マーケティング戦略のデジタルシフト 第2回 オウンドメディアで競合商品を紹介する理由 | リサーチ・市場調査・マーケティング

インサイトスコープ
2015/11/13

マーケティング戦略のデジタルシフト
第2回 オウンドメディアで競合商品を紹介する理由

マーケティング戦略のデジタルシフト<br />第2回 オウンドメディアで競合商品を紹介する理由

「ニキビ」と検索する人を呼び込む

ニキビケア商品「プロアクティブ」のマーケティング施策にあたって、テレビCMのみに頼っていた旧来のやり方を改め、デジタルマーケティングを根本から見直していったことは、前回のコラムで説明した通りです。「買いやすさ」を追求した公式サイトリニューアルの成功を受けて、次に手をつけたのは「ニキビ」という消費者の悩みと「プロアクティブ」を結びつけることでした。そこで立ち上げたのが、オウンドメディア「ニキペディア」です。

ニキペディア

私は、ガシー・レンカー・ジャパンに入社後すぐに米国本社に出張し、デジタル施策について情報を集めました。そのとき、コンテンツマーケティングの一環として運営していた「Acne.com(アクネドットコム)」というサイトについて知り、面白い取り組みだと感じていました。「ニキペディア」は、その日本版をイメージして2013年に立ち上げたものです。初めは米本社のサイトを参考に、プロアクティブ開発者の苦労話やニキビに関する豆知識などに関するブログを掲載にしていたのですが、ほとんど検索してもらえず、なかなか見てもらえません。当然、商品も売れませんでした。

この失敗を受けて、同年末から構想を練り直し、翌14年の2月に再リリースしたのが現在のニキペディアです。ニキビケア商品の顧客のニーズは潜在的なものではなく、すでに顕在化していると考えています。そのため、サイトは顕在化している顧客にできるだけ多く接触する必要があります。つまり「ニキビ」と検索する人が見つけやすい、検索結果の上位に来るサイトでなければならないということです。そこでまずはSEOを専門にしている企業に手法を教えてもらい、検索結果で上位に表示されることを目指しました。

お客さま視点で役立つサイトに

次の課題は、サイトに訪問した人に買ってもらうことです。サイトを見る人は、訪問したサイトで情報を集め、そのまま買うわけではなく、検索結果に戻ったり、別商品や皮膚科のサイトへ遷移していきます。こうした行動を考え、ニキペディア内に競合他社の商品情報や皮膚科の情報を掲載しました。皮膚の状態やニキビの種類に関するコンテンツを置き、それぞれに応じた情報とそれらに合った商品を競合も含めて紹介し、ニキペディアを通して購入する行動を増やすことを考えました。その上で「プロアクティブがベスト」と考えて買ってもらえれば良いというスタンスです。

競合商品を紹介する上で気をつけているのは、他社商品と比較し優劣をつけるのではなく、良いところに触れるということです。欠点を指摘したり、比較するとユーザーは離れてしまいます。そのため、効果があることをしっかりと伝えるようにしています。

ニキビ予防やニキビ治療など、ニキビを取り巻く幅広い話題について扱う。競合商品も積極的に紹介するのが特徴。

ニキビ予防やニキビ治療など、ニキビを取り巻く幅広い話題について扱う。競合商品も積極的に紹介するのが特徴。

オウンドメディアであるはずのニキペディアに競合の商品情報を載せることについては、社内でも議論はありました。とはいえ、誰でも化粧品やニキビケア商品を買うときには比較をします。清涼飲料水や食品などでも、お客さまはプライベートブランドしか置いていない小売店よりも、いろいろなメーカーの商品が置いているお店で買いたいと思うはずです。

私たちはもちろんプロアクティブが良いと思っていますが、「ニキビ」と検索してニキペディアに訪問する人はそうだとは限らない。ニキペディアから購入へ進んでもらうためには、そうしたお客さまの視点で考えなければなりません。

「ニキビ」という検索に対する需要を少しでも多く獲得し、ニキペディアのコンテンツを通じてニキビや肌のこと、競合も含めたニキビケア商品について学んでもらう。そうして知識を得て、競合商品も見た上で、最終的に商品を購入するときに「ちょっとプロアクティブを使ってみようかな」と思ってもらう、それがニキペディアの役割です。

ニキペディアの月間PVは現在約90万。ニキペディア経由のCVRは、通常のバナー広告の10倍の1.6%を実現するなど、成果につながっています。

次回は私たちの仕事の進め方や、今後の取り組みについてご紹介します。

ガシー・レンカー・ジャパン 株式会社 デジタルマーケティング部 シニアマネージャー 藤原 尚也

1996年4月、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)入社。TSUTAYA店舗運営、ディレクTV、グループ戦略室(上場、M&Aなど、新規事業スタートアップ)、ツタヤオンラインにて、Eコマース事業、C&M事業、モバイルコンテンツ事業の統括を行う。その後、TカードとTポイントを活用したDBマーケティング事業の立ち上げを経て、2012年4月にガシー・レンカー・ジャパンに入社し現職。 

このコラムを見た方へのオススメ