働く人の意欲を高めるアイテムを追求 第1回 医師の声をきっかけに作った、おしゃれな白衣 | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2017/9/29

働く人の意欲を高めるアイテムを追求 
第1回 医師の声をきっかけに作った、おしゃれな白衣

働く人の意欲を高めるアイテムを追求 <br />第1回 医師の声をきっかけに作った、おしゃれな白衣

「かっこいい白衣がない」

 クラシコは、医療従事者向けに、白衣をはじめとした商品の企画・製造・販売を行う、2008年創業の会社です。このコラムでは、私たちの理念や商品開発についてお話させていただければと思います。

 私たちがクラシコを立ち上げるきっかけとなり、今も主要商品としているのは白衣です。一般的に白衣の市場は、医療用に限らず、ユニフォーム市場という枠組みで語られますが、私たちのメインのお客様である医師は、国内で約30万人ですから、それほど多いわけではありません。

 医療用の白衣では最大手の企業が6割以上のシェアを持っており、この構造は長年変わっていません。病院は、白衣のリース、クリーニングをするリネンサプライ会社のサービスを利用したり、販売代理店から白衣を納品してもらうことが主流です。白衣メーカーが取引をするのは、リネンサプライの会社や販売代理店となれば、BtoBですから、医師と直に接する機会は限られています。

 こうした中で、病院から支給される白衣を着る医師の方もいますが、自ら白衣を選びたい、というニーズがありました。看護師などがバラバラのユニフォームを着ていることはあまり見られないと思いますが、医師はそれぞれ違う白衣を着ていることもあります。白衣だけではなく、医師によっては机や椅子なども自分好みのものを使うという方もいて、私たちはこうした自分の持ち物を自分で選びたい医師の方をターゲットにビジネスを展開しています。

 クラシコは、創業者の大和新が医師の友人から「かっこいい白衣がない」という言葉を聞いたことがきっかけで生まれました。医師が欲しいと思う、かっこいいと感じられる白衣を作り、着てもらうことで働く人の意欲を高揚させることができるのではないかと考えたのです。そのために、医師が求める白衣についてヒアリングを行い、多くの医師が既存の白衣に満足していないことと、求める白衣の理想像をつかみました。

 

クラシコの提供する白衣は、医師が「本当に欲しい白衣」を目指したもの。
そのこだわりは、デザイン、素材開発、生産体制にまで至る。

自分の持ち物を自分で選びたい、というニーズに応えた「おしゃれな白衣を売るECサイト」を展開。
サイト内では白衣のスタイルガイドも掲載している。

予想を上回る反響で法人化へ

 スタート時から販売方法はECで一貫していますが、この頃はまだ法人化もしておらず、大和も共同創業者の大豆生田伸夫もそれぞれ別に仕事を持っていたので、クラシコは週末起業的な形で運営していました。素材やデザインにこだわり、一般的な白衣の平均単価が約3000円のところ、私たちの商品は2万円前後がメインになっています。

 立ち上げ前にしっかりとした医師へのヒアリングを行い、ニーズを満たす商品開発をしたこともあったのですが、初月に20枚近く売れ、反響も非常に多くありました。売上や反響は一過性のものではなく、1年目で順調に伸ばすことができました。単価としても通常の白衣より高いにも関わらず、多くの医師の方に興味を持ってもらえたこともあり、ビジネスとして成立させられると考え、法人化することになりました。

 私たちのお客様は、自ら医院を開設している開業医より、大学病院や総合病院などに勤めている勤務医の方が多くなっています。そういった医師の方々が院内で私たちの白衣を着ることで、同僚や同世代の医師などへ広がっていったのが早期に法人化できた要因のひとつだったのではないかと考えています。

 立ち上げ時に初年度の売上目標を決めて成功の指標を設定することや、成長を続けて何年後に法人化しようといった具体的な計画のもとで事業を進めたというよりも、販売数や反響の多さという結果を受けて初年度で法人化できたという感じです。おしゃれな白衣や、そういった白衣を売るECサイトがなかったので、“世の中にないものを作ってみよう”と始めてみると、予想を上回る反応があったということです。商品開発にあたっては、ポケットにiPadが入るもの、首回りがよごれないもの、シワになりにくいものなど、医師の声を反映しながら、小ロットで生産しています。

 2008年に創業し、現在までに約4万人の方にECの会員登録をしてもらっています。ただ、100パーセント医師というわけではなく、大学の研究室などの研究職の方や、フレンチのシェフやバーテンダーなどの飲食関係のお客様も一部にはいます。購入者の年齢層は30代が多く、次に40代、20代、50代と続いています。男女の比率は7対3で、これは日本国内の医師の男女比とほぼ同じくらいです。女性向けについては、ここ2〜3年で女性のニーズにもマッチした商品開発が進んだこともあり、増えてきたところです。

 医師一人当たりの白衣の所持数は、平均2〜3着といったところだと考えています。毎日洗う人ばかりではないですし、1着を着続ける人もいれば、数着をローテーションする人などさまざまです。購入サイクルは長く、私たちのお客様に関しては2年に1回くらいの頻度が中心です。1回当たりの購入着数も1着が多くなっています。

 次回はクラシコがこだわる商品開発について、近年増えて来た他社とのコラボレーションについてお話します。

 

顧客の多くは大学病院や総合病院の勤務医だ。

医師の声を反映して、小ロットで生産。

クラシコ株式会社 マーケティング 江村 知也

東京都出身。大学卒業後、音楽小売・出版社を経て、教育関連企業3社(株式会社LITALICOでは執行役員・宣伝制作部 部長を経験)でマーケティング業務に従事。2015年10月にクラシコ入社。現在は国内と台湾のEC事業、コーポレートブランディングを担当。

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