ブランドマネージャーの考え方 第2回 キャンペーンの効果をどう見るか | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2014/5/2

ブランドマネージャーの考え方
第2回 キャンペーンの効果をどう見るか

ブランドマネージャーの考え方<br />第2回 キャンペーンの効果をどう見るか

キャンペーン限定で日本人モデルを起用

今回ご紹介するのは、「LUX(ラックス)」ブランドが2014年の2月から3月にかけて行った「オンナを遊べ!」キャンペーンです。応募いただいた中から抽選で12組に、リムジンを1日(8時間まで)使い放題の権利が当たるというものです。東京・大阪・福岡・名古屋・札幌の全国5エリアから好きなエリアを選ぶことができるほか、コンシェルジュによるサポートなども行いました。

このキャンペーンは、賞品の魅力でユーザーを増やす狙いより、ラックスを今の30代を中心とした働く女性に、自分用の魅力的なブランドであることを再認識してもらうことを目的としました。そのため、購入を条件としたクローズドキャンペーンではなく、誰でも応募できるオープンキャンペーンとして実施しました。

ツールとして、リムジンを使ったのも、人の目線がある社会の中で輝きたいという女性のニーズを満たすという点で良かったと思います。告知は、テレビとデジタル、雑誌を使ってコミュニケーションを行いました。消費者の方から見て、今回のキャンペーンで一番大きく印象が違ったのは、告知にモデル・女優の佐田真由美さんを起用したことでしょう。

前回触れたように、ラックスではブランドのキャラクターに外国人モデルやハリウッド女優を起用してきました。これについては、ブランドの核でもあるので、基本的には今後も変えるつもりはありません。ただ短期的なキャンペーンに関しては、核の部分を損なわないという配慮を前提として、その枠にとらわれなくても良いと考えました。そこで、ターゲット層の憧れも担保できるという判断で佐田さんにご出演いただきました。

販売とブランド醸成のバランスが鍵

今回のキャンペーンはイメージの醸成を重視していたので、コミュニケーションについては、ヘアケア商品の成分や機能といった話は一切していません。「オンナを遊べ!」というキャッチコピーに込めた意味、女性が女性であることを謳歌するのは女性の特権であるということを、佐田さんの様々なシチュエーションでの表情を通して描きました。その中で、ラックスというブランドがリムジンを利用したキャンペーンを行っているという告知につなげました。

キャンペーンの反響は予想していたよりも高く、応募者数も伸びましたし、キャンペーンサイトのページビューも目標の120%で推移しました。こうした数値的な部分だけでなく、ソーシャルメディア、主にツイッターでの口コミも多く見られました。口コミについては、髪への効果などの機能的なものよりも、キャンペーンが「すごく素敵」といった印象や、それがラックスによるものというふたつが残れば成功だと考えていました。実際、そういった種類のものが多かったので、うまくいったキャンペーンだと思っています。

販売上の効果については、悩ましいところがあります。キャンペーンによって短期的に売り上げを上昇させることは可能です。例えば、値下げをすれば販売数は伸びますが、安物のイメージがついてしまいブランドのエクイティ(資産)を毀損してしまう可能性もあります。

売り上げを伸ばすことは宣伝費への再投資にもつながるので重要ですが、媒体を使ったコミュニケーションの効果測定に関しては、ブランドイメージの醸成、ラックスといえば「自分を輝かせてくれるブランド」と思う人の率が上がっていくということを重視しています。理想的なのは、安定して長期にわたってイメージが上昇していることです。そのためには、消費者がヘアケア製品を買おうとするとき、ラックスというブランドが最初のチョイスに出てくるようにするために、常に何らかの媒体を使ったコミュニケーションを続けることが大事だと考えています。

次回(最終回)は、ブランドマネージャーの仕事について考えることについてご紹介します。

ユニリーバ・ジャパン・カスタマー マーケティング ラックスヘア ブランドマネジャー 中川 晋太郎
慶應義塾大学総合政策学部卒。2001年より、外資系消費財会社でマーケティング・ブランドマネジメントの経験を経て、事業再生支援会社にてマーケティングを中心とした、複数の企業の事業再生に携わる。2009年にユニリーバ・ジャパンに入社し、アイスクリームブランドの BEN&JERRY’S の立上げを担当。2013年より、LUXのブランドマネージャーを担当する。

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