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新規顧客開拓のための「攻め」のマーケティング
第1回 「コンテンツ戦略」― 3年後も事業に貢献できるコンテンツをつくる
東芝
営業統括部 広告部
荒井 孝文
2014 / 01 / 24
東芝で7年ほど広告業務を担当していますが、7年前と現在では、事業を取り巻く環境も、広告/マーケティングのメディア環境も、テクノロジーの進化に伴う生活環境も大きく様変わりしています。事業を取り巻く環境では、人口の都市部集中・高齢化、情報社会化、資源・エネルギー問題、地球環境への配慮といった、未来へ向けた課題解決型のビジネスをグローバルに展開していくことが急務となっています。国内の既存顧客深耕のための「守り」のマーケティングコミュニケーションから、グローバルで新規顧客を開拓する「攻め」のマーケティングが必要とされています。会社が経営方針に掲げる「創造的成長の実現」には、想定顧客の拡大、新しい分野・産業への挑戦が必要であり、われわれマーケティングスタッフは、新規事業の立ち上げ支援/新規顧客の開拓支援が重要となっています。
そこで、想定顧客が利用するメディアやプラットフォームを活用して見込み客を新たに獲得する戦略・戦術を施行(試行)していますので、3回にわたり、現在取り組んでいる「コンテンツ戦略」「PR戦略」「ブランド戦略」を紹介したいと思います。
中長期視点で価値を創造するコンテンツづくり
まず「コンテンツ戦略」ですが、従来は瞬間的に話題になる企画やタイアップ記事、純広告で認知をとるコンテンツ展開も実施していましたが、特にグローバルのB2B向けコンテンツを考えると、従来型の短期キャンペーンではなく、数年後も事業に貢献できるオリジナルコンテンツの制作と有効活用が重要だと考えています。例えば、4年前にシリーズで制作したB2B事業のビデオコンテンツは、いまでも自社サイトでの配信のほか、次々に生まれるソーシャルメディアに配信したり、ブログ記事のネタにしたり、リード獲得のツールとして活用したりと、想定顧客の情報行動や環境変化にあわせた展開で見込客の獲得につながることを進めています。
いますぐ事業に貢献できるコンテンツ、未来の事業(未来の大人)に役立つコンテンツ、特定の顧客、特定の地域住民を活性化させるコンテンツなど、生活者側に立って企画・制作はしつつも、情報過多の時代は、情報が生活者によって選択される時代のため、検索最適化や情報拡散も狙っても、企画したコンテンツが狙いとおり運ぶとは限りません。ネット上にコンテンツをアップし、想定顧客が活用するメディアやプラットフォームに応じてコンテンツも価値創造していくことが「コンテンツ戦略」だと考えています。
想定顧客の利用シーンに合わせてプラットフォームを選定
上記のコンテンツ戦略により、グローバルで見込み客を獲得するために、ビデオマーケティングツール、YouTube、Vimeo、SlideShareなど想定顧客の利用シーンに応じた様々なプラットフォームを活用しています。インドの企業の方から、SlideShareに設置したホワイトペーパーのダウンロード時に、「Toshiba website is very informative」とコメントがあると、戦術が間違っていないと実感できます。もちろん反応が得られないコンテンツもありますが、1年後には効果が出るかもしれません。営業資産として効果的にコンテンツを活用するには、ネット上に配置し効果を見ながら最適化していくことだと思います。それを可能にするマーケティングツールやテクノロジーは進化しています。想定顧客が活用するソーシャルメディアやプラットフォームを自ら使うことと、企業としてコンテンツの効果を図ることができる新しいテクノロジーやツールを積極的に使うことで、コンテンツの考え方も進化するはずです。
次回は、「PR戦略」(俗に言われる戦略PRとは異なるもの)をご紹介します。