ecbo cloakの荷物預け体験から生まれる新たな出会い 第1回 空きスペースを活用するecbo cloakはこうして誕生した | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2018/7/20

ecbo cloakの荷物預け体験から生まれる新たな出会い 
第1回 空きスペースを活用するecbo cloakはこうして誕生した

ecbo cloakの荷物預け体験から生まれる新たな出会い <br />第1回 空きスペースを活用するecbo cloakはこうして誕生した

渋谷、新宿のコインロッカーはニーズの半分も満たしていない

 私たちは2017年1月から、手荷物の一時預かり場所を探すプラットホーム「ecbo cloak(エクボクローク)」の提供をスタートしています。このサービスは、荷物を預けたい人と、荷物を預かるスペースを持つ店舗をつなぐというものです。この3回のコラムを通じて、私たちがなぜ、このサービスを始め、どのようなことを目指しているのか、お話ししたいと思います。

 荷物を預かることにビジネスのチャンスがあると思ったのは、私が渋谷で訪日外国人のコインロッカー探しを手伝ったことがきっかけでした。そのとき、コインロッカーを探すのはかなりの手間であること、ようやく見つけたとしても、スーツケースが入るサイズのロッカーの空きがあるかどうか、自分が求めるロッカーがあるかどうかもわからないということを改めて感じました。

 特に、訪日外国人が持つスーツケースのサイズは大きく、その数も一つとは限りません。大型のコインロッカーでも入らない可能性があります。しかも複数となれば、受け入れ可能な施設はより限られるでしょう。

 渋谷での経験を受けて調べたところ、渋谷には約1400個のコインロッカーがあったのですが、スーツケースが入りそうな大型のものは90個程度にとどまっていました。毎日何千、何万という人が行き交い、観光客にも人気のスポットであるスクランブル交差点がある渋谷でさえ、それだけの数のコインロッカーしかないことは、私にとって大変な驚きでした。訪日外国人に限らず、コインロッカーに荷物を預けられない人は1日に17.6万人いて、預けられたとしても、空きを見つけるまでに平均24.9分かかることもわかっています。

 

   コインロッカーのように、しかもより大きい荷物を預けることができる。

 もう一つ、私の意識にあった背景としては、世界的にシェアリングビジネスが拡大していると感じていたことです。サッカーのブラジルワールドカップや、そのあとに開催されたリオデジャネイロオリンピックの際に、観戦で当地を訪れた人の3分の1が民泊を使っていたというデータは、非常に興味深いものでした。

 民泊はホテルと異なり、フロントもなければ当然クロークもないので、チェックイン前やチェックアウト後も荷物を預かってもらうことはできません。日本もこれから訪日外国人は増えていくでしょうし、ラグビーのワールドカップや東京オリンピックも控え、荷物を預ける場所の問題は避けて通れないもので、そのニーズも増えていくだろうと予想しました。

 一方、受け入れ態勢として、全国のコインロッカーの数は22万個にとどまっていました。今後のニーズも想定して試算したところ、プラス約30万個と少なくとも今の倍以上のロッカーが必要なことがわかりました。

 

「Uber」の発想を荷物預かりに置き換える

 最初はコインロッカーの運営を考え、実際に物件の内覧まで進めていました。しかし、渋谷の駅前で好立地な物件となると家賃も高額です。コインロッカーを設置するとなるとさらに初期投資が必要です。そう考えると30万以上という必要数を短期間で用意することは現実的ではないと感じました。

 そこで、例えば街中にある店舗の空きスペースに荷物を預けると面白いのではないかと考えはじめました。多くの場合、こうしたアイデアは机上の空論にとどまりがちです。私は、たまたま「Uber」でインターンをしており、シェアリングビジネスと、それを成功させるために必要なことを間近で見ていた経験がありました。

 「Uber」の発想を荷物預かりに置き換えて考えたのが「ecbo cloak」です。当初はCtoCで、民家に荷物を預けることも考えていました。しかし、民家はユーザーが荷物を預けに来た際に、常に対応できるようすることは難しい。それでは不便ですし、預ける人も少ない可能性が高い。安心・安全面を考えてもユーザーの視点からすると利用しづらいと考えました。

 BtoCで、しかも預かる側がユーザーにとって魅力的な場所なら、そこで新しいコミュニケーションも生まれます。飲食店なら荷物を預けたり、引き取るときにそのまま食事をしたり、商店なら「ついで買い」につながったり、双方にメリットがある状況を生み出すことができます。こうして、店舗の空きスペースを荷物預かりスペースとして活用する「ecbo cloak」が誕生しました。

 

ecbo cloakで荷物を預ければ、身軽に手ぶら観光ができる。

 次回は「安心」「安全」を担保するための工夫や、サービス提供エリアを拡大するための取り組みを紹介します。
 

ecbo株式会社 代表取締役社長 工藤 慎一

1990年生まれ マカオ出身 日本大学卒。Uber Japan株式会社を経て、2015年、ecbo株式会社を設立。2017年、カフェや美容室、郵便局など多種多様な店舗の空きスペースを荷物の一時預かり所にする世界初のシェアリングサービス「ecbo cloak(エクボクローク)」の運営を開始。ベンチャー企業の登竜門『IVS Launch Pad 2017 Fall』で優勝。

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