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生命保険の未来をつくる。ライフネット生命保険会社が考えるこれからの「保険」のマーケティングのあり方

【後編】後発ゆえに意識する「業界初」へのチャレンジ

2019 / 08 / 30

#生活 文化,#差別化

【後編】後発ゆえに意識する「業界初」へのチャレンジ

対人営業を行わず、インターネットでの加入に特化したライフネット生命保険会社。通信機器の進化、通信速度の高速化と消費者の意識の変化とともに成長を続けている。今後、通信も5G時代へ突入することでその変化は加速するのではないだろうか。引き続き岩崎那歩氏に聞く。

テレビでもウェブでも、目指すのは「見積り」

堀:パソコンからスマートフォンへの移行という変化を感じているということですが、スマートフォンで保険に加入することが当たり前の時代になりそうですか。

岩崎:消費者の意識は変わっていくと思っています。最近はオンライン、オフライン共に顧客接点が分散してきていると思います。これからの生命保険の販売方法や保険との関わり方も変わっていくのではないでしょうか。

堀:その接点作りではどのようなことを意識されているのでしょうか。

岩崎:日本の生命保険業界は100年以上の歴史があり、そのなかで当社はかなり後発の会社になります。すでに実績のある競合が多い市場で選ばれるためには、少し突飛でも、これまでの業界になかったような施策にチャレンジが必要になる場合もあると考えています。
 2016年にLINEのチャットで生命保険の相談をできるようにしたのは当社が初めてです。(※ライフネット生命調べ)顧客接点の1つとして、新しいアプリケーションやツールは駆使していきたいと思っています。


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堀:テレビとウェブ広告への予算配分の最適なバランスを取るために、何か取り組みはされていますか。

岩崎:テレビとウェブの広告予算は分けていますが、どちらの場合でも目指しているのは当社のサイトで見積りをしてもらえるか。そのためそのルートはそれほど重視していません。より見積りをしてもらえるところに予算を寄せるということもあります。

堀:LINEの見積りという話もありました。今はどんどん新しい手法が生まれていて、キャッチアップすることも大変だと思います。

岩崎:自分たちで情報収集もしていますが、やはりいいパートナーを見つけることだと思います。今、いくつかの広告代理店やメディアと仕事をさせてもらっていますが、それぞれ私たちだけでは集められない情報を持っています。

コミュニケーションの手法は変わってもコンセプトは変わらない

堀:スマートフォンでの保険加入を当たり前にするためには、30〜40代のメインターゲットに加えて、より若い世代も意識する必要があります。一方でどの企業も20代など若年層の取り込みに苦労しています。


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岩崎:今の若者世代は多様化していて、テレビをあまり見ない層も増えており、みんなが必ず見るコンテンツというものもありません。生命保険はそれぞれのライフステージに合わせて検討をすることが多いため、デモグラや年齢だけのセグメントは有効ではないと思います。クラスターごとにどういう嗜好で、どんな考え方を持っているのか、丁寧にブレイクダウンしてコミュニケーションを取らないと獲得できない。そこに難しさがあります。


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スマートフォンで手軽に問い合わせができるようになっている


堀:スマートフォンとの親和性でいえば、ライフネット生命保険会社との親和性は高いはずです。

岩崎:20代は保険や金融商品に対する心理的なハードルが高いかもしれませんが、当社の商品は掛け捨て型のみを提供しておりわかりやすさを重視しています。マーケティング部には業界出身者が少ないですが、そんな私たちでも説明できるシンプルな商品ですので、保険のことがまだ詳しくない方でも比較的とっつきやすいのかなと思います。

堀:5Gが実用化され、コミュニケーションはよりリアルに近くなっていくと予想しています。コールセンターとテレビ電話で、ということもあるかもしれません。

岩崎:私たちはインターネットで販売する、顔の見えない生命保険会社であるがゆえに、いかに親しみが感じられる状況を作るかに注力してきました。そのためのツールとして、実際にライブカメラでオペレーターの顔が見えた方が良いのであれば取り入れることはあるかもしれません。ただそれは、コミュニケーションの形が変わるだけであって、私たちが積み重ねてきたコンセプトが変わるという意味ではないと思います。

取材後記「インサイトスコープ」

急速に普及が拡大してきたスマートフォンでようやく金融ビジネスも盛んになってきました。ライフネット生命保険のターゲットは、30~40代とインタネットでの買い物を当たり前に行う世代です。しかし、近年では中高年層において急速に普及が拡大していることから、スマートフォンを活用した金融取引において全世代が利用する時代もそう先ではないと言えるのではないかと考えています。スマホ=若者ではなく、既存の対人サービスをスマホに置き換えるのでもなく、全世代でスマホだから出来ることが新たな市場の創造につながるのではないでしょうか。

堀 好伸(株式会社クロス・マーケティンググループ)

岩崎 那歩
ライフネット生命保険株式会社
営業本部 マーケティング部

岩崎 那歩

堀 好伸
株式会社クロス・マーケティンググループ
リサーチ・コンサルティング部 コンサルティンググループ コンサルティングディレクター

堀 好伸


<プロフィール>
生活者のインサイトを得るための共創コミュニティのデザイン・運営を主たる領域とする生活者と企業を結ぶファシリテーターとして活動。生活者からのインサイトを活用したアイディエーションを行い様々な企業の戦略マーケティング業務に携わる。「若者」や「シミュレーション消費」を主なテーマに社内外でセミナー講演の他、TV、新聞などメディアでも解説する。 著書に「若者はなぜモノを買わないのか」(青春出版社)、最近のメディア出演「首都圏情報 ネタドリ!」(NNK総合)、「プロのプロセスーアンケートの作り方」(Eテレ)

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