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「時代を見る」「世代を読む」 自分の育った時代と向き合う「ゆとり世代」

橋本 紀子
株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント 取締役
マーケティング ソリューション部 部長

橋本 紀子

2015 / 05 / 21

「時代を見る」「世代を読む」 自分の育った時代と向き合う「ゆとり世代」

「若者の○○離れ」…○○にクルマや海外旅行、アルコール、たばこ、高級ブランド品など、かつての若者に好まれてきたモノが入ることで良く耳にするワードです。そして、それらのモノを手に入れることを当時の目標としていた、かつての若者である現在の中高年からすると「若いくせにクルマもブランド品も欲しいと思わないのか?」と突っ込みたくなるのが現在の若者「ゆとり世代」です。

8年限定の”ゆとり教育”を受けた「ゆとり世代」

 「若者の○○離れ」…○○にクルマや海外旅行、アルコール、たばこ、高級ブランド品など、かつての若者に好まれてきたモノが入ることで良く耳にするワードです。そして、それらのモノを手に入れることを当時の目標としていた、かつての若者である現在の中高年からすると「若いくせにクルマもブランド品も欲しいと思わないのか?」と突っ込みたくなるのが現在の若者「ゆとり世代」です。

 「ゆとり世代」とは、1987年度~1995年度生まれ(2015年現在20~28才に相当)で、2002年度からの学習指導要領による”ゆとり教育”を受けた世代であり、少子化問題が表面化し始めた頃に生まれた世代でもあります。

 また、情報化社会の急速な発展の中で育っており、生まれた時からインターネットやパソコンのある環境で、携帯電話を持つことが当たり前かつ不可欠な「デジタルネイティブ世代」とも呼ばれています。

 沢山のモノと情報に囲まれて育ち、”ゆとり教育”から何となく「楽」「ゆるい」イメージが先立つこの世代…多くの選択肢を持つために、それぞれのモノに対する興味が薄く、消費欲が弱いのではないかとされており、何にお金を使っているのかがわかりにくい世代でもあります。


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自分の気持ちと向き合うシンプルな消費行動

 しかし本当に消費欲が弱い世代なのでしょうか。

「ゆとり世代」が育ってきた平成不況の間には、企業のビジネスモデルの変革や情報通信技術の革新により、安価で良質なモノ・サービスが提供されています。デフレ経済で所得環境が厳しいなかでも、こうしたモノ・サービスを利用することで消費欲が満たされているようにも思います。

 R&Dが32年間継続実施している生活者総合ライフスタイル調査CORE(ConceptResearch) データより、「ゆとり世代」の意識と実態を他年代との違いや、過去の同年代との違いで見てみましょう。

 現在around50の新人類世代、現在around40の団塊ジュニア世代、現在around30世代が今のゆとり世代と同年代だった頃の年収・お小遣い・収入のゆとり感を比べてみると、今のゆとり世代は自由になるお金自体は減っていますが、経済的なゆとり感は悪化しておらず、むしろ新人類世代や団塊ジュニア世代の同年代時より「余裕がない」と答える人は少なくなっています。むやみにブランド品を追い求めたりせず、シンプルに良質廉価なモノを選んでいれば少ないお小遣いの中でも自分好みのアイテムを揃えられ、余裕のなさは感じないのかもしれません。


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弊社R&Dでは、「U26」という名の20-26歳男性12名のコミュニティを運営しています。オンラインでコミュニケーションをとり、月1-2回は会場に集まってフリートークや飲み会をしながら、この世代のホンネを探るコミュニティとなっています。このメンバーの部屋の写真を見ても、おそらくお気に入りであろうモノにあふれており、消費欲が弱いという印象とは異なります。自分にとって心地よいモノにお金を費やし、それに囲まれて過ごす…かつての若者がプライドを満足させるために目標としたブランド品やクルマではなく、自分が好きで心地よいという、自分の気持ちと向き合った消費スタイルが見えるような気がします。


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 ゆとり世代は、生まれてすぐにバブルが崩壊し、子供の頃に低成長期に突入、リーマンショックの影響を受けて就職氷河期を体験したという受難の世代でもあります。この世代はどんな生き方や、仕事への考え方を持っているのか、COREデータから見てみましょう。

 生き方志向では、ゆとり世代は過去の同世代よりも貧富の格差を強く意識し、将来に備えてより努力したいという気持ちを持っている様子がうかがえます。この生き方志向については、新人類世代、団塊ジュニア世代が同世代の時と、CORE 2006データに見るaround30とゆとり世代の意識が大きく異なっています。物心がついた時にバブルが崩壊して以降、「景気がいい」ことを知らないaround30以下の世代はそれより上の世代に比べ、格差社会の厳しさを見て育ち、ある程度の生活を担保するためには今を謳歌するのではなく、将来を見据えて堅実かつ安定に生きたいという意識を持っているようです。

 では、そんな堅実安定志向のaround30世代とゆとり世代の就業意識には違いがあるのでしょうか。around30世代が同年代の時と、現在のゆとり世代を比べると、ゆとり世代は組織に属したい傾向が強く、「転職に抵抗ない」「独立起業」等の独立独歩志向は軒並み減少しています。また、仕事に関しての「オリジナリティこだわり」 が減少し、「仕事は収入手段」との割切り感は高まるも、「成果主義」には不安を持っています。女子学生ではキャリア志向も減少しています。

 around30世代の同年代時と比べると、努力して堅実に将来に備える生活がしたいという意識は同じでも、ゆとり世代は仕事に関しても堅実・安定を望んでおり、手にした場、与えられた場で地道に稼ぐという攻めより守りの傾向があるようです。


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自分を見つめる「ゆとり世代」

 「ゆとり世代」と呼ばれることに対し、彼らはどう考えているのでしょうか。U26コミュニティでのラインのつぶやきを見ると、「ゆとり」といわれつつも過酷でシビアな時代に生きてきた自負も感じられます。幼い時から景気が沈むさまを見てきたせいか、自分たちの生きてきた時代を意識する傾向が強いのもこの世代の特徴です。新人類世代や団塊ジュニア世代の人たちはここまで自分の時代背景を意識していないかもしれません。


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ラインのつぶやき  この世代は前回の「時代を見る」「世代を読む」で取り上げたバブル体験世代around50の子供世代にもあてはまります。海外旅行とブランドを追い求めたバブル期とその崩壊を経験し、リストラや非正規雇用の可能性と直面する親を見て、バブルではなく確実なものを、プライドではなく自分が納得できるものを求める世代に育ったのかもしれません。

 20代で堅実を重視するこの世代には、「若いくせにクルマもブランド品も欲しいと思わないのか?」という突っ込みはもはや意味すらわからないのでしょう。そんなこの世代に何をどのように提供していくか、U26コミュニティで継続して探っていきたいと思います。



 R&Dでは、「世代」にフォーカスして様々な分析と、それに基づいたセミナーを行っています。また、今回ご紹介したU26のようなコミュニティも世代別に運営しています。今後も豊富なCOREデータと、定性的なデータを組み合わせて世代の横顔をご紹介していきたいと思います。

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