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エイジングケアの概念を変えた「B.A」
第1回 消費者のインサイトを捉えた商品開発

砂金 美和
株式会社ポーラ
ポーラB.Aブランドマネジメントチーム B.Aブランドマネジャー

砂金 美和

2016 / 11 / 18

#美容 健康,#ブランディング

エイジングケアの概念を変えた「B.A」<br> 第1回 消費者のインサイトを捉えた商品開発

 ポーラのエイジングケア化粧品「B.A」は2015年にブランド誕生から30周年を迎えました。この記念すべき年に、ブランドとしては5回目となるリニューアルも実施しています。本連載では「B.A」ブランドがどのように成長し、商品開発やプロモーションに対してどのような考えを大切にしているのかを紹介します。

視点を「現在」から「生涯」へ

 ポーラのエイジングケア化粧品「B.A」は2015年にブランド誕生から30周年を迎えました。この記念すべき年に、ブランドとしては5回目となるリニューアルも実施しています。本連載では「B.A」ブランドがどのように成長し、商品開発やプロモーションに対してどのような考えを大切にしているのかを紹介します。

 エイジングケアは年齢に応じたお手入れを指し、その性格上、もともと40代以上の方がメインユーザーのカテゴリーでしたが、今では若い世代、20代から利用する人も増えています。「年齢を重ねてでてくるシワやたるみをなくしたい」という次元から、「そう至らないための予防やエイジングケアをしたい」というところまで、女性の美容意識が高まった現れでもあります。幅広い年齢層の女性がエイジングケアを行うという意味で「1億総エイジングケア時代」であるとも言えます。

 現在は、スキンケア化粧品市場の中でも、エイジングケアのカテゴリーが増え、一定のポジションを占めていますが、「B.A」が誕生した1985年にはまだカテゴリーとしてエイジングケアという概念はありませんでした。当時大きなシェアを占めていたカテゴリーは「保湿」。化粧品メーカー各社は、表皮を中心に研究し、肌が本来持っている防御能力を高め、水分を維持できるかを軸に進められていました。そのため、消費者側にも保湿が最も良い肌の手入れであるという考え方がありました。

 こうした市場環境下で「B.A」は、肌の表面的な防御能力に留まらず、肌の内部に視点を置き、真皮と呼ばれる、表皮の下、肌の一番ボリュームの大きい層の状態をいかに維持するかに着目し、研究を進めていました。当時の「スキンケア」が、保湿という「現在」に対するケアを中心としていたのに対して、「B.A」は未来も見据えた「経年」というものへの予防的な意味を持たせました。これがエイジングケアの発想の起点となり、日本市場においていち早くエイジングケアに着手したブランドになったと考えています。 


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2015年8月にリニューアルした「B.A」。
生き生きと挑戦する現代女性の生き方を、スキンケアを通してサポートするブランドを目指す。

「アンチ」エイジングから「エイジングケア」へ

 ブランド誕生当時はエイジングケアがひとつのカテゴリーとして確立していたわけではなく、大きく成長していくのは90年代に入ってからでした。ブランドが誕生した85年に男女雇用機会均等法が制定され、80年代から90年代にかけては女性の社会進出やライフスタイルの変化が大きくなった時代。30代を過ぎても女らしくあっても良い、「大人の女性らしさ」も魅力という考え方が浸透した時代でもあります。エイジングケアも「ケアしていることを知られたくないもの」から、「ケアしている女性は意識が高い人」といった風に、とらえられ方も変化したことで市場自体も活性化し、2000年代までにカテゴリーが大きくなっていきました。かつて流行した「美白」も紫外線対策という意味だけではなく、生活環境や経年によるシミ対策という意味が含まれるとエイジングケアだという考え方も生まれてきています。

 2015年のB.Aリニューアルでは、肌誕生のメカニズムに焦点を当てていますが、ここに至るまでの序章として、2013年ごろから生活者の「エイジングケア」に対する概念を変える準備をしてきました。エイジングケアカテゴリーの競争が激化する中で、台頭してきた言葉が「アンチエイジング」。アンチ、つまり老化に抗う、という意味が含まれますが、2005年ぐらいから、生活者の価値観として、年齢を重ねることに対して、比較的ポジティブにとらえられている、と感じていました。「年相応に美しくありたい」という考えです。老化に対処する、というマイナスな考え方ではなくて、本来肌が持っている能力のうち発揮されていない部分を活性化するアプローチがあるのではないか、と開発テーマを「抗う」から「活かす」へとシフトさせました。

 老廃物を分解し、正常なサイクルに戻して輝く肌へ、という肌本来の能力を活かすことを目指したのが2013年の「B.AグランラグゼⅡ」。7万円を超える高額商品ですが、この商品で活かされているオートファジー理論(細胞内のタンパク質を分解して再利用する)の研究者が今年(2016年)ノーベル賞を受賞したこともあり、この商品は再度話題になりました。こうした取り組みを通じてB.Aはエイジングケア化粧品のリーディングブランドとしてのポジションをつくっていったのです。

 次回は2015年のB.Aリニューアルにどう取り組んだか、についてお話します。


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年齢に抗うのではなく、肌本来の力を活かす。
このブランド姿勢を象徴した「B.AグランラグゼⅡ」。

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