フルグラ、発売20年後に急成長した理由 第2回 「シリアルと呼ばないで」グラノーラをいかに浸透させるか | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2016/9/9

フルグラ、発売20年後に急成長した理由 
第2回 「シリアルと呼ばないで」グラノーラをいかに浸透させるか

フルグラ、発売20年後に急成長した理由 <br />第2回 「シリアルと呼ばないで」グラノーラをいかに浸透させるか

「母親の手抜きメニュー」と思われていた

 フルグラの朝食市場の参入を決めた私たちは、消費者調査を行い、朝食でシリアルを食べない理由を探りました。そこでわかったのは、シリアルに対するネガティブな印象。一皿で簡単に食べられることが、母親の手抜きのようにとらえられていたのです。また砂糖をまぶしたコーンフレークの認知度が高いため、シリアル=甘くてお菓子っぽい、というイメージも強くあり、「朝食として子どもに食べさせても良いのか」という不安の声も聞かれました。一方で、健康を意識する人のための食べ物というイメージもあり、「味気なくて食べ続けにくいのではないか」とも思われていました。

 こうしたイメージを払拭し、消費者に「自分たちのための商品」であると感じてもらうために、健康的な食べ物というイメージの訴求を控え、いかに美味しく見せるかを追求しました。朝食のメニューとして選ばれる理由の圧倒的なナンバーワンは美味しさです。一に美味しさ、次に簡単さ、そして健康。この順序は、調査を何度繰り返しても変わりませんでした。

 幸いすでに「フルグラ」を買っている人は、美味しさを評価してくださっていて、朝食や食事のことをしっかり考えている人も多くいました。これをひとつのチャンスととらえ、2011年からグラノーラのことを「シリアルと呼ばないで」というメッセージを発信し、独立した「グラノーラ」というカテゴリーであることの浸透を目指し、カテゴリー名を強調する訴求を行いました。

 

「グラノーラ」カテゴリーの認知を高めることに寄与した
『毎日食べたい! 社員公認 フルグラレシピ』『カルビー フルグラ 大好きマグカップレシピ』

ヨーグルトとの「オトモダチ作戦」

 「グラノーラ」という言葉や存在を、ファン以外にも広く知ってもらうため、2012年に、レシピ本「フルグラレシピ」を出しました。当時、レシピ本がブームになっていて、レシピ本が出るくらいブームなのだという雰囲気を作りたかったからです。レシピは社員考案のものと、一部はユーザーの方から募集したものも掲載しました。朝食に限定せず、ハンバーグのソースなど「フルグラ」を食材として使うものも含め、とにかく食べて美味しいと感じてもらうことを目指しました。レシピを通じて、そのまま食べるだけではないアレンジの方法も伝えることができ、グラノーラは美味しくて、利用範囲も広いものであると知ってもらうことができたと考えています。

 カテゴリーの認知が高まった先に、朝食市場へ定着していくためには、朝食の定番メニューと合わせて食べてもらうことが良いのではと考えました。そこでパートナーにヨーグルトを選び「オトモダチ作戦」を展開しました。ヨーグルトはジャムやフルーツソース、砂糖を加えて食べるのが一般的ですが、フルグラを加えることで食感と栄養が増し、食事としての存在感を高めることができます。また、ヨーグルトは市場調査のデータを見ても成長を続けており、朝の食卓へ上がる頻度も、ご飯やパンに次いで高くなっています。朝のヨーグルトと一緒に食べてもらう“オトモダチ”として「フルグラ」を試し、美味しさを知ってもらうことを目指しました。

 こうした施策に合わせ、年間を通じて「フルグラ」を食べてもらうためにフェーズに合わせた情報発信も行いました。グラノーラが一番売れる季節は、6〜8月の夏場で、冬へ近づくにつれ売上げは落ちていきます。そこで、オトモダチ作戦などで一定の認知を獲得し、食卓への定着を目指すフェーズで「秋バテ対策」というPR活動を行いました。夏の暑さによる疲労が秋に出てしまい、食欲が落ちる「秋バテ」した状態でもしっかり朝食を食べましょうというメッセージとともに「フルグラ」を使ったレシピを提案したのです。

 また、感度の高い消費者向けとして、少しおしゃれさを高めた、フルグラの「マグカップレシピ」本も出しました。こうした提案は雑誌やテレビの情報番組などで紹介され、メディアへの露出も増えていきました。

 オトモダチ作戦やフェーズに合わせたPR作戦により、2011年に37億円だった売上げは、13年には95億円と目標としていた金額に近づけることができました。また、市場調査会社のデータで売上げ1位を記録したことを受け、13年2月の戦略発表会見で「No.1宣言」を行いました。商品パッケージにも「No.1」の表記をつけ、カテゴリーのトップブランドであることを宣言するにいたりました。

 次回は、「No.1宣言」による影響や店頭の棚づくり、今後についてご紹介します。

 

ヨーグルトとの「オトモダチ作戦」で、朝食メニューとして浸透させるため
「フルグラにかけるヨーグルト」というコラボ商品も生まれた。

カルビー株式会社 マーケティング本部 フルグラ事業部 企画部 網干 弓子

1997年、神戸大学農学部卒業後、カルビー入社。98年よりマーケティング部門へ。産休・育休経て、2012年よりフルグラを担当。

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