顧客満足度調査 | リサーチ・市場調査・マーケティング

顧客満足度調査

顧客満足度調査のポイント

  • 顧客満足度(顧客の評価)があらゆるマーケティングミックス(戦略)の核となりえます。

  • 顧客満足度を定点的・多面的に観測し、すべてのリーダー・従業員が共有することで今後の商品・サービス開発のみならず行動基準にもなりえます。

  • そのためには、顧客満足度評価をシステム化するための社内体制、リーダー・従業員の意識改革が必要となります。

 

 著名な経営学者クレイトン・クリステンセンは『イノベーションのジレンマ』で、現代の市場は過剰供給の時代にあると言っています。それは賞味期限切れの食品廃棄問題に代表されるような単に物量面の話ではなく、イノベーション=さまざまな技術やテクノロジーの進化の側面における供給過剰が故の生活者の購買心理との乖離について言及し、成熟市場はやがて破壊的イノベーションによって駆逐されると説いています。

『イノベーションのジレンマ』概念図

『イノベーションのジレンマ』概念図

 クリステンセンは寡占化が進んだ成熟市場において、初めは誰も注目しない、取るに足らないものと思っていた後発の市場参入者が、生活者の期待水準を上回った時に破壊的イノベーションとして市場を駆逐するメカニズムについて警鐘を鳴らしました。
 では、破壊的イノベーションに駆逐されないためには、どのようにマーケティングミックス(戦略)を考えていけばよいのでしょうか。そのひとつの答えが「顧客満足」のマネージメントにあると考えられます。「顧客第一主義」「顧客満足度ナンバーワン企業を目指す」といった経営理念を掲げる企業様も多くありますが、その理念の達成指標となる「顧客満足度」をどのように捉え計測して今後の経営計画に生かしていくかは、何よりも重要な企業課題であるからです。ここでは、顧客満足度を測定する「顧客満足度調査」についてご紹介いたします。
 まず、顧客満足度調査によって顧客満足度を計測することにどのような意味があるのかをもう少し考えてみたいと思います。先の読めない時代と言われて久しい中で、マーケティングミックス(戦略)の重要性はこれまでになく高まっています。顧客満足度(CS)はマーケティングの中心概念であると唱える説も多く見受けられます。では、CSの向上は企業経営にどのような貢献をもたらすのでしょうか。

■CS向上による効果
①改善点の発見、新製品開発への糸口
 満足度の把握は不満点の洗い出しでもあります。満足していない購入者の改善意向を把握することで、組織・体制の改善から製品そのものの改善、新製品の開発ヒントまで得られる情報は重要かつ貴重です。
②ロイヤリティの向上
 「その製品に満足した人はまた同じ商品を購入するリピート率は高まる」ことは言わずもがなですが、満足度の高い製品のメーカーのそれ以外の製品についても購入する率が高まる、一つの製品により獲得した満足度がその製品をつくる企業への満足度・信頼度の向上につながる可能性が高いということです。③口コミによる推奨から新規顧客の獲得 満足度が高まることによりコミュニケーションが発生すると言われています。いわゆる口コミの伝播です。自分が満足した製品について他者へ推奨したくなる心理が働くことは多数の調査により検証されています。満足度が高まるほど他者への推奨意向は高まり、その結果として新規顧客の拡大につながる可能性が広がります。
④客観的な社内評価、行動基準の指標としての活用
 ともすれば企業主導型の行動規範や社内評価に、「評価は顧客が決めるもの」という意識改革を経営リーダー・社員全員が共有するための客観的な指標としての活用が可能です。
⑤企業の先行指標を示す
 満足度の高まりがロイヤリティの向上、口コミの伝播による新規顧客の獲得につながるという効果を生むのであれば、それは将来の見込み顧客の先行指標として捉えられます。
⑥CSは企業にとっての資産
 企業の先行指標としての捉え方と同じように、CS向上の効果はその企業にとって長い将来にわたって発揮されるものです。CS向上によって獲得した優良顧客は優良資産と捉えられ、B/Sには載らない含み資産としての性格をもつとも考えられます。

顧客満足度調査アウトプット事例

 以下は、ある企業の商品に関する顧客満足度調査のアウトプット事例を示しています。まず、基本的な商品に対する満足度について個別評価と総合評価を把握し、自社の現行商品と旧商品及び主要競合他社と比較して分析しています。現行商品の満足度は旧商品に比べ格段に向上し、個別の項目でみても「メール機能」以外の全項目で上昇傾向にあります。他社と比較しても、A社より「操作性」「メール機能」を除き個別評価では優位にあり、総合満足度では肩を並べるに至っています。

 

【旧品/他社と比較した満足度】

【旧品/他社と比較した満足度】

 次に、現行商品の満足度の構造を探るためポートフォリオ分析を行います。顧客満足を構成する要素(商品・サービスの機能やデザイン、価格、等々の個別の評価項目)が総合的な顧客満足度に与える影響は均一ではありません。顧客の商品・ブランドや店舗、サービスに対する満足度(CS)を分析する手法は様々ありますが、ここでは評価項目の相関度(顧客満足度の向上に対する影響度の強さ)と総合満足度の関係についてポートフォリオ分析を行うことにより、商品や店舗、サービスのどのような要素に注力すれば効率的に総合満足度を向上できるのかを明らかにします。
 ポートフォリオ分析は、満足度率と相関係数の関係をよりわかりやすくするために、縦軸を満足度率、横軸を相関係数にとり、個別の6つの評価項目をプロットします。ポートフォリオ分析では、以下のようにそれぞれの象限を位置づけ、施策の優先順位を決めていきます。(※4つの象限は、満足度率と相関係数の平均値を交点とする2つの直線によって区分されます。)
 

①重点改善項目(右下の象限)
・総合満足度を高めるための影響度が強い(相関係数が高い)のに満足度が低い。優先的に改善対応することで、総合的な満足度を効果的に高められます。
②重点維持項目(右上の象限)
・総合満足度高めるための影響度が強く、現状の満足度も高い。現状の満足度をある程度獲得しており、一見このままでいいように思えますが、サービス水準の維持を怠ると大きく総合満足度を下げる可能性があるため積極的に維持していくべき項目です。
③改善項目(左下の象限)
・総合満足度を高めるための影響度が弱く、現状の満足度も低い。ここの満足度を向上させても、総合満足度への影響力が低いため効率はよくない領域です。
④維持項目(左上の象限)
・総合満足度を高めるための影響度は弱いが、現状ある程度の満足度は得られている。極端なサービス水準の低下を招かない程度の維持を心がける項目と捉えられます。

 当該商品については「メール機能」「液晶の綺麗さ」が重点改善項目と捉えられ、優先的に改善すべき項目と言えます。「デザイン」については現状の満足度は高いのですが、影響度も強いため積極的に現在の水準を維持すべき項目と言えます。

【ポートフォリオ分析】

【ポートフォリオ分析】

 顧客満足度調査では、満足度に対する評価だけでなく、購入者・使用者の実態を把握する項目も調査項目として設定しなければなりません。満足度評価の背景にある行動実態や意識と絡めて分析することで、よりマーケティングミックス(戦略)に有効なデータが得られるからです。具体的には、以下に示すような「直近の使用商品(スイッチ状況)」「今後の購入意向」「他者への推奨意向」などと満足度の関係性を深掘りすることで、より深みのあるマーケティングデータとしての活用が可能になります。

【貴社現行商品購入者の直近使用商品】

【貴社現行商品購入者の直近使用商品】

【今後の貴社ブランドの購入意向/推奨意向】

【今後の貴社ブランドの購入意向/推奨意向】

顧客満足度調査応用事例

 顧客満足度調査の結果は客観的な顧客の評価として指標化し、社内のすべての部門で共有することが重要となります。そのためには各部門にCS推進委員を置き、独立した組織としてのCS推進委員会やCS推進室を設けるなどの組織体制づくりまで行うことで、より活用の幅が広がることになります。
 また、顧客とともに重要なステークホルダーである従業員に対する満足度調査(ES調査)を実施し、顧客の意識と乖離がないかどうかをチェックすることも、より自社の現況を捉えるためには有効と思われます。

調査のご相談や見積りのお問い合せ、資料請求がございましたらお気軽にご連絡ください。