マーケティング戦略のデジタルシフト 第1回 テレビに頼らない手法を模索 | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2015/10/30

マーケティング戦略のデジタルシフト
第1回 テレビに頼らない手法を模索

マーケティング戦略のデジタルシフト<br />第1回 テレビに頼らない手法を模索

環境変化への対応が遅れ、売り上げは右肩下がりに

ガシー・レンカー・ジャパンの「プロアクティブ」は、ニキビケア商品のトップブランドです。電話やオンラインによるダイレクト販売がメインで、これまで大量のテレビCM投下で認知を獲得するというモデルで成長してきました。市場シェアでも圧倒的なトップの座を誇っていました。

しかし2010年以降、状況は一変します。テレビ局の考査が厳しくなったことで、CMで使用できる表現が制限されたことに加え、皮膚科がニキビ治療へ進出するようになりました。また、人気タレントを起用したプロモーション活動を開始するなどし、私たちが主力としていたテレビ頼みのマーケティングの優位性が揺らいできたのです。

プロアクティブ商品カット

競合他社も含め、あらゆる業界・企業がデジタルマーケティングに力を入れる中、私たちは長い間テレビで充分な成果を出していたため、対応が後手に回っていました。こうした市場環境、競争環境の変化を受けて、私たちの売り上げも右肩下がりになるという事態に陥っていました。市場シェアも大幅に下がっていました。

私が入社したのは、そんなタイミングでした。

テレビに頼らないでいかに売っていくのかということが大きなテーマとなり、デジタルでのマーケティングを根本から見直すことになりました。

購入プロセスを徹底的に簡素化

取り組んだことは2つです。まずはテレビをはじめとするプロモーション活動をきっかけに、検索をしたお客さまが確実に購買へ進むようにすること。すなわちコンバージョンレートを上げることです。もうひとつは、ニキビケア市場のなかで、私たちの商品を知ってもらうきっかけづくりでした。お客さまがニキビケア商品を検索するときには商品名ではなく、「ニキビ」というワードが中心です。そうしたときに、商品につながる検索のきっかけを作るとともに、そのきっかけで私たちのサイトを訪れた人に確実に購入してもらうことを目指しました。

最初に手をつけたのは、公式サイトのリニューアルでした。まずはPPC(ペイ・パー・クリック)広告や、そのTD(タイトル&ディスクリプション)やコピーを30種類くらいつくってテストを行いました。公式サイトもトップページ、商品ページ、購入フォームから注文完了後のメールと、購入に至るあらゆるステップでABテストを繰り返しました。こうしたテストを半年間かけて行ったうえでリニューアルを実施した結果、コンバージョンレートが150%改善するまでに成長させることができました。

プロアクティブの公式サイト

プロアクティブの公式サイト

公式サイトでの購買における特徴は、スマートフォンからの場合トップページから商品を選ぶとそのページの下へスクロールすると購入フォームがあるので、2ステップで購入できることです。多くのサイトのように、注文前に購入商品の内容を確認してもらうプロセスは省きました。こうしたこともABテストを行い、なくても問題がないことを確かめた上で行っています。

また、購入時に入力してもらう情報でも、生年月日や性別も不要のシンプルなものにしています。顧客データの重要性は確かにありますが、私たちはコールセンターもあり、購入後のアンケートもあるので、購入時にどうしても必要な情報ではありません。社内では「誕生日メールが送れなくなる」という声もありましたが、もし、ニキビが治った人のところに誕生日メールが来たとしてもその人にはもう必要がないので購買にはつながりません。それよりも、ニキビケアや肌に関する詳しい情報を提供することの方が、お客さまの満足度を高めると考えました。

次回は、商品検索のきっかけとなる場として立ち上げたオウンドメディア「ニキペディア」についてご紹介します。

ガシー・レンカー・ジャパン 株式会社 デジタルマーケティング部 シニアマネージャー 藤原 尚也

1996年4月、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)入社。TSUTAYA店舗運営、ディレクTV、グループ戦略室(上場、M&Aなど、新規事業スタートアップ)、ツタヤオンラインにて、Eコマース事業、C&M事業、モバイルコンテンツ事業の統括を行う。その後、TカードとTポイントを活用したDBマーケティング事業の立ち上げを経て、2012年4月にガシー・レンカー・ジャパンに入社し現職。 

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