B to CからB with Cへ 顧客起点のマーケティング論 第2回 顧客時間を理解したマーケティング実践事例 | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2013/12/20

B to CからB with Cへ 顧客起点のマーケティング論
第2回 顧客時間を理解したマーケティング実践事例

B to CからB with Cへ 顧客起点のマーケティング論<br />第2回 顧客時間を理解したマーケティング実践事例

お客様の時間をいかに企業に対して使って頂けるか?

お客様との時間共有の重要性が把握できたら、いよいよ顧客時間を軸としたマーケティングの実践です。今回はお客様にいかに弊社のマーケティング施策に時間を割いて頂いているかを具体的な事例を中心に解説をしていきたいと思います。

Social Mediaの最大の活用法はOwned Media回帰

良品計画はSocial Mediaが台頭してくる10年以上前から、ネットを介したお客様とのものづくりを実践し、多くのお客様から「消費者の声を大切にする」企業として認知されています。そのような社風もあり、弊社のSocial Mediaへの参入は比較的早期に、容易に実践することができたと言えます。

そのような中で現在ではfacebookを中心に多くのお客様とのつながりを形成しているわけですが、Social Mediaの真の活用方法はいかにお客様にSocialIDを引っさげて自社メディア(Owned Media)や自社キャンペーンに入ってきてもらうかにあると私は考えます。(図参照)

情報がどんどん流れて行くFlow型のコミュニケーションが中心のSocial Media内で多くの「いいね!」やリツイートを作り出してもなかなか、お客様とのエンゲージメントは高まりません。最近ではSocial Mediaも広告色が強まり、広告を打てば「いいね!」が獲得できる状況になってしまいました。しかし、Social IDの活用ができればお客様自らがMedia化しているSocialMediaにおいての拡散性も期待できますし、企業が抱えている買物データ中心のID管理よりもさらに詳しいライフスタイルや、交友関係が把握できるSocial IDを活用できれば、企業の発信している情報に共感が生まれ、キャンペーンに信頼性が増すのは明白です。

したがって、これからのマーケティングにおいてSocial Mediaの活用はSocialMediaプラットフォーム(facebook, Twitter , mixiなど)内での拡散だけでなく、きっかけをSocial Media内で醸成し、如何に自社メディア、キャンペーンサイトに来てもらうかが重要なわけです。この一連の流れそのものにお客様の時間が詰まっているのです。

Social Mediaを活用した時間共有型キャンペーン 『MUJI HOMEMADE』

上記のような概念を具現化した事例として2012年のクリスマスに行ったキャンペーンである『MUJI HOME MADE』について触れておきます。

このキャンペーンは弊社食品部が親子での時間共有をテーマに開発したお菓子の家が作れる手作りキット商品です。この商品の素晴らしさを伝えるため、WEB事業部では(1)圧倒的な迫力のあるジオラマの作成による話題化(国内最大店舗有楽町店に設置)、(2)Twitter&Instagramを活用した店舗内での撮影許可と拡散、Ustreamによる24時間確認可能なキャンペーンサイト設置、(3)offlineでしか感じることのできないお菓子の匂い&ビジュアルマーチャンダイジングでの来店動機を醸成し、有楽町におけるヘクセンハウスの売上を2011年対比で3倍まで伸ばすことに貢献しました。またこのキャンペーンは後にモバイル広告大賞グッドブランディング賞を受賞し、社外でも評価されています。

このキャンペーンの成功はやはり、今でもタブー視されている店舗からのスマートフォンを活用した写真撮影と情報の拡散、offline(店舗)でしか体験できない圧倒的なジオラマとお菓子の匂いという五感への訴求と共感が、Social Media上に広がったことが要因と言えるでしょう。一見Social Mediaを使った高度なマーケティング施策に見えるかもしれませんが、実はお菓子の街という昔からあるアナログな情報発信をデジタルに載せて伝えているだけなのです。

デジタルマーケティングの可能性

O2Oキャンペーンで我々が最も気にしていることは単なるOnline to Offlineだけでなく、その後に続くOffline to Onlineです。お客様が店舗(Offline)からいかに面白い情報をSocial Mediaというお客様自身がMedia化した場所で拡散してもらえるかがこれからのデジタルマーケティングキャンペーンの肝であり、お客様に時間を使ってもらうということにつながる重要な要素と言えます。

リアル店舗における買物の楽しみをデジタルマーケティングはお客様と時間を共有し、お客様自身が情報を、共感と共にSocial Media上で拡散することで伝えてくれることのお手伝いができるのです。ネットと店舗はもはや敵対関係ではありません。実はずっと前からお客様はO2Oを自らの消費者行動で実践しているのです。メールマーケティングによる店舗への来店などはまさに店舗送客なわけで、O2Oと言われる前から企業が実践していることです、むしろWIN-WINの関係をさらに構築できる時代になったのです。「店舗送客、O2Oは古くて新しいもの」、「デジタルマーケティングの成功のもとはアナログ(五感に訴える=人間の共感)とデジタルの融合が重要」、私はそのように感じています。

今回は少し当初予定を変更してじっくりとSocial Mediaを活用した時間共有型マーケティング事例に話を絞ることにしました。最終回は前回お約束した通り、マーケティングの可視化と関与維持についてMUJI passportから見えて来るデジタルCRMの可能性について言及したいと思います。

株式会社良品計画 WEB事業部長 奥谷 孝司

1997年1月、株式会社良品計画入社。3年間の店舗経験の後、2年間取引先商社へ出向し、ドイツ駐在。家具、雑貨関連の商品開発、輸出入等貿易業務に従事。帰国後は世界のプロダクトデザイナーとのコラボレーションを手掛けるWorld MUJI企画を運営。2003年には(株)良品計画初となるインハウスデザイナーを有する企画デザイン室を立ち上げメンバーとなる。2005年衣服雑貨部へ異動し、衣料雑貨のカテゴリーマネージャーとなり、現在定番商品であるかかとが90°の「足なり直角靴下」を開発しヒット商品となる。2010年2月WEB事業部 部長に就任。 

2010年3月 早稲大学大学院商学研究科夜間主MBAマーケティング・マネジメントコース(守口 剛ゼミ)終了。修士論文「国内ファストファッション業界におけるブランド・パーソナリティー分析と、快楽的、功利的買物価値研究」。

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