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マーケティング5.0って何?【前編】誕生の理由や成功事例も紹介!

2024 / 03 / 12

#テクノロジー,#消費者行動,#リサーチ初心者,#市場調査

マーケティング5.0って何?【前編】誕生の理由や成功事例も紹介!

2021年2月、マーケティングの神様と呼ばれるフィリップ・コトラー氏が「マーケティング5.0」という新たな考え方を提唱しました。インターネットやSNSが世の中に浸透し、デジタルワールドとも呼べる現代にフィットするよう、画期的なアイデアが紹介されています。こうした新しいマーケティング戦略の考え方を知っておくと、企業は移り変わる消費者ニーズを取りこぼすことなく、売上を最大化させることができます。今回は、マーケティング5.0とは何か、マーケティング5.0が生まれた背景や活用方法についてお伝えします。


マーケティング5.0とは?マーケティング1.0~4.0と大きく異なる点

マーケティング5.0とは、ビッグデータやAIといった最新テクノロジーを応用して顧客体験価値(UX)を高めようとする、新しい時代のマーケティング活動です。

これまでのマーケティング戦略は、製品の販売に重きを置いたマーケティング1.0から、オフラインとオンラインを融合させたマーケティング4.0まで時代と共に最適解が移り変わってきました。テクノロジーを活用したデジタルマーケティングはすでにマーケティング4.0の時代から始まっていましたが、活用できるテクノロジーの種類が限定的といった課題を抱えていました。

一方でマーケティング5.0では、AIやロボティクスといった最新テクノロジーと、消費者の心に共感できる人間の得意分野を組み合わせて顧客体験価値を高めようとします。膨大で複雑なデータの処理やスピードが求められる業務はAIやロボティクスに任せ、消費者とのコミュニケーションや緊急時の対応は人間が行うようにすると、マーケティングの効率性を高めながら見込み客や顧客の満足度も向上できるでしょう。

このように、今までのマーケティング戦略とマーケティング5.0の大きく異なる点は、テクノロジーと人間の良さを十分に活用できているかどうかになります。


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マーケティング5.0の具体的な施策

マーケティング5.0のより具体的な施策としては、以下のようなものが挙げられます。

データドリブンマーケティング(Data Driven Marketing)

収集した顧客データを分析して、マーケティング戦略の立案や改善に活用する方法です。
顧客データにはさまざまな要素が含まれており、ユーザー属性、行動履歴、購買履歴などがあげられます。

顧客データは企業内外から収集され、顧客のニーズなどを把握するためのビッグデータとして使用されます。ターゲティングやパーソナライズに役立てることで、よりユーザー目線のマーケティングが可能です。

プレディクティブマーケティング(Predictive Marketing)

顧客行動や市場動向に関する予測をもとに戦略を立てる方法です。予測マーケティングともいわれており、AI搭載の機械学習が可能な予測分析ツールを活用して、マーケティングに取り組みます。

プレディクティブマーケティングの特徴は、従来型の統計データを活用した方法ではなく、収集した顧客データや市場の変化をもとに行動予測することです。ユーザー属性以外も反映したビッグデータに加えて、予測分析ツールの機械学習できる機能を活用するため、精度の高い予測ができます。

マーケティング5.0は、大きく分けるとベースとなる要素、拡張部分の2タイプです。うち、プレディクティブマーケティングとアジャイルマーケティングの2要素が、ベースに該当します。

コンテクスチュアルマーケティング(Contextual Marketing)

Webページ上のキーワードや文脈(コンテキスト)を読み取り、内容に合った広告を配信するマーケティング方法です。コンテキストをもとに配信内容を変えるため、顧客の状況・行動に合ったアプローチができます。

活用されるデータは、顧客の行動履歴やリアルタイムの状況です。閲覧しているWebページの文脈を広告の表示内容の参考とするため、ページ単位で最適なアプローチを実現できるメリットがあります。

アジャイルマーケティング(Agile Marketing)

ソフトウェア開発会社の現場などで取り入れられているアジャイル開発の概念を、マーケティングに置き換えた方法です。絶えず変化する市場ニーズやビジネス環境へ迅速に対応できるように、社内体制を整えたり戦略を立てたりします。

アジャイル開発は、先に大まかなシステムを作成してリリースした後に、改善や拡張を加えていく手法です。長期的なプロジェクトを進めるのではなく、細かい施策に分けて取り組むことで、顧客ニーズや市場の変化に合わせてスピーディーに調整できるメリットがあります。

変化が激しい現代では、分散型・部署横断型のチーム作成や迅速な意思決定ができるフローの設定など、アジャイル開発の概念を取り入れたマーケティングが求められています。


では、これからマーケティング5.0の考え方を取り入れる企業は具体的にどのような施策を行えばよいのか、以下でその参考となる事例をご紹介します。

マーケティング5.0の誕生の背景

マーケティング5.0が誕生した背景には、「富の二極化解消」を目的とした取り組みや、テクノロジーの成熟があげられます。

富の二極化解消

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テクノロジーの発展は社会の利便性を向上させつつも、富の二極化を加速させる要因にもなっています。富の二極化とは、最上層にあたる人々は繫栄する一方で最下層の人々が貧困に苦しんでいる、または経済的に極端な格差がある状態のことです。

例えば、多くの雇用を生んでいた分野においてAI導入が進んだ場合、失業者の増加を招きます。業務の自動化が進めば、雇用されるのは専門性が高い知識や技術をもつ一部の人材のみです。

一部の該当者のみが仕事に就ける状況は、多くの失業者・貧困者を生み出します。テクノロジーの発展が社会のあらゆる利便性を向上する反面、上記のような富の二極化を加速させ、不均衡を生じさせます。

アメリカの経済学者コトラーは、富の再分配を実現させる方法として「企業が目的をもって社会に投資し、テクノロジーを活用していかなければならない」としています。

富の二極化問題を打開するためには、SDGsの目標にもあげられている貧困をなくす取り組みをし、働きがいや経済成長も視野に入れた雇用が必要です。企業にできることはサステナブルな雇用の確保のみならず、マーケティング活動もあげられます。

テクノロジーの成熟

近年は市場に影響を与える存在も、次世代テクノロジーも急速な変化・発展が続いています。X世代・Y世代が主流だった市場がZ世代・α世代へと移り変わっていくように、AIやロボティクスなど次世代テクノロジーが活用される場も多様化が進みました。

Z世代やα世代の大きな特徴は、生まれたときからデジタル機器が身近にあり、当たり前の存在となっていることです。今後市場の中心となる層へ効果的にアプローチするために、カスタマージャーニーの各プロセスにおいて、顧客価値を生み出す目的で次世代テクノロジーが活用されています。

顧客データの例をあげると、従来は実際に商談・取引に発展した対象や社会的な統計データが主な参照元でした。現在はWebやSNS上でもデータ収集でき、加えてAIを活用して高精度にパーソナライズされた切り口でアプローチできるようになりました。


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マーケティング5.0の成功事例

マーケティング5.0は多くの業界で効果を発揮しています。具体的な活用方法を知る参考として、成功事例の確認がおすすめです。
ここでは主な成功事例として、テーマパーク、配信サービス、家具販売店の3分野のケースを紹介します。

事例1. ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)

テーマパークとして人気の高いユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下USJ)は、ここ最近まで非常に伝統的なマーケティング手法を行っていました。例えば来場者を匿名でサンプリングしたり、マスマーケティングで潜在層に広く浅くアプローチしたりするような手法です。

しかし時代の移り変わりにより、従来の手法では限界が見え始めていました。そこでEC業界からマーケティング担当者を引き抜き、データドリブンマーケティングを推進するようになりました。具体的には、オンライン予約の顧客データを集めると共に、スマートゲートを導入し、窓口でチケットを購入した来場者のデータを収集することでマーケティングに活用しました。

また、SDGsの分野においても、「グリーン・イズ・ユニバーサル」という考え方のもと温室効果ガスの排出抑制や省エネルギー化に取り組んでいます。

USJの細かい施策を応用することは難しいですが、早くからテクノロジーやSDGsに着目し素早く施策を実行に移した点は、多くの企業の参考になるはずです。

事例2. Netflix

Netflixは、アメリカ発の配信登録制ストリーミングサービスです。ユーザーは会員登録を行い、自分に合ったプランに課金することで配信コンテンツを楽しめます。

マーケティング5.0を取り入れたNetflixの代表的なシステムが、ユーザーの好みにあったコンテンツの推薦です。ユーザー属性や好みなど登録されたデータに加えて、視聴履歴を分析して、パーソナライズされたおすすめコンテンツを紹介します。

機械学習を活用しており、ユーザーの行動に基づいたニーズや興味を高精度で予測しています。ユーザー属性や視聴履歴などビッグデータの活用は、オリジナルコンテンツの制作やラインナップの適正化にも欠かせません。

また、Netflixはユーザーが使用しているデバイスの種類やインターネット環境も、サービス提供の参考としています。適切な動画の画質や再生速度をデバイスの種類やインターネット速度に合わせて提供しており、快適なユーザー体験を実現します。

ほかにも多言語対応、字幕・吹き替え対応なども、ユーザーごとの調節が必要です。地域や文化に応じたコンテンツ展開や調整を行うことで、世界各地で多くのユーザーを獲得する人気サービスとなりました。

知名度が確立した現在も、市場環境・ニーズの変化に素早く対応するために、マーケティング5.0が活用されています。ダウンロード機能、インタラクティブコンテンツの提供といった新たなサービスを開発・リリースし、SNSやインフルエンサーによる宣伝・口コミの拡散も積極的です。

事例3. IKEA

IKEAはスウェーデン発の家具販売店です。個性的な商品が魅力のIKEAはスウェーデンの小さな町で誕生し、現在は世界各地に店舗を設けるほどの一大企業となりました。

IKEAでも商品・サービスの開発・宣伝において、マーケティング5.0を活用しています。例えば、ユーザーの実店舗・オンラインストアでの購入履歴・来店履歴をデータ分析して、ニーズやライフスタイルに合った商品・サービスの展開に役立てています。

適切なターゲティング広告の発信や、新たな商品・サービスの開発にもビッグデータが必要です。機械学習によって顧客のニーズや嗜好を予測して開発に役立てたり、地域や家族構成などの情報からパーソナライズされたインテリア提案をしたりしています。

現在は、実際に店舗へ足を運んで実物を見るのみならず、自宅にいながら家具を選べるサービスの需要もあります。ニーズに応えてIKEAが提供しているサービスが、オンライン上での仮想体験・AR技術による家具設置アプリです。

ほかにもSNS、ブログ、動画コンテンツを活用してブランドの魅力を発信しつつ、ユーザーとの相互コミュニケーションでつながりを深めています。

まとめ

次々と新しいテクノロジーが登場する中、2025~30年には今とはまったく異なる世の中になっているかもしれません。

IoTがより一般家庭に浸透すれば、冷蔵庫や車、街灯など社会のあらゆる場所にセンサーがあふれます。冷蔵庫の中に足りない食材があれば、AIが自動的にオンラインショップに注文を行い、気付けばドローンが配達してくれた食材が玄関先に置いてあるといったシーンも日常的になるはずです。

またマーケティング5.0では「人間性」と共に「SDGs(持続可能な開発目標)」が一つのテーマとなったことから、環境対策や再生エネルギーに対する注目度が高まることも予想できます。

マーケティング担当者としては、マーケティング5.0の新たな潮流をよく理解し、人間・テクノロジー・環境の3つのテーマを念頭にした新たな戦略構想が求められます。


【参考URL】
https://davidemarketing.co.jp/marketing-thinking/2870/
https://www.dxlab.jp/press/marketing50
https://seminars.jp/media/251#post-heading9
https://www.pkmarketing.jp/articles/marketing50_01
https://iroiromanabu.hatenadiary.jp/entry/marketing5
https://dot.asahi.com/dot/2020111700050.html?page=1

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