業界団体設立で成長加速 シェアリングエコノミーの世界 第3回 2020年はシェアリングビジネス拡大のチャンス | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2018/5/11

業界団体設立で成長加速 シェアリングエコノミーの世界 
第3回 2020年はシェアリングビジネス拡大のチャンス

業界団体設立で成長加速 シェアリングエコノミーの世界 <br />第3回 2020年はシェアリングビジネス拡大のチャンス

特異な姿を持つ、日本のシェアリングビジネス

 日本のシェアリングビジネスは、世界的に見て遅れている部分もあるとはいえ、確実に広がっています。ただ、日本では、自動車や部屋などのシェアする対象を、シェアリングビジネスを行うために購入するケースも多いように感じています。シェアリングのために、その対象に先行投資をするという動きは日本独自のものではないかと思っています。

 本来、シェアする対象は、所有しているものの、使われていない個人の所有物やスキル、企業の遊休資産を活用することを想定しています。日本のシェアリングビジネスが独自の流れを生み出しているのは、法整備の問題も一因です。シェアリングビジネスに限らず、海外では社会問題が起きると、比較的速やかに規制がかかりますが、日本では立法制度の違いもあり、規制には時間がかかりがちです。

 サービスが広がると、さまざまな問題が表面化します。それに対処するような形で規制がかかると、管理体制や資本的な背景が整った企業が管理するサービスの方が安心感があるという流れができてしまいます。民泊の分野で、不動産会社が中心になって部屋を所有、貸し出しをするBtoCのシェアリングが目立つようになっているのがその一例です。BtoCが一概に悪いというわけではありませんが、企業によるサービスが主流になり個人が参入しにくい状態になると、シェアリングの本来の姿から離れてしまう恐れがあります。ビジネスの意識が入ることで、シェアリングの魅力の一つでもある、人と人のつながりや、それにともなうユーザー体験が薄れてしまうのは避けたいことです。

 シェアリングへの企業の関わり方としては、個人と個人が出会うきっかけ、プラットフォームの部分を提供するというのが理想的な姿です。サービスの内容によってはBtoCの方が適している場合もあるので、サービスに合わせてCtoC、BtoCがバランスよく共存していることが望ましいと考えています。

 

理想は「長屋」の助け合い 古くて新しいシェアリングの考え方

 近年、海外ではシェアリングのプラットフォームを提供する企業が過剰に儲けているのではないかということが指摘され、バッシングを受ける事例が発生しています。ニーズの高いサービスは、多くの利用者、提供者が集中し、プラットフォーマーの企業が急成長することもありますが、企業として、事業の社会的意義や社会貢献を意識しておく必要があります。

 シェアリングビジネスは利用者と提供者がお互いに評価し合うことで、サービスレベルを担保しています。同様に、プラットフォーマーも利用者、提供者から評価されます。高い評価を受けられなくなれば、別のプラットフォーマーが台頭することになります。まだ日本でこうした事態は起こっていませんが、将来的にそのフェーズに入ってもおかしくないと考えています。

 日本ではこれから、2019年、2020年と世界的なスポーツイベントが開催されますし、2025年の万国博覧会には大阪が開催地として立候補しています。多くの人が日本を訪れる機会は、シェアリングビジネスにおいても大きな影響があります。なかでも2020年の東京オリンピックは、これ以上ないチャンスになるでしょう。

 サービスの種類としては、家事代行や子育て支援など、女性が主なターゲットとするものが伸びていますし、今後もより成長していくと思われます。中長期的な予測もふまえると、農業体験や介護などのシニアが利用者、提供者になれるサービスにも注目しています。需要が多いものの、供給が不足しているとき、シェアリングサービスは伸びる傾向にあります。

 私たち協会でも、より一層シェアリングの認知が高まるような活動を推進していきたいと考えています。シェアリングビジネスが広まっていく上で、法整備の方向性は大きな影響があるので、政治の力は無視できません。これまで同様、行政との取り組みは進めながら、シェアリングの主役となるべき一般の生活者へ「シェアリングとは何か」を伝えていくことは、これからの課題と捉えています。協会設立以来、企業向けに行っていたミートアップを、個人としてシェアリングのホストをしている人向けに開催したり、さまざまなサービスのホスト同士が連携していくためのネットワーク作りを支援したりしていきたいと考えています。

 私たちはシェアリングの一つの理想を、江戸時代の長屋に置いています。「長屋」というコミュニティに住む人が、何か困っていれば、その解決方法を持っている他の住人が助ける。そうした助け合いの関係性をシェアリングで実現したい。単にお金を儲けるための活動ではなく、これから生まれていく新しい社会のあり方を象徴する動きがシェアリングサービスだという思いで、私たち協会は今後もシェアリングエコノミーを推進する活動を続けていきたいと考えています。

 

シェアリングエコノミー協会 事務局長 佐別当 隆志

ガイアックス入社。広報・事業開発を経て、2016年1月 一般社団法人シェアリングエコノミー協会を設立し、事務局長に就任。2017年3月 内閣官房 シェアリングエコノミー伝道師に任命される。同年5月 mazelを設立、代表取締役社長に就任。トライセクターの政治起業家として、日本におけるシェアリングエコノミーの普及・推進と共助社会の実現を目指し、法規制の緩和やユーザー理解の取り組みに従事。

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