重回帰分析 | リサーチ・市場調査・マーケティング

重回帰分析

重回帰分析のポイント

  • 重回帰分析は「多変量解析」の分析手法のひとつであり、複数の要因とそれによって変動する結果の因果関係を解析するのに適した分析手法です。

  • 解析によって得られる重回帰式により、複数の要因(説明変数/内的基準)がその変動によって生じる結果(目的変数/外的基準)に与える影響度と要因の相対的な重要度が求められます。

  • 例えば、商品や企業の売上や顧客満足度評価の向上には、どのような要因がどの程度影響しているか分析が可能です。

  • また、この重回帰式の適合度が十分に高ければ、予測モデル式として説明変数の将来変動予測値や目標値を用いて、目的変数(変動によって生じる結果=売上や満足度評価)の変動を予測するシミュレーションが可能になります。

 貴社の営業データはどのように管理していらっしゃいますか。多くの企業様は週次、月次、四半期、半期、年次とタイムテーブルに則った営業会議の資料としてまとめておられることでしょう。また、それは取引先別、エリア別、営業所別、部門別等々の細分化されたデータとして再加工し、次期のマーケティングミックス(戦略)の基礎データとして活用しておられることと思います。中には、取引先や顧客への満足度調査とも突き合わせて、営業成績の好不調の原因を探っておられる企業様もおありかと思います。それらのデータ間の関係性を解析する手法として、ここでは重回帰分析を紹介します。
 重回帰分析は、そのような多岐に渡るデータセットの中から、営業成績とそれに関連する要因の関係性(因果関係)を探る「多変量解析」と呼ばれる分析手法のひとつです。多変量解析は、目的変数(外的基準)と説明変数(内的基準)の因果関係を明らかにする手法と、質問項目や回答した対象者の整理、分類、類似度を明らかにする手法に大別され、前者を「目的変数(外的基準)のある手法」、後者を「目的変数(外的基準)をもたない手法」と言います。重回帰分析は、前者の「目的変数(外的基準)のある手法」であり、変数間の因果関係を解明する手法です。

代表的な多変量解析の手法

代表的な多変量解析の手法は、解析するデータによって以下のように分類されます。

代表的な多変量解析の手法

重回帰分析事例

 ある企業様の取引先別の営業データから重回帰分析により、次期売上の予測及び要因の重要度を探ってみたいと思います。
①次期売上予測
 データセットの諸元は目的変数として「取引額」、説明変数には「営業訪問回数」「営業マン満足度」「展示会参加回数」「値引率」の4つが相関関係にあると判断しました。
 ・データ単位/内容
 「取引額」:万円/年間
 「営業訪問回数」:回/月
 「営業マン満足度」:得点/5点満点(非常に不満1点~非常に満足5点)
 「展示会参加回数」:回/年(四半期ごと年4回の展示会への参加回数)
 「値引率」:%

 取引先10社のデータをまとめると以下のようになっています。

このデータから重回帰分析を行うと、以下のようなモデル式が得られました。

   Y=37.9776x₁+3.9326x₂+23.0037x₃+38.1742x₄-605.955

 Y:取引額、x₁:営業訪問回数、x₂:営業マン満足度、x₃:展示会参加回数、x₄:値引率、「-605.955」は定数項となります。
 これで、今回の分析対象とした営業データのモデル式が導出された訳ですが、この式は果たして適正なモデル式となっているのでしょうか。検証してみるためには、上記のモデル式に実際の営業データの4つの説明変数を代入して取引額を算出した「理論値」と実際の取引額の「実績値」との乖離がどの程度あるのかを判断基準とします。この乖離の判定には、まずA社~J社までの「理論値」と「実績値」の相関係数を求めます。算出された相関係数は「重相関係数(R)」と言います。さらに重相関係数を2乗したものを「決定係数(R²)」と言い、重回帰分析では、この決定係数を分析精度の判定に用います。決定係数は0から1の値を取り、1に近いほど分析精度は高いと言えます。今回のデータの解析結果の決定係数は0.8721となっており、十分に精度の高いモデル式と言えます。
 ここから、実際にモデル式を使って売上のシミュレーションを行ってみましょう。現在、10社の取引額を合計した売上額は2,800万円です。次期の営業活動は展示会に力を入れて取引先の担当者の参加回数をアップさせて売上拡大につなげたいと思った時のシミュレーションとして、年4回の展示会にすべての担当者に参加してもらったらと仮定して理論値を算出してみます。ただし、F社とI社の担当者は今期も4回参加しているので実績値のままと想定します。

 シミュレーションの結果をみると、この施策が実現できれば売上額は3,106万円となり、今期より306万円ほど拡大する可能性が見込まれます。

②要因の重要度
 重回帰分析で導出された先ほどのモデル式のx₁からx₄に掛け合わされる数値は「回帰係数」と呼ばれ、取引額Yに対する貢献度を意味し、単位はYに等しく「万円」です。
 説明変数(要因)の重要度はこの回帰係数の大きさとイコールではありません。なぜなら説明変数ごとの単位はもともとYや他の変数と違っているからです。この単位の違いを取り払った上で、重回帰分析を行い得られた回帰係数が重要度を判定する基準となります。この回帰係数を「標準回帰係数」と言います。
 単位の違いを取り払うためには、各変数の「基準値」を求める必要があります。基準値は「(実測値-実測値の平均)÷標準偏差」で求められます。

基準値を元に重回帰分析を行った結果、以下のような式が得られました。基準値による重回帰分析では定数項は0になります。

   Y=0.3928x₁+0.0465x₂+0.3119x₃+0.5527x₄

 これにより得られた標準回帰係数から説明変数(要因)間の相対的な重要度を判定します。通常は、標準回帰係数の合計を100%とした場合の各変数の占める割合の大きさで重要度は示されます。この各変数の標準回帰係数が占める割合を「寄与率」と呼びます。
 標準値による重回帰でも「値引率」が最も重要度が高く、「営業マンの満足度」の重要度は最も低く、売上拡大には価格政策が重要なカギとなるようです。

重回帰分析応用事例

 重回帰分析のモデル式を応用して、以下のような分析も可能です。
・取引額を目標額として固定して、それを達成するためには各変数(要因)をどの程度向上させれば目標額を達成できるかを逆シミュレーションできます。例えば、売上目標○○万円、顧客満足度○○点を達成するための「行動成果目標」を理論的な数値目標で設定できます。

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