Data Marketing データマーケティングコラム
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KPIツリーとは|KGIの達成に向けた必須要素を把握するために
2024 / 03 / 26
店舗やECの運営であれば売上の増減に、マーケティングであればコンバージョン数の増減に、一喜一憂する状態が一年中続いている事業担当者/マーケターは意外と多いのではないでしょうか。「なぜ売上/コンバージョン数が下がったのか(上がったのか)」が分からなければ、適切に改善施策を打つことはできません。そこで役立つのが「KPIツリー」です。小売業界であれば、会員データをもとにしたKPIツリーを設計することで、売上が上下する要素を具体的に解明し、効果的な対策に繋げることができるはずです。本記事では小売業界の売上データを例にあげて、KPIツリーについて解説します。
KPI/KGIとは
KPI(Key Performance Indicator)は重要業績評価指標のことで、KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を達成するまでの過程で存在するゴールのことです。KGIが経営戦略レベルの最終目標(売上・利益・利益率・シェア・成約数など)であるのに対し、KPIは短期的な戦術レベルの中間指標を指します。
適切にKGIとKPIを設定できている場合、KPIを達成していればKGIも達成し、KPIが未達であればKGIも未達になるはずです。もしKPIが達成(未達)しているのにKGIが未達(達成)する場合は、適切にKPIを設定できていない可能性が高いため、見直しを検討してみてください。
KPIツリー図
KPIツリーとは、KGIを達成するために分解したKPIの関係性を、ツリー形式で可視化したものです。KPIツリーを作成することで以下3つのメリットを享受できます。・目的やプロセスを明確化できる
・売上増減の原因が明確化することで、具体的な施策に落としやすくなる
・各指標の可視化により、施策の効果検証がしやすくなる
KPIツリーは業界や事業モデル、ターゲットによって無数のパターンがあり、すべてを網羅的に解説することはできません。そのため、以下の図は売上をKGI、売上を構成する各要素をKPIとしたときの、小売業界の一般的なKPIツリーとしてご覧ください。
そして客数は「ユーザー数」×「購入回数」と表せます。また前提として、客数は「訪問者数」×「購入率」で算出します。次に、ユーザー数は「登録者数」×「アクティブ率」、もしくは「RFMランク*」「属性(性・年代・住所)」などのセグメントで分解することが可能です。最後に客単価は「平均購入点数」×「平均一品単価」に分けられます。
*RFM分析とは
Recency(直近購入日)/ Frequency(購入頻度)/ Monetary(購入金額)の3つの指標で顧客をグループ分けする分析手法です。
詳細は以下の記事をご覧ください。
RFM分析のメリットと実施方法とは?考慮すべき点も解説
上記の図はあくまで一般的な小売業界のKPIツリーです。実際には、店舗やEC、通販などの販売チャネルごとに売上の分解要素が異なる場合もあり、そのときは販売チャネルごとにKPIツリーを作成することになります。
また業種や商品によっては全体をまとめて確認するよりも、カテゴリー別/部門別などでKPIツリーを作成したほうが実態を把握しやすいケースもあります。とはいえ、全体像を把握しなければ、細かく分解すべきかを判断することはできないため、まずは全体のKPIツリーを作成してみることをオススメします。
KPIツリーの活用方法
KPIツリーを作成するだけで満足してはいけません。KGIを達成するための施策検討に活かして、はじめて効果を発揮します。「売上げの増減に影響を与えているのは、KPIツリーのどの『要素』なのか」「それはなぜ起こっているか」を正確に把握することができれば、改善や増長の施策に繋がるはずです。そのためには各KPIの目標と実績をモニタリングできる体制を整えましょう。
先ほどの例でKGIとなる月間売上目標を1,000万円、KPIとして客数2,000人、客単価5,000円を設定したとします。
そして、とある月の売上実績が「900万円」で未達しました。この結果だけでは、何が原因で未達したのか分かりません。KPIの実績をみると、客数1,500人、客単価6,000円となっており、客単価は目標を達成していて客数に課題があることが分かりました。そして客数をさらに分解してデータをみる……を繰り返していくと、なぜ売上が未達したのかの原因が見えてきます。
結果として「20代のユーザー数が大幅に未達していること」が分かれば、20代のユーザー獲得に向けた改善施策を打ち出せばよいとなるわけです。もちろん、こんな簡単に課題が見つかることは稀です。実際にやってみると「未達のKPIが複数見つかり、何が一番の原因か分からない」といったケースも出てくるでしょう。その場合も、一つずつ仮説検証を繰り返していければ、きっとKGIの達成に近づいていくはずです。
売上が減少したからと言ってやみくもに実施したセールや施策とは、得られる効果も次回への知見としても大きく変わってきます。ぜひKPIツリーを作成し、施策の検討に活かしてください。
クロス・マーケティングでは
クロス・マーケティングがご支援するジャーニーデータ分析では、顧客データを時系列に並べて顧客行動を理解することができます。その過程で、「レイヤー分析」を実施し、KGI達成のための要素分析も行います。「レイヤー分析」ではデータから現状の利用状況や売上構成を分解し、各項目(KPI)の健康診断を実施。優先して解決すべき課題点を明らかにしていきます。
「レイヤー分析」のみのご支援はもちろん、さらに顧客単位で行動を理解する「ジャーニーデータ分析」のご支援も可能です。KPIツリーを自社で作成して分析することに不安がある方は、お気軽にお問合せください。