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未来を創る新たな事業の発射台 パナソニック アプライアンス社 Game Changer Catapult

【前編】「家電」を「カデン」に パナソニックはなぜGame Changer Catapultを生み出したのか

2020 / 02 / 07

#消費市場,#ブランド メーカー

【前編】「家電」を「カデン」に パナソニックはなぜGame Changer Catapultを生み出したのか

未来の「カデン」をカタチにする。パナソニック アプライアンス社が新規事業開発のために組織したGame Changer Catapult(以下GCカタパルト)は、変化する世の中に新たな価値を創造することを目指している。2016年の立ち上げ以降、シニアの課題を解決するやわらか食カデン「デリソフター」や「OniRobot(オニロボ)」など、プロダクトありきではない事業の種を生み出し、育てている。創業100年を超える家電メーカーの次の時代へ向けた挑戦について、パナソニック アプライアンス社事業開発センターに所属し、GCカタパルトの代表を務める深田昌則氏に聞く。

イノベーションを加速するための組織 それがGCC

堀:パナソニックがGame Changer Catapult(GCカタパルト)を立ち上げた背景にはどのような課題があったのですか。

深田:今、世の中は大きく変化しています。例えば消費者、商品、生産プロセスに流通プロセスという四つの変化があります。生産プロセスでは、専業メーカー、大企業ではなくてもものづくりができるようになった。商品はスマート化し、AmazonやGoogleの音声認識端末などが誕生しています。消費者もモノからコトと言われるように、所有から体験により価値を求めるようになっています。また、シェアリングビジネスの広がりもあり、消費者がモノを作り、売る、サービスを提供するような動きも増えています。

 私たちはそうした変化にうまく対応できていないという課題感のもと、議論を続けてきました。そんなとき、ゼロックスのパロアルト研究所の元所長、ジョン・シーリー=ブラウン氏と話をする機会がありました。彼は、現代は過去70年近く安定していたさまざまなことが変わるタイミングだと話し、その変化、これからどんな世の中になっていくのかということに対する仮説もめまぐるしく変わっていると指摘しました。そこではポイントになることが三つありました。

 まずは20世紀型の企業から21世紀型の企業への転換。20世紀型企業とは、大量生産・大量消費を前提に高効率重視のノウハウの蓄積など、これまでの成長を支えてきた企業のあり方です。一方で、21世紀型は体験を重視するような新たな価値の提供を志向し変化に対応するため学習能力を高め、働く側も情熱やモチベーションを起点とした成果を求めるような姿が21世紀型企業のイメージです。

 次に「leveraging the edge」。変化というのは外の世界と接するところで発生するので、企業が変化を求めるのであれば、中央や核となる部分ではなく、エッジの部門で世界の変化に触れ、影響力を発揮することが大事だということ。

 最後に「Learn to Unlearn」。変化に対応するためには過去の成功体験にとらわれてはいけない。これまでの経験や論理を一旦忘れて、新しいものを生み出すということです。

 そこで21世紀型の企業や組織になるためには、社内の殻から離れても、柔軟に学び、その学びをビジネスへ反映させることが大事だと感じました。これは既存の社内組織では実現できない。企業、社員という枠をできるだけ薄くして、社内外入り混じって何かに取り組む。そうして関わる人たちが自己実現できる。そうしたプラットフォームを用意する、それが変化に対応していくために企業として果たすべき役割だと考えました。そうして生まれたのがGCカタパルトです。

 カタパルトは、もともとはローマ時代の投石機のことで、現代では戦闘機の発射台のことです。この活動から新しい事業や、モチベーションの高い人材をどんどん世の中へ打ち上げることを表現するために名付けました。


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堀:20世紀型企業で通用した時代には、不確実性をそれほど感じなかった。むしろ家電でも新製品が出れば進化を実感できていたように感じます。

深田:今もハードウェアは新しいものが出るたびに飛躍的に進化しています。スマートフォンでも最新型は10年前のスーパーコンピューターと同じチップ(プロセッサー)が入っていると言われています。ところが、その進化以上に、そのものによってもたらされるサービスなどの便利さが大きく変わっていくので、そこへ意識が向かないのです。移動のスピードが速すぎて、周りの景色がわからなくなるような感じでしょうか。だからこそ先の三つのポイントが重要視されるようになっています。

 私たちが所属しているアプライアンス社は、テレビ、オーディオから白物家電を扱う、いわゆる家電の部門に属しています。ハードウェア系のビジネスが多く、コモディティ化が顕著な領域です。ここで価値を高めるためには、サービスとの組み合わせや体験によって、感情や関係性による差異化が求められます。もっと言えば、そこで人生を変えるような体験を提供できなければ、これからの世の中に求められる価値は生まれない。

 そのレベルに達するためには、ただテレビや冷蔵庫を作っているだけではいけない。そこでGCカタパルトは「テレビ」「冷蔵庫」「洗濯機」といった商品カテゴリーではなく、生活の分野を「住空間・家事」「育児・教育」「メディア・エンターテイメント」「食ソリューション」「健康・美容ソリューション」などでとらえようというのが私たちの世界観です。それらの分野でIoTやAIなどの技術を活用し得られるデータを収集・解析し、個々人の最適な価値を提供するサービスを提供する「カデン」を提供するビジネスモデルへの転換を目指しています。

固定概念という「殻」を破るために必要な「出島」

堀:立ち上げた組織を機能させるため、どのようなことを意識しているのでしょうか。また、それは既存の組織では難しかったのでしょうか。

深田:新規事業における組織運営の課題は、トップがただ号令をしても社員は動かないということと、社員の新しい提案が必ずしも中間管理職に評価されるとはかぎらないことにあると考えていました。そこで、従来型の組織にある現場、中間管理、経営判断マネージメントの3層に対し、同時に対応するように制度設計しています。

 そのためのひとつの手法が、社内事業アイディアコンテストを通じて選択された新しい事業案をブラッシュアップするプロセスに、South by Southwest(SXSW)への出展を組み込んでいる点です。SXSWは、毎年アメリカで開催される最新テクノロジーが集うイベントです。GCカタパルトは社内外で新しい事業のアイディアを議論する機会を作り、具体化する、そのための風土づくりも合わせて行っています。新しい事業アイディアが社内では必ずしも採用されないことが多いため、SXSWなどの展示会への出展で先に外部に評価を求め、そうして受けた評価を背景に社内に承認を図ることもしています。

 既存の組織では計画に確実性が求められ、不確実要素は排除することが求められることが多い。不確実要素の排除は効率化を高めるためには有効ですが、結果として新規事業は生まれにくくなってしまう。そのため事業の進め方そのものも新しいやり方を作っていこうとするのがGCカタパルトです。だからこそ既存の組織ではない、「出島」のような組織が必要でした。


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堀:21世紀型の組織運営を行うことで、既存の組織からどう受け止められていますか。理解は得られていますか。

深田:考え方が全く違うので、既存事業の組織内で従来通りに許可や承認を得ようとすると新しいテーマであればあるほど認められないことが多いです。例えば新しい事業には、確実性の高いデータが存在しないことが多いので、必要性などを証明する数値的な裏付けがないことも多い。そのためSXSWへの出展などによる外部の評価を得ながら、社会からのフィードバックを常に確認することによって不確実性を低下させるアプローチを取っています。

堀:私たちもいろいろな企業との取引を通じて、イノベーションを求める声を聞いています。しかしながら、どうしても自社の属する業界の枠から抜け出せない、殻を破れないことが課題になっています。

深田:我々も同じです。一方で世の中はどんどん変化している。その変化を受けて消費者が企業に期待することもまた変わってきています。家電も必ずしも高品質なもの、機能重視というよりは、生活しているなかでの新しい体験や悩み解決してほしいと考えられています。GCカタパルトはそこで新しい価値を提供する「未来のカデン」をカタチにしようとしています。

~後編に続く~
深田 昌則
パナソニック株式会社 アプライアンス社
事業開発センター Game Changer Catapult 代表

深田 昌則

堀 好伸
株式会社クロス・マーケティンググループ
マーケティング本部 プランニングディレクター

堀 好伸

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