“気づき”マーケティング(21) 「三世代サンドイッチ」 ~“50歳”へのアプローチ~ | リサーチ・市場調査・マーケティング

マーケティングコラム
2016/1/7

“気づき”マーケティング(21) 「三世代サンドイッチ」 ~“50歳”へのアプローチ~

“気づき”マーケティング(21) 「三世代サンドイッチ」 ~“50歳”へのアプローチ~

 2016年、明けましておめでとうございます。穏やかな天気の年末年始、よい年を迎えられましたか。年初なので少しロングタームのお話を。

“平均年齢50歳”の社会はもうすぐ

 2025年に日本は「平均年齢50歳」の社会になる。今から10年後には「平均年齢50歳の国」になるということだ。こんな社会の到来にマーケティングはどうあるべきか、これは博報堂の橋本さん、村田さんたちが提唱している、なかなか素敵な取り組みだ。
 「平均年齢50歳」といっても、なかなかイメージが掴みにくいので、ここでは“50歳”とはなんだろうかという視点におきかえてみる。50歳前後、あるいは50代前半の生活価値観はどのようなものなのか、そこから少し未来のイメージを覗き込んでみることにする。
 まず考えてみたいのは、現在の50歳前後の人たちがどんな状況におかれ、どんな価値観を持っているのかということだ。ここで一番大切な視点は、50歳前後、あるいは50代前半の世代は、ちょうどサンドイッチの具材のような位置にいるということである。両側を子どもの世代と、親の世代というパンにはさまれた状態だ。
 私たちがよく使うキーワードでいえば、「三世代サンド」としてみておくということになる。20代というパンと、80代というパンにはさまれた真ん中で、押しつぶされそうになっているとみてもよい。

三世代の連鎖という視点

 現在の社会をみるにはこの三世代の連鎖という視点は不可欠である。50代、あるいは50歳前後をみるには、20代、80代との相関である。また、40代には10、70代という連鎖がある。60代には30、90という世代が重層化されるということになる。あるいは30代をみるには、0(プレティーンズ世代)、60という世代の相関をとっておくということだ。

 麻雀をご存知の方ならわかりやすいだろうが、これは順子(ジュンツ)の筋そのものである。概略でいえば、30年前後で世代が重なり合わさっていくという構図は、まさに麻雀の筋のように、世代が連鎖していくことである。

 超高齢化していくということと、人口が減少していくという社会の構図は、世代を単独でみることの意味よりも、三世代の連鎖でみることの意味を明らかに増大させていくことになる。

 なぜならば、50歳ならば80代の親の世代はかなりの確率で健在であり、20代の子どもの世代とのサンドイッチにならざるをえないのである。また、40代ならば70代の親と10代の子ども世代の間に、まさにはさまれている状態になっているのだ。これが、よくいわれる団塊ジュニアと団塊世代の構図だということができる。

三世代の連鎖という視点(イメージ)

 

 50歳前後、あるいは50代という世代は、ほぼ1960年代生まれであり“新人類”などといわれた経緯もある。私たちの見方でいえば“新人類”であったかどうかよりも、80歳、あるいは80代の親を抱え、20代の子どもにはさまれているということの方が重要なのである。80代の世代は、昭和ヒトケタ生まれであり、読者の方には全くイメージできないだろうが、日本はなかなか豊かであり、圧倒的に多産であった。兄弟姉妹が片手以上はいたという時代である。
 50歳前後の人たちは、80歳前後の両親だけでなく、おじ、おばもまた多くいるのだ。そういう意味では高齢側のパンの厚みがタップリあるといってもいい。

生活満足度を上げる要因は何か

 さて、こんな50代を真ん中にした三世代の連鎖を前提にして、50、60、70代という世代を比較してみると、明確な傾向がある。つまり、60、70代になれば、自分たち自身が三世代サンドイッチのパンの側にどんどん移行していくことになる。60代前半あたりが、三世代サンドの真ん中の具材からパンの側に移っていく過渡期だとみることができる。比喩的にいえば、50はまだまだ具材の真只中、やっと60をすぎてパンの側に移り、70になればはっきりとパンになる。

 超高齢化社会というのは、単純化してみればパンになる時期の遅延ということに尽きる。30年前の50歳、あるいは50代はもはやパンの側への確実な移行期だったのである。

生活満足度を上げる要因は何か(イメージ)

 「あなたは、日常生活について、全体的にどの程度満足されていますか?」という問いに対して、50、60、70代の三世代全体では「満足している」「どちらかといえば満足している」を合わせると85%近くがそうだという。相対的満足に到達しているのだが、50代に限ってみればこれが下がる。
 「満足している」というトップボックスも全体では2割あるのに対して、50代では10%強まで下がる。逆に「不満がある」というマイナスのトップボックスは、60、70代では1%程度になっているのに対して、50代では10%を超えている。これは2015年に私たちが実施したプロジェクトからのデータだが、どのようなデータをみてもほぼそんな傾向になっている。
 「三世代サンド」は、パンの側に移行することが生活の満足度を上げることになるのか。50代は具材としてはさまれていることが問題なのか。50歳はそれを教えてくれる世代なのだ。

東京辻中経営研究所 同社代表取締役マーケティングプロデューサー 株式会社ユーティル研究顧問 辻中 俊樹

日本能率協会などで雑誌編集者を経て、1982年ネクスト・ネットワークを設立。生活を24時間スケールで補足する「生活カレンダー」方式によるリサーチワークを確立。団塊ジュニアに関する基礎研究をまとめ、「15(イチゴ)世代」というキーワードを世に送り出すなど、その「生活シーン分析」は評価が高い。団塊世代のみならず、出産期世代からシニアについても造詣が深い。2010年には食のマーケティングに絞った活動を行うために、東京辻中経営研究所を設立。同社代表取締役マーケティングプロデューサー。

また、2012年よりユーティルの研究顧問として「気づき」プロジェクトを開始し、定性、定量にかかわらず、生活の中から「気づき」を発見するための調査、分析、コンサルティング活動を行う。その活動の中で「生活動線」などの視点を生みだしている。
近著に「団塊が電車を降りる日」(東急エージェンシー出版)など編著書は多数。 

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