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商品開発担当者の目線から見た、理想的なデータ活用のあり方を考察する

2019 / 11 / 07

#テクノロジー,#コミュニケーション,#ブランディング

商品開発担当者の目線から見た、理想的なデータ活用のあり方を考察する

企業において商品開発部門の担当者がよく扱う消費者データと言えば、アンケートデータ(意識データ)と購買データの2つが挙げられると思います。そして商品にまつわるアンケートと言えば、企画した商品のコンセプト受容性調査や、競合商品を含めた使用実態調査が一般的です。

個人に閉じてしまいがちな商品開発現場のデータ活用

アンケートは弊社を含めた調査会社にご依頼いただくことで簡単に実施することができるため、あらゆる業界、あらゆる企業の担当者が活用しています。

しかし一方で、担当者個人が自由に設計して発注できるがゆえに、そのデータは部署内に留まるどころか個人パソコンのデスクトップに放置されたまま共有されなかったり、共有されたとしても社内のファイル共有サーバーのとあるフォルダに無造作に格納されたまま誰にも紐解かれずに生涯を終えたり、誰かにファイルを開いてもらったとしても調査の設計が分からなかったりデータ形式が理解できずに結局使えなかったりなど、属人的な状況に陥っているケースは少なくありません。

これでも商品の担当者がずっと変わらないのであれば問題はないかもしれませんが、実際には異動や昇進、業務分担の見直しなどで担当者が変わることはよくあることですし、また残念ながら退職や休職などでも担当が変わるのがビジネスの現場です。

ひとたび担当が変わってしまえば、属人的な状況は組織にとって大きな痛手となりえます。たとえ引継ぎがあったとしても、ファイルの格納先が共有されるだけのような形式的な引継ぎでは現場で活用できるに至らないことが多く、記憶からも風化しがちです。すると、今まで企業として外注費や人件費を投下して獲得してきたはずの知の資産が『なかったこと』になりかねません。

企業として安定した経営を続けていくには、このような経営リスクを回避し、逆に積極的に知の資産として活用できるように積み上げて競争優位を創り出していくことが、一つの経営戦略の姿であると言えるでしょう。

商品マスタと紐づけて意識データを組織共有する

そのような組織的なデータ活用の第一歩として、市場調査(アスキング)によって取得した意識データを標準化して組織共有することが挙げられます。これを具体的に進めていくには、以下のような4段階のステップを踏む必要があります。

 1. 商品マスタの作成
 2. 調査票の標準化
 3. データベースの構築
 4. データ格納運用の設計

まず、意識データがどの商品について聞いたものか誰でも同じように判断ができるように、どんな商品があるかを一覧化して確認できる『商品マスタ』を作る必要があります。この商品マスタを作るうえで重要なのは、商品名を整えること、商品IDによって一意に商品を判別できるようにすること、そして階層によって商品グループやオプションの構造を明確化することです。

というのも、社内で商品が様々な略称で呼ばれたり、細かい表記の揺れが発生したりすることはよくあることであり、『この商品は厳密にはどの商品なのか』がデータから一意に判断つかない場合があるからです。そのため、正式名称は何か、正式な略称は何か、といった情報を整理するだけでなく、それぞれの商品を明確に指し示す商品IDを定義することが必要です。

また、実際の分析現場においては、どこまで細かくデータ分析してPDCAサイクルを回したいかに応じて、商品(アイテム)の上位概念としてカテゴリやブランドを設定したり、場合によってはSKU単位の管理も加えることがあります。ただし、注意しないといけないのは、細かくすればするほど管理が難しくなり、商品マスタの存在が形骸化してしまう点です。基本的な考えとしては、業務要件を確認したうえで、必要最小限の構造にて商品マスタを作るとよいでしょう。

次に、アンケートでどんな質問をするかを設計する『調査票』の標準化ができると望ましいです。というのも、調査票を各々の担当者が自分でゼロから作成していると、意図なく質問文や選択肢に違いが生じてしまい、過去に実施したアンケートを理解するのに時間がかかってしまうからです。もちろん意図があっての特殊な設計は許容されるべきですが、例えば職業や年齢のような一般的な質問を聞くときでも深い意味はなく選択肢が異なっていれば、それだけで調査を横断してデータ分析することが非常に難しくなります。そのため、基本路線としては、『深い意味がなければ表現が揃っているようにする』ために、調査票を標準化してテンプレートとして共有することが望ましいと言えるでしょう。

商品マスタと調査票の標準化ができれば、実際にアンケートデータを格納するためのデータベースの構築と、データ格納運用の設計に入ります。発注する調査会社を固定せず、複数の調査会社に依頼している場合、データの納品形式はその調査会社ごとにオリジナルであることがほとんどであり、そのまま社内共有すると分析時にデータ形式の理解に手間がかかり、肝心な分析に専念しづらくなります。これについても、社内共有するデータ形式は1つに統一したうえで、調査会社から納品されたデータを共通形式に変換する運用を構築したり、調査会社に共通形式での納品を依頼したりするなどの対応を考えるとよいでしょう。

このようなステップを経て意識データの組織共有が実現すると、様々な商品についての消費者意識を横断して分析できるようになります。異動や退職によるリスクの軽減だけでなく、他の人が担当している商品でどんな市場調査が行われているのかも簡単に検索できるようになると、担当者間での学び合いが深まることも期待できるでしょう。

行動データも統合し、購入の前段階もデータで把握する

商品に関して活用できるデータは、なにも意識データと購買データだけではありません。例えばウェブサイトやアプリを運営していれば商品に関連するページのアクセスログは貴重なデータですし、メールマガジンを配信していれば商品に関連するメールのログや開封率、クリック率なども貴重なデータです。

しかし、こういったアクセスログやメールログといった行動データの活用は、得てしてデジタルマーケティングの担当者に閉じてしまいがちです。アクセスログの分析単位は、どれくらいのUUが獲得できたかとか、どれくらいのコンバージョンが得られたかとか、ウェブサイト全体での話になりがちです。また、メールマガジンに関しても同様です。

商品のマネジメントという側面から行動データの活用のあるべき姿を考えると、ウェブサイトのページやメールマガジンなどの各種コンテンツがどの商品と関連しているかのフラグ管理を実施したうえで、フラグを基準に各種行動データを抽出・加工して、商品マスタと紐づけて分析ができるとよいでしょう。場合によってはTwitterなどのSNSのデータを統合することも価値が大きいかもしれません。

このようなデータ統合を実際に行う場合には、第一に各種デジタルマーケティングのコンテンツと商品マスタの紐づけ運用を設計すること、第二に行動データの抽出・加工運用を設計することが必須であり、多くの場合は部署を超えた連携が必要になってきます。

一筋縄ではいかない業務改革ではありますが、これによって購入データでは捕捉できない購入の前段階についても商品ごとに分析が可能になります。ここまで来ると、商品開発の担当者に閉じていたデータ活用とは全く異なる組織の力が見えてきます。

あらゆるデータを統合することで全社にアピールする商品マネジメント

このように、商品を軸にあらゆるデータが統合されたデータ活用環境が実現すると、商品開発に携わる担当者以外のあらゆる部署が、そのデータから得られる知見を欲するようになると思われます。例えば、より多くの売上を作りたい営業部門が商品の売り方のヒントを求めたり、普段は行動データをもとに施策を考えているマーケティング部門がこれから紹介する商品の消費者から見た印象を知りたかったり、また経営層が経営戦略を考えるうえで商品ラインナップを棚卸して今後の力の入れ具合を検討することにも、このデータ活用環境は役に立つでしょう。

意識データと行動データを含めたあらゆるデータを統合すると一口に言っても、そのデータ統合の方針は『どんなデータ活用を行いたいか』という目的に応じて理想形が変わってくるため、思いつきでデータ統合を始めてみても、思ったような分析ができないどころかデータ統合自体の業務負荷が大きいがために運用が破綻しかねません。こういった取り組みを行う場合は、すでに知見のあるパートナーをアドバイザーとして入れたり、データ統合作業の一部をアウトソースしたりするなどで、よくある壁にぶつからずに乗り越えることが可能です。

クロス・マーケティングでは、マーケティングリサーチ企業として長年培ってきたアスキングによる意識データの取得・分析の実績を基盤としつつ、クライアントニーズに合わせたフルカスタマイズのデータ分析サービスを提供してきた結果、担当者のみではなかなか進めづらい全社的なデータ活用の業務改革プロジェクトを外部アドバイザーとして支援することが多くなってまいりました。このようなデータ活用支援にご興味のある方は、ぜひ営業担当もしくはお問い合わせフォームからご相談くださいませ。

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