変遷する市場のカスタマー像をシングルソースデータベースから発掘! | リサーチ・市場調査・マーケティング

マーケティングコラム
2016/5/26

変遷する市場のカスタマー像をシングルソースデータベースから発掘!

    変遷する市場のカスタマー像をシングルソースデータベースから発掘!

    10年間で書店が6割が減少…一方で新しい流れも見られる市場

     自分が住んでいる町や、よく立ち寄る駅の周辺、会社の近所でランチに行く商店街など、ふとみると新しいお店ができていたりします。「ここって、前は何の店だったかな...」と思っても、なかなか思い出せないことも多いですね。

     新しくできるお店といえば、飲食店、美容室、コンビニあたりが多いかと思いますが、国内の小売業全体では、ここ10年で店舗数が約20%減少しています。店舗数が減少している代表格のひとつに、書店が挙げられます。書店は、平成14年から平成24年までの10年間で、2万2688店から8958店へと、約60%も店舗数が減少しました。(経済産業省 平成24年度「経済センサス」より)いまや、新刊書店のない自治体もあるくらいです。一方で、新しく大型の商業施設ができると、ゆったりとした座り読みにも対応、美味しいコーヒーも飲める大型書店の進出もよく目にしますね。

     

     リアルな書店には、淘汰・統合の動きがあり、リアルな書籍の売り上げも右肩下がりの傾向ですが、電子書籍は逆に年々成長を続けています。電子書籍には無料で読めるものも多数登場していますし、中古本もAmazonで手軽に購入できます。最近ではTSUTAYA図書館など思わず行ってみたくなるところも登場して、「読書」市場がシュリンクする一方とは、一概にはいえないかもしれません。

    10年間で書店が6割が減少…一方で新しい流れも見られる市場(イメージ)

    シングルソースデータベースから見えてくる「本を読む人」像とは!?

     市場がこのように変化するなか、利用者、つまりいま書籍を読んでいる人たちは、どのような人たちなのでしょうか。
    クロス・マーケティングでは、年に数回、180万人のアンケートモニターを対象に、自主調査を実施しています。そのデータを名寄せしてシングルソースとして集約したデータベースから、書籍や雑誌に興味のある人の傾向をみてみましょう。
     まず、対象者を、ライフスタイルや価値観、商品の購買行動などの嗜好性データから、クラスターに分類してみます。できるだけいろいろな特性を持つクラスターができるように、今回は53のクラスターに分けてみました。(図1)

    その中で、書籍や雑誌に興味の強いクラスターをピックアップして、現在の「本を読む人」像をみてみましょう。

    嗜好性クラスター

     まず、1つ目のクラスターです。
      ・男女比はやや女性が多い
      ・20代以下の若年層が多い
      ・平日も休日も、スマホを触る時間が長い
      ・Twitter利用がさかん
      ・テレビを見るのは夜11時以降
      ・いいモノをできるだけ長く使いたいし、買い物も楽しい
      ・人と広くつきあうのはやや不得手
      ・生活は「自由に」「自分らしく」「楽しく」おくりたい
      ・いまの生活には、「不満~ふつう」

     学生さんや社会人ほやほやの年代で、スマホは手放さず、まだまだお金もないけれど、自分らしく楽しく暮らしていきたい、というライフスタイルが垣間見えます。
     書籍離れしているのでは、と言われることの多い若年層ですが、スマホの電子書籍や、LINEマンガのような無料のコンテンツの利用なども多いのかもしれません。

     つぎに、2つ目のクラスターです。
      ・女性が圧倒的に多い
      ・30代~40代が中心
      ・Facebookやブログに情報をアップ
      ・スマホで料理メニューを検索
      ・環境に配慮した商品を買いたいし、いいモノを長く使いたいし、でも買い物は楽しいしつい衝動買いすることも
      ・人との関わりに積極的
      ・生活は「伝統的で」「モノを大事に」「自分らしく」「幸せに」おくりたい
      ・いまの生活は、「充実」

     仕事を持つ女性や主婦の方で、いろいろな局面で中心的な役割を担うことが多く、情報の取り込みや発信にも積極的、伝統的な暮らしぶりなど日々の彩りも大切にしたい、というライフスタイルのようです。
     なかなか自由になる時間がなく、本屋さんの店先でじっくりみたりはしづらいと思われますが、お料理本や暮らし方など、自分に取り入れてみたい情報関連の書籍などのニーズが高いのかもしれません。

     3つ目は、こんなクラスターです。
      ・男性が6割
      ・50代以上が中心
      ・パソコンをよく使う
      ・自分の内面を高めることにお金を使いたい
      ・お酒や旅行、金融商品や投資にも興味あり
      ・政治問題に関心があり、新しい科学や技術についてもキャッチアップしたい
      ・ほんとは、あくせく働くよりも、のんびり生きたい
      ・「文化的で」「教養のある」生活をおくりたい
      ・いまの生活は、「ほぼ充実」

     会社では管理職、家庭ではよきお父さん、社会情勢に目をやりつつ、時代に乗り遅れないように情報には敏感、きちんとした暮らしのなかで、どこかちょっとのんびりしたい、というライフスタイルのようです。
     A5サイズの分厚い月刊誌や、ライフスタイル関連の情報誌などのイメージが浮かびますが、書籍を選ぶにもじっくり吟味して、自分のためになるものを求めるタイプかもしれません。

     こうしてみると、30~40代の男性が多いクラスターはでてきませんでした。この層に、書籍離れの傾向があるのかもしれませんね。

     シングルソースデータベースの情報を組み合わせてみることで、同じ商品カテゴリーのユーザーにも、さまざまなユーザー像があることがわかります。
     いろいろな切り口でユーザー像を想像することで、マーケティングの仮説構築のヒントにつながったり、ディスカッションのきっかけになったり、シングルソースの活用の幅が広がっていくよう期待しています。

    株式会社クロス・マーケティング リサーチプランニング部 赤津 美也

    マーケティングリサーチに関する15年以上の経験を持つ。
    リサーチプランニング部のグループマネージャーとして、グループ内のリサーチ業務の統括および推進を担当。
    クロス・マーケティング入社前は、主にIT分野のマーケット調査およびマーケティング調査に携わる。
    パーソナルコンピュータ市場における競合状況や市場予測などを担当し、B2B、B2Cの両方におけるマーケティングリサーチを数多く実施。