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【持ち家vs賃貸】データから見える最近の傾向。それぞれどんな人が向いている?

2021 / 11 / 05

#生活 文化,#市場調査,#データ分析・活用

【持ち家vs賃貸】データから見える最近の傾向。それぞれどんな人が向いている?

「持ち家と賃貸はどちらがお得か」という議題は、昔から広く議論されてきました。持ち家にも賃貸にもそれぞれメリット・デメリットがあるため、一概にどちらか一方が優れているとは断言できません。そこで今回は、総務省の「住宅・土地統計調査」のデータをもとに持ち家と賃貸の最近の傾向を探り、それぞれどのような人が向いているのかを検証していきます。ぜひ今回紹介するデータをマーケティングにも生かしてみてください。


持ち家と賃貸の比率の推移

持ち家に住むか、それとも賃貸住宅を選ぶか、それぞれの比率については総務省の「住宅・土地統計調査」で確認することができます。持ち家と賃貸の比率について、1978年から2018年までの40年間でどのような変化があったのかを探っていきましょう。
参考:http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/index.html

持ち家の比率は60%前後で大きな変動はない

1978年の持ち家は60.4%、賃貸住宅は39.4%となっています。それから40年後の2018年の持ち家率は61.2%を記録。途中、1988年から1993年に59.8%まで持ち家率が減少することもありましたが、全体的に大きな変動はありません。


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20代後半から40代以下の持ち家率が低下傾向にある

年代別に持ち家率を見ると、特に若者の持ち家率が大きく低下していることが分かりました。1978年の25~29歳の持ち家率は28.1%ですが、2018年には19ポイント減少し9.1%まで低下。30代も1978年から15.9ポイント下落して35.9%となっています。この40年間で持ち家率が増加したのは65歳以上(4.1ポイント)のみで、その他の世代は軒並み低下傾向にあります。


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家を購入するタイミングが30代から40代へ

1978年では20代後半での持ち家率は28.1%だったのに対し、30代では51.8%へと大幅に上昇しており、1978年から1983年までの間は30代で家を購入するケースが大半だったことが読み取れます。しかし時代経過と共に30代の持ち家率は減少に転じ、人々の生活は大きく変化しつつあります。

2018年には、25~29歳の持ち家率は9.1%、30代の持ち家率は35.9%まで低下しました。約40年前には30代の半数以上の人が持ち家を持っていたのに対し、現在では約3割の人しか持ち家を保有しておらず、持ち家率が過半数に達するのは40代(57.9%)からです。40年前は30代で家を購入する人が大半でしたが、現代では40代になって家を持つケースが増えていると言えるでしょう。

比率が変わる理由

一般的には、土地や建物の値段が下がると住宅を購入するハードルが下がり、持ち家率が上昇するようなイメージを持たれがちです。しかし、この40年で住宅価格が大きく下落したリーマンショック後においてすら、持ち家率はほとんど変動していません。
では、持ち家や賃貸住宅の比率はどのような要因で変化するのでしょうか。


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ライフスタイルの変化

1つ目の要因として考えられるのは、ライフスタイルの変化です。
例えば老後2,000万円問題がマスメディアでも大きく取り上げられる昨今、「将来のために大きな借金を背負いたくない」という人が増えれば、高額な住宅ローンを組む持ち家ではなく賃貸住宅を選択するケースが増えるのも不思議ではありません。

また、晩婚化や晩産化も持ち家比率の変動に少なからず影響を与える可能性があります。
内閣府の「少子化社会対策白書」によると、1985年に比べて2017年の平均初婚年齢は男性で2.9歳、女性で3.9歳上昇し、第1子を出生する年齢も4.0歳上昇しています。
参考:https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-3.html

家族が増えることでスペースの広い持ち家を購入するケースも多いですが、晩婚化や晩産化が進むことで20代や30代前半での持ち家率が減少する半面、30代後半や40代で持ち家率が高くなることもあるでしょう。

働き方の変化

総務省のデータでは、1978年から1983年までの間、30代で家を購入するケースが大半でした。持ち家を保有するには高額な資金が必要なことから、やはり働き盛りである年代になってから家を購入するケースが多いでしょう。

以前は、55歳や60歳で定年を迎える時代でしたが、現在は再雇用契約を結べるため70歳近くまで仕事を続ける人も増えてきました。そのため、働き盛りと言われる年代は30代から40代・50代へと年齢が高まり、その結果、30代の持ち家率は減少傾向にあるのではないでしょうか。

賃貸サービスの変化

時代の変化と共に賃貸サービスが便利になることで、持ち家よりも賃貸住宅を選ぶ人が増える可能性もあるでしょう。

例えば最近では、カスタマイズやDIYに対応した賃貸住宅が増えてきました。マンションやアパートでも自分の好みに合わせて部屋のレイアウトを変えられるため、わざわざ持ち家を購入する必要性が薄くなったと言えます。

また、現在は分譲マンションや一戸建てでも賃貸契約を結べるようになったため、賃貸住宅の優位性も高まっています。このように賃貸サービスのクオリティが向上することで、40年間ほとんど変動しなかった持ち家率も減少に転じるかもしれません。

持ち家に向いている人

持ち家のメリットとデメリットを知ることで持ち家に向いている人を知ることができます。メリット・デメリットは以下のようなものが挙げられます。

【持ち家のメリット】
・資産として計上でき、将来的に換金できる可能性がある
・住宅ローンを完済すれば支出が減り、生活に余裕が生まれやすい
・オーナーに許可をとることなくリフォームや建て替えができる
・ローン契約者に万が一のことがあっても団体信用生命保険があるので安心

【持ち家のデメリット】
・住宅ローン返済の経済的な負担が大きい
・メンテナンスが必要になれば、すべて自分で手配する必要がある
・手軽に居住地を変更することができない
・相続時に家族間のトラブルを引き起こしてしまう恐れがある

上記のようなメリット・デメリットがある上で、持ち家に向いているのは以下のような人です。

収入が安定しており退職までに住宅ローンを完済できる人

住宅ローンはメリットとしてもデメリットとしても作用します。住宅ローンを完済することができれば重い返済負担から解放され、その後は余裕のある生活を送りやすくなるでしょう。しかし、住宅ローンは最長35年間支払わなければならず、完済するまでは返済の負担が重くのしかかります。

よって持ち家を購入する場合、第1の条件として収入が安定している点は必須です。ローンを組んだ当初は安定した給与を受け取っていても、景気の悪化や今回のコロナウイルスのような影響があると突然収入が途絶えるケースもあります。ローンを組む際は将来のこともよく考え、確実に返済を行おうとする覚悟も必要です。

家族に持ち家を相続財産として残したい人

幅広い用途で資産として活用できるのが持ち家の魅力です。持ち家を売ればまとまった資金を確保できる他、社会的な信用にもつながります。よって配偶者や子供、孫などに資産を残したい人には、賃貸よりも持ち家のほうが向いています。

ただし、相続人が複数に及ぶ場合、遺産相続をめぐってトラブルが生まれやすいので注意が必要です。


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賃貸に向いている人

次に、賃貸のメリット・デメリットを紹介した上で賃貸に向いている人を検証していきましょう。メリット・デメリットは以下のようなものが挙げられます。

【賃貸のメリット】
・ライフスタイルの変化に合わせ気軽に住み替えができる
・収入が減少した場合でも居住費を柔軟に調整しやすい
・施設内のメンテナンスに時間や費用を割く必要がない
・固定資産税や不動産取得税といった税金が不要

【賃貸のデメリット】
・引っ越しをするたびに引越し代や処分費、修繕費などが必要になる
・賃貸住宅を借りている間は永久に家賃を支払わなければならない
・内装や設備を自分でカスタマイズできないケースが多い
・近隣とのトラブルに巻き込まれる可能性がある

上記のようなメリット・デメリットがある上で、賃貸に向いている人について解説していきます。

居住地や働き場所が一定ではない人

例えば一人暮らしを行っていて数年単位で気分転換に引っ越しをしたい、あるいは将来的に勤務先が変わる可能性がある場合には、持ち家よりも賃貸住宅が向いているでしょう。また、この先田舎への引っ越しや老人ホームへの入居を考えている人も、ライフスタイルに合わせて柔軟に居住地を変更できる賃貸のほうが最適です。

賃貸の場合は、たとえ急に収入が減ったとしても安いアパートやマンションに引っ越すだけで済みます。将来の見通しが難しいという場合には、賃貸の方が恩恵が大きいと言えるでしょう。

出費をコントロールしたい人

賃貸住宅に住む以上は永久的に家賃を支払う義務が発生するため、30年や40年の期間で見れば持ち家のほうがコスト・メリットは大きいようにも思えます。しかし持ち家でも、建物が古くなれば修繕やリフォームのために高額な出費が必要になります。

その点、賃貸では施設の修繕やリフォームに費用や時間を割く必要がありません。家賃の点においても、例えば老後は自分の年金支給額に見合った家賃の賃貸物件に引っ越せば、出費をうまくコントロールすることもできます。

まとめ

持ち家の比率はここ40年間大きく変わっておらず、約60%の水準を維持しています。しかし年代別に見ると、特に20代後半から40代以下で大きな変動が見られました。こうした変動は、時代の移り変わりと共にライフスタイルや働き方、賃貸サービスが変化することによって起こり得ます。

もしかすると今後は上記のような要因がさらに加速し、持ち家と賃貸の比率が一変するかもしれません。ぜひ今回ご紹介したデータをマーケティングにも生かしてみてください。


■住まい、住宅に関するネットリサーチの詳細はこちら
https://www.cross-m.co.jp/monitor/specialmonitor/home/


【参考URL】
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/hikaku/mochiie_chintai/
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/23972
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00247/022200004/

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