オウンドメディア立ち上げ記 第2回 社内を説得するためのロジック | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2014/11/28

オウンドメディア立ち上げ記
第2回 社内を説得するためのロジック

オウンドメディア立ち上げ記<br/>第2回 社内を説得するためのロジック

編集には細かく口出ししない

「カンパネラ」は消費者目線、読者目線のコンテンツを意識しています。編集会議は毎月1回、アサヒビールと日経BP社の担当者が集まって行います。取り上げる内容については、私たちも「こんなイベントを実施するけど、記事になりませんか」といった情報や意見は出しますが、決定権は日経BP社内の編集部にあります。

私たちは編集の専門家ではないですし、企業目線になりすぎると読者から遠ざかってしまうので、細かく口出しをしないように気をつけています。ただ、「お酒は良いものである」ということと「コミュニケーション」というキーワードにマッチしたコンテンツであるかということは常に意識をしています。また、アルコールという商品の性質上、未成年や妊産婦の飲酒を助長するようなものであってはならないということや、その他アサヒビールが独自に定めているルールがあるので、そこは逸脱しないように配慮をしています。

コンテンツは大きく2つの種類に分けられます。ひとつは酒文化を啓発するもの、もうひとつがアサヒビールの魅力を訴求するものです。グループ会社のニッカウヰスキー関連のものや、社員がお酒を飲みながら会議をする様子を紹介する「アルコールブレスト会議」はアサヒビールの魅力を訴求するものです。

お酒を飲みながらアイデアを出すAB(アルコール・ブレスト)会議にはアサヒビールの若手社員が登場する。

最近始まった「職場人間学」は、職場でコミュニケーションの悩みを持つ会社員が酒場で飲みながら相談するというもので、これは酒文化啓発系と言えます。実際のサイト内のカテゴリーとしては、「ビジネス」、「ライフ」、「ローカル&グローバル」、「ニュース」に分かれ、先に挙げた2つの区分は明示していません。今のところ、毎週木曜日に新しい記事が4本から7本程度アップするようにしています。

風が吹けば桶屋が儲かる?

カンパネラはオウンドメディアという位置づけでありながら、アサヒビールの名前を前面に出さず、編集は全面的に日経BP社が行う取り組みです。そのため、社内を説得し承認を得るまでには時間がかかりました。両社で構想を立ち上げたのは今年の2月で、その後、5月にサイト制作を始めるまでの期間は、社内の了承を得るために動いていました。長年、「アサヒビール」というブランドを前面にマーケティングをしてきた会社なので、とりわけ「何のためにカンパネラをつくるのか」という点は説明を重ねました。

究極的な目的は酒類の売り上げ向上になりますが、この施策の売上貢献度を説明するのは非常に難しいことです。そこで私たちは、カンパネラでコーポレートサイトへ送客し、サイト内をどのように回遊してもらって店頭や購入につなげると説明しました。ことわざの「風が吹けば桶屋が儲かる」に近いかも知れません。

それと合わせて、私たちがカンパネラを通じて実現したいこと、酒文化の啓発や、コミュニケーションに役立つというメッセージを発し、酒類全般の消費を押し上げたいといった思いを、仮説を立てながら説明しました。「風が吹く」と「桶屋が儲かる」の間に私たちの思いを込めて社内を説得したのです。

近年のビジネスパーソンが最も苦労しているのが「コミュニケーション」です。性別や年齢、最近は雇用形態も多様化しています、そういった人同士のコミュニケーションの課題を日経BPビジョナリー経営研究所として研究対象とされていて、コミュニケーションを円滑にする最も有効な手段が「お酒」だということで協力を得ることができ、私たちとも共通の視点を持てたことで、ようやくスタートラインに立つことができました。

次回は、人気のコンテンツや今後の展望について紹介します。

アサヒビール株式会社 経営企画本部デジタル戦略部 担当課長 馬場 崇暢

1999年アサヒビール株式会社入社。京都において業務用営業を皮切りに、四国にて営業企画、首都圏にて量販営業、MDを担当。13年にデジタルコミュニケーション戦略室(現デジタル戦略部)に異動。現在、「カンパネラ」の運営やEC企業窓口など、デジタルにかかわる幅広い業務に携わる。

アサヒビール株式会社 経営企画本部デジタル戦略部 主任 仲 祐槻

2007年アサヒビール株式会社入社。北海道にて量販店の営業を経験後、マーケティング部門にてマーケティングリサーチを担当。11年よりWebを活用した営業支援を担当し、13年にデジタルコミュニケーション戦略室(現デジタル戦略部)の立ち上げメンバーとして異動。「カンパネラ」や「ホームページ」などオウンドメディアを中心にデジタルに関わるさまざまな業務を担当。

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