原料はコーヒー豆と水だけ 「UCC BLACK無糖」ブランドの戦略 第3回 ファン層を拡大したプロモーション | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2017/2/10

原料はコーヒー豆と水だけ 「UCC BLACK無糖」ブランドの戦略 
第3回 ファン層を拡大したプロモーション

原料はコーヒー豆と水だけ 「UCC BLACK無糖」ブランドの戦略 <br />第3回 ファン層を拡大したプロモーション

ユーザーの広がりに合わせて、CMも変化

 「UCC BLACK無糖」は発売以来、継続してテレビCMを放映してきました。当初は、ミルクも砂糖も入っていないコーヒーであることの認知と、無機質でスタイリッシュなブランドイメージの確立を目指し、あえてタレントの起用はしていませんでした。BGMに使用したイギリスのハードロックバンド、ディープ・パープルの「ブラック・ナイト」は、インパクトが強く、多くの人の記憶に残るCMになりました。

 以降、基本的にはシンプルにブランドイメージを訴求する広告を展開してきましたが、ブランド誕生20周年では、俳優を広告キャラクターに起用し「攻メノBLACK」と題した広告を打ち出しました。

 私たちがこうした変化を選んだのは、従来の路線では既存のユーザー、プルトップタイプの商品を飲んでいる消費者にしか届かないと考えたからです。近年、リキャップタイプが売り上げを伸ばし、ユーザー層も年齢、性別ともに広がりを見せているなかで、同じ方法だけでは新規ユーザーを獲得できません。そこで、キャラクターの起用も含め、「UCC BLACK無糖」を選んでもらえるようなコミュニケーション戦略を立てました。

 この戦略にのっとって2016年は幅広い層に支持されている桑田佳祐さんを起用し、ユーザーの拡大を狙いました。桑田さんは、年齢、性別を問わず人気と知名度があるだけではなく、ミュージシャンとして長年に渡り活躍されています。こうした支持を得ているのは、音楽というジャンルにおいて本質を追求しているからで、「UCC BLACK無糖」もコーヒーの本質を追求するブランドであることに共通点を感じてもらおうという狙いもあります。

 

1994年の発売当初のデザインと現在のデザイン。

キャンペーンで男女比率が変わった

 桑田さんを広告キャラクターとして起用するだけではなく、彼のファンに響くキャンペーンも実施しました。商品についたシールを集めて応募すると、抽選で年末ライブにレポーターとして招待するというものです。おかげさまでこのキャンペーンは、これまでに実施したものと比較しても反響は大きく、売り上げにも効果が出ました。今回特に興味深かったのは、女性のキャンペーン応募率が高まったことです。これまでのキャンペーン応募は男女比で8対2くらいが通常でしたが、今回は6対4くらいと女性が明らかに増えています。これは、桑田さんが女性の支持も多く集めているからではないかと感じています。

 継続して行ってきたテレビCMに加えてソーシャルメディアにも注目しています。今回のキャンペーンで桑田さんを起用したのは、ソーシャルメディアでの拡散を意識したことも理由のひとつです。その期待通り、テレビCMに使用した曲をWebサイトで公開したときもすぐにファンの間で拡散し、短期間で200万再生を達成することができました。ポスターなども掲出されている様子を写真に撮ってソーシャルメディアにアップされていましたし、桑田さんのファンの反応の鋭さと拡散力を実感しました。今回のキャンペーンは、おかげさまで幅広い層の支持を獲得し、今後の「UCC BLACK無糖」のファン拡大に手応えを得ることができました。

 「UCC BLACK無糖」がロングセラーブランドとして多くの人に支持されてきたのは、当社がコーヒーに実直に向き合い続け、品質を追求してきた姿勢を評価してもらっているからではないかと感じています。今後も、現在のロイヤルユーザーと次のロイヤルユーザーになりうる人たちという2軸をターゲットに、その時代にあった考え方や手法を取り入れて、最適なプロモーション戦略を企画・実施していきたいと考えています。

 

工場見学は顧客接点のひとつ。滋賀工場では、「UCC BLACK無糖」のリキャップ缶などを製造する。

UCC上島珈琲株式会社 マーケティング本部 ブランド開発部 ブランド1チーム ブランドマネージャー 松野 宏昭

2002年UCC上島珈琲株式会社に入社。営業部を経て2009年よりマーケティング本部へ。ペットボトル飲料「上島珈琲店 ミルク珈琲」の開発などに携わる。2016年4月より現職。

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