「子育てシェア」が作る高齢化時代の地域コミュニティ 第2回 親だけではなく、子供にとっても安心を感じるサービス | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2018/11/2

「子育てシェア」が作る高齢化時代の地域コミュニティ 
第2回 親だけではなく、子供にとっても安心を感じるサービス

「子育てシェア」が作る高齢化時代の地域コミュニティ <br />第2回 親だけではなく、子供にとっても安心を感じるサービス

大都市と地方で異なる利用ニーズ

 「子育てシェア」は、アプリをダウンロードするか、インターネットサイトから登録頂ければ誰でも利用することができます。地域によって登録者数は異なりますが、利用者は全国に広がっています。「子育てシェア」サービスは3人程度のつながりを作れば十分な支援を得ることができるので、地域での会員数と、サービスの充実とはあまり関連性はありません。大都市でも、地方で過疎化が心配される地域であっても、顔見知りがいればサービスの恩恵を受けることができると考えています。

 地域によって異なるのは、利用の背景、ニーズです。大都市には子育てをサポートするサービスがたくさんあります。人口の多さに比例して、ベビーシッターなども利用しやすいですし、夜間保育や一時預かりなども探すことができます。しかし、都会でも「今日、急に迎えに行けなくなった」というような突発的な出来事に対応するサービスはありません。ベビーシッターも当日に手配することは相当難しいですし、見つかったとしても通常以上に高額な料金になることもあります。大都市ではそのようなケースで「子育てシェア」を利用していただいています。

 地方の場合は、子育てに関して利用できるサービスは多くありません。とはいえ、都心部に比較して地域のつながり、関係性が残っている場合もあるので、従来の助け合いで乗り切ることも可能です。一方で地域の目があるからこそ頼みにくい事情もあり、そうしたときに「子育てシェア」を利用するケースが多いようです。産後間も無く、授乳やオムツ替えで睡眠時間が取れない、子育てに追われて少し息抜きをしたい、これらは古い価値観では「我慢しなさい」「子育てとはそういうもの」と済まされてしまうこともあります。このようなケースでは、関係が近ければ近いほど頼りにくくなります。「子育てシェア」のつながりは、お互いの事情を理解し合い、共感できる関係性になっているので、地方では身近な人に頼りにくいときに利用されているようです。

 「共感できる」ということについては、大都市、地方に限らずとても重要な要素です。「ママサポ」主催のイベントでは、「男の子育児の会」といったものや、様々なテーマで交流会が開催されています。性別によっても子育ては大きく変わってきますし、ほかにも生活環境などで共通点がある人同士をつなげるように意識しています。おかげさまでローンチから5年になりますが、利用者間の人間関係トラブルは起きていません。

 

預ける相手も子供がいることが安心につながっている

預けられる子供の不安を解消し、成長に気づくきっかけに

 「子育てシェア」は、基本的に子供がいる親同士がつながる事が多く、頼られる側にも子供がいるケースが多くあります。そのため、子育てを経験している方や、普段から交流のある関係で支援を受ける事ができるので、親はもちろん、子供にとっても安心感があるものになっています。

 私自身AsMamaをはじめた頃は、知り合いも少なく、頼る相手もいなかったので、保育園に加えてベビーシッターも利用するというように、二重に保育サービスを利用していました。そんなとき、当時4歳だった娘に「お母さんはいつも知らない人について行ってはいけない、知らない人に出されたものを口にしてはいけないというのに、お母さんが仕事のときは知らない人が家に来て怖い」と言われました。また、普段はたくさん食べるのに、二重保育で預けた日にはほとんど食べていませんでした。子供の立場になると、ベビーシッターとはいえ関係性がなければ赤の他人ですし、時計も読めない年齢であれば「早く帰ってくるから」と言われても、それがいつなのかわからず不安になるのは当然です。

 「子育てシェア」は、予めリアルでつながりのある相手にお世話になるので、子供にとっても安心感があります。何度か顔を合わせると子供同士も仲良くなり、子供にとっては預けられるという感覚よりも、友達の家に遊びに行き、ご飯も食べるというちょっとしたイベント気分になります。「子育てシェア」を利用するようになってからは、私の娘も前の日からリュックに荷物を詰めて楽しみにするようになり、迎えに行くと「まだ帰らない」とまで言うようになりました。ユーザーからは「預けて初めて泣かなかった」という喜びのコメントもたくさんもらっています。

 

子供にとっては「預けられる」のではなく「遊びに行く」という感覚に近い

 預ける親、預けられる子供の安心が生まれるだけではありません。預かる側が共通して口にするのは「ほかの家の子供が来ることで、自分の子供の成長や特徴が見えるようになった」ということです。普段、兄弟・姉妹だけでいるところに、ほかの子供が加わることで、子供たちにとっても相手を思いやったり、世話を焼いたり、様々な成長の変化を感じ取れるようです。

 このように子育て世帯の親、子供がともに安心できるサービスを実現できているのは、「ママサポ」交流会で直接ユーザーの意見を聞くことができるからです。交流会は親同士が悩みを共有してつながりを生み出すためだけはなく、「子育てシェア」のサービスをよりよくするためのニーズを見つける場でもあります。

 次回は、交流会でのリアルなニーズ発見の仕方と今後のサービスが目指すことをお話しします。

 

株式会社AsMama 代表取締役CEO 甲田 恵子

米国留学を経て関西外大卒。環境事業団での役員秘書兼国際協力企画、ニフティ(株)海外渉外及び上場兼IR主担当、投資会社ngigroup(株)広報・IR室長を経て、2009年(株)AsMamaを創業し代表取締役社長に就任(現任)。2016年より(社)シェアリングエコノミー協会理事着任(現任)。
※総務省主催「地域活性化大賞2017」大賞・総務大臣賞受賞、総務省主催「平成30年度地域情報化アドバイザー」就任、サービス産業生産性協議会主催「第2回 日本サービス大賞」優秀賞受賞、他受賞歴・メディア掲載歴多数。

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