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因子分析とは

  • 因子分析は「多変量解析」の分析手法のひとつであり、数多くの変数を少数の潜在変数(因子)に要約してまとめる分析手法です。
  • 解析によって得られる結果から、特に影響度の強い潜在変数(因子)を発見できます。
  • また、潜在変数(因子)に対する反応の違いから、個々の回答者(ユーザーや属性グループ)の意識・行動や志向性の違いを明確化できます。
  • 例えば、ある商品カテゴリーのユーザー評価から、購入に結びつく評価要因を把握し、自社及び競合社がそれらの志向性に対してどのような位置づけにあるかを明確化します。

 顧客アンケートや店頭調査の結果は、どのように分析していらっしゃいますか。当然のことながら、得られた回答データは入力・集計され、属性別、ユーザー・ノンユーザー別、営業所別等々の細分化されたデータとして、次期のマーケティングミックス(戦略)の基礎データとして活用しておられることと思います。そのような中で、質問項目が多岐に渡り選択肢(回答カテゴリー)が20個以上になり、分析や結果の集約作業に煩雑な思いをされたようなことはありませんか。

 因子分析は、そのような数多くの説明変数のデータセットの中から潜在的な共通性を見出し、同じ意味合いをもつ説明変数(因子)のグループに分類・集約する「多変量解析」と呼ばれる分析手法のひとつです。多変量解析は、目的変数(外的基準)と説明変数(内的基準)の因果関係を明らかにする手法と、質問項目や回答した対象者の整理、分類、類似度を明らかにする手法に大別され、前者を「目的変数(外的基準)のある手法」、後者を「目的変数(外的基準)をもたない手法」と言います。因子分析は、後者の「目的変数(外的基準)をもたない手法」であり、多くの説明変数を分類し、それぞれの分類された同じ意味合いをもつグループの項目間の中での影響度の強さを明らかにする手法です。

代表的な多変量解析の手法は、解析するデータによって以下のように分類されます。

【代表的な多変量解析の手法】

目的変数(外的基準)の種類 説明変数(内的基準)の種類 解析手法
目的変数(外的基準)がある 数量 数量 重回帰分析
数量 分類(カテゴリー) 数量化理論Ⅰ類
分類(カテゴリー) 数量 判別分析
分類(カテゴリー) 分類(カテゴリー) 数量化理論Ⅱ類
一対比較/順位(得点・ランク) 分類(カテゴリー) コンジョイント分析
数量 数量 共分散構造分析(SEM)
目的変数(外的基準)がない - 数量 因子分析
- 数量 主成分分析
- 数量/クロス集計表 コレスポンデンス分析
- 数量 数量化理論Ⅳ類
- 数量 クラスター分析
- 分類(カテゴリー) 数量化理論Ⅲ類

因子分析事例

 ある商品カテゴリーのユーザーアンケートから、メーカーブランド25社の購入選択時の重視点について因子分析を行ってみましょう。

①ブランドイメージを形成する潜在的因子の影響度
 ある商品のユーザーに、使用しているメーカーの購入選択時の重視点をアンケートした結果から因子分析を行います。
 各ユーザーには、使用しているメーカーブランドの購入選択時の重視点(21項目)について、それぞれ5点満点(重視しない:1点~重視する:5点)で回答を得ました。因子分析の実行に当たって今回は、ユーザー別の評価(複数のユーザーの回答肢ごとの平均値)をユーザー個々の回答結果と捉え分析しています。

【因子分析解析結果(因子負荷量/寄与率)】

【因子分析解析結果(因子負荷量/寄与率)】

 因子分析を行った結果、「因子1」から「因子7」まで7つの潜在的な説明変数(因子)が抽出されました。評価項目ごとに各因子に対して示されている数値は「因子負荷量」と呼ばれ、因子との相関関係を意味します。また、「固有値」はそれぞれの因子が21の評価項目のうち、どの程度説明できているかを示すもので、固有値の大きい順に因子として抽出されます。よって、因子1が最も説明力があり、順に因子2、因子3・・・の順で説明力は弱くなっていると捉えられます。固有値自体を比較するために、固有値を項目数で割った値が「寄与率」です。寄与率を累積した値を「累積寄与率」と呼びます。今回は、累積寄与率が「0.880」となりましたので、解析により7因子で21項目の情報の88%を説明できたことを表しています。

 各因子の特徴を探るには因子負荷量に着目します。因子負荷量は評価項目と各因子との相関関係を示す値で、-1から+1の値をとります。絶対値が0.5以上の因子負荷量の値をもつ評価項目が当該因子と関係が強いと判断し、因子の順番に並び替えて見やすい表にしています。関係性の強いと思われる評価項目を有しているかを解釈して、当該因子の潜在的な意味合いを解釈してふさわしい因子名をつけます。

 その結果、今回の7因子は以下のような名称を持つ潜在的な説明変数であると解釈しました。
・因子1:サービス対応力
・因子2:ユーザー志向
・因子3:商品力
・因子4:グローバル感
・因子5:製品の信頼性
・因子6:ファッション性
・因子7:広告・宣伝力

 因子分析の解析に際して因子の数は任意に設定できます。あくまで、結果のアウトプットは多数の項目の分類と集約が目的となりますので、経験的に3分の1程度の数を設定し固有値や累積寄与率を確認しながら最適な因子数を判断します。

 以上から、当該商品カテゴリーのユーザーは、特に「サービス対応力」や「ユーザー志向」、「商品力」といった点を重視してメーカーブランドの選定を行っていると言えます。

②競合間のポジショニング
 因子ごとに個別の回答者(ここでは25社のメーカーブランドのユーザー)の評価項目の因子負荷量によりウェイトづけされた値により導き出される値を「因子得点」と呼びます。この因子得点により2因子間のポジショニング図を描き選択重視点の違いを見れば、競合に比べて自社がどのような点で優位(または劣勢)に立っているかを俯瞰できます。

【ユーザーごとの因子得点】

【ユーザーごとの因子得点】

 因子得点の結果から、最も説明力の高い因子1(サービス対応力)と次に説明力の高い因子2(ユーザー志向)で各社の評価の位置づけをみてみると以下のようなマッピングとなりました。

  これから競合間を比較してみるとG社、P社、R社はサービス対応力、ユーザー志向ともに優れたブランドと評価されユーザーに選択されていることがわかりました。逆に、I 社、J社、T社、、W社、Y社はサービス対応力、ユーザー志向ともに評価は低く、別の要因からユーザー選択がなされているようです。

因子分析の応用事例

 調査企画の段階で質問項目の精査を行いたい場合に、過去の調査結果から因子分析を行い質問項目を整理・統合するなどの活用法もあります。