブレンディユーザーを連れてきてください」では良い結果を残すことはできません。

こうした調査から得たデータを元にバリエーションを展開していますが、その前提として商品の戦略論があります。発売当初からバリエーションを豊富にすることは難しいので、最初にポテンシャルの高いものから始めて、ひとつひとつ積み重ねていく必要があります。今、戦略のどの段階にあるのかという戦略のステージ論も重要で、ユーザーにどれくらい浸透しているのか、商品に対して知識を深めているのかを調査データも合わせて、次のステージへ進めるかどうか判断しています。現在は、カフェオレがかなり定着してきたので、コーヒー分野でスティックを広げてきたところから、「クリーミー&スイート」の基本バリューが通用する分野へ進出し、紅茶や抹茶、ココアを発売して結果が出ている段階です。

次回は、カテゴリービルドの戦略についてご紹介します。

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