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“気づき”マーケティング(12) 金曜日の夜の「ごほうび」

辻中 俊樹
東京辻中経営研究所
同社代表取締役マーケティングプロデューサー 株式会社ユーティル研究顧問

辻中 俊樹

2015 / 04 / 02

#気づき

“気づき”マーケティング(12) 金曜日の夜の「ごほうび」

今回は『生活日記』というものについて少し突っ込んでみることにする。『生活日記』というものからどのように“気づき”をピックアップすればいいのだろうか、どんな分析をすればいいのだろうか。こんなことをよく聞かれる。さらに、どこまでちゃんと書いてもらえるものなのだろうかといった疑問を持つ方もいたりする。



 まずは批評家のように“あれやこれや”と難くせを考えている前にやってみることが重要なのである。とにかく自分で書いてみると、案外気がついていなかった自分の生活動線のパターンに“気づき”が得られるものなのである。

 また同様に『生活日記』を見る立場に立ってみても、なるほどねえといったその人特有の生活動線に“気づき”を持てればまずは十分なのである。

 ということで、拙著『マーケティングの嘘』でもお知らせしたが、この『生活日記』を体験してもらう仕組みをリリースした。自由に書いて体感し、分析者がどんな“気づきを”持つかをフィードバックし、そのコメントから自分自身の特性を感じてもらうことができればということなのである。

 いろいろな方から『生活日記』をお寄せいただいている。コメントを送り返していると、自分自身の事に新鮮な“気づき”があった、いろいろなタイプの人の同じ様な『生活日記』を見て比較してみたいといったお返事をいただいている。
 そんな中からお一人の日記を少しご紹介してみることにする。地方都市在住の30代の女性の日記である。お二人のお子さんの子育て中である。

 私の視点でいえば、この女性は『フルタイムダブルインカムワーキングマザー』ということになる。保育園に毎日お迎えに行っていることから幼児二人の子育て中だ。多少フレックス勤務が可能のように見受けられるが、完全なフルタイムの勤務である。そして収入の差はあるかどうかはわからないが、完全なダブルインカムである。

 乳幼児の子育て中には、完全な専業ママもいれば、パートタイムハーフインカムもあれば、時期的な条件でたまたま専業の場合もある。この方はそんなまだら模様の生活パターンの中では、完全にフルタイムで収入を得ているワーキングマザーということになる。

 ということで「こりゃあ、相当忙しいよね」というのが最初の印象である。その中で私が感じた“気づき”のキーワードはこのようになる。

 まずは「アーリーバード」という生活動線が特徴である。平日だけでなく休日の朝も4時、5時に起きているという典型的な「早起き鳥」の生活パターンである。ということは、明日が平日であれば20時台には寝ているという習慣になっている。いろいろな事が予測できそうだ。夜のTVはみていないのだろうとか。


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 同時に「ハッピーフライデーナイト」ということが起こるのだ。金曜日の夜の気分は豊かなのである。当然自分への「ごほうび」が習慣になるのだろう。「子供は大好きなドラッグストアで好きなお菓子を買える」し、「ご飯にお菓子も、食事中にテレビも解禁!」ということで子供にとっても楽しい夜なのだ。

 もちろん本人もビールとつまみはお菓子である。夫が不在だったので超手抜きということらしいが、このシーンは生活の品質という点でみればすこぶる豊かといっていいものだと私には思える。

 「手抜き」ということと、生活の品質とは別次元でとらえておくべきものではないのだろうか。


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 そしてやはり「ホリデーモーニング」、ここでも朝食がふだんと異なった選択の意味を持つことになる。土曜日は蒸しパンを作ってみた。当然クックパッドが活躍している。ちなみに次の日の日曜日はパンケーキを食べている。休みの日の朝は少し特別感が演出されているのだが、どこかでリゾート気分に近いものが満たされているのだろうか。

 彼女の場合は夫の実家が近接ということで、土曜日のお昼は祖父母の家でカレーパンなどを食べている。これは母系近接とは異なっているが、利用するものは利用しているのだろう。そして休日の夜はビールやワインを飲む。そういえば、金曜日の夜にプレミアムモルツが売れるというのはやはりごほうびなのだということに“気づく”。


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 そして平日の朝は子供が喜んで完食してくれるのがベストということで、肉そぼろご飯がフィットしたのである。これもまた手抜きということではなく“工夫”といった方がいいはずだ。そんな“気づき”がみつかればいい。たった一人の日記からでさえ教わる事はたくさんあるのだ。批評ばかりしている前に、まずは生活の事実を見ることに尽きる。

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