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NFTとは?仕組みと特徴、利用までの流れを解説

奥 達男
エバンジェリスト
ブロックチェーン技術の啓発及び技術適用を前提とした事業モデルの創生・推進、コンサルティング、POC、
技術の講義、サービス構築を行なっており、また、数多くのセミナー(自社・他社・協会)への登壇を担う。
BCCCトークンエコノミー部会部会長、BCCCブロックチェーンエバンジェリスト
youtubeやSNSで随時情報発信中

奥 達男

2022 / 08 / 09

#テクノロジー,#生活 文化,#トレンド

NFTとは?仕組みと特徴、利用までの流れを解説

NFTは2017年9月頃に標準規格となる技術が誕生し、「CryptoKitties(子猫のトレーディングカード)」「My Crypto Heroes(MMORPG)」といったNFTを利用したゲームが立て続けにヒットしたことで、NFTは急激に注目を集めました。その後、2020年末から2021年にかけてプロバスケット名場面動画やデジタルアートなど数々の高額落札があったことで、連日メディアでも報道され、爆発的なヒットを記録。2021年はNFTの年となりました。この記事では、こういった経緯をたどったNFTについて、どういったものなのか、その特徴や課題、注意点、法整備とあらゆる観点でまとめて解説します。

NFTとは

NFTとはNon-Fungible-Tokenの略で、日本語だと、非代替性トークンや代替不可トークンなどと呼ばれます。ビットコインが発行・流通している技術と同じ技術であるブロックチェーンを利用して、発行・流通しているトークンであり、その名の通り、替えが効かない、世界にただ1つしかない、唯一無二のトークンです。

トークンとは

トークンは、もともと「しるし」や「証拠」「商品券」という意味を持つ英単語で、言葉の定義的には、広い意味で「独自に発行した価値があるデジタル資産」になります。そのため、人が価値を感じるデジタル資産であれば、それは広い意味でトークンと言えますが、ブロックチェーンにおけるトークンとは、ブロックチェーン上で発行・流通する独自の価値を持つデジタル資産です。前述のビットコインやイーサリアムといった暗号資産もトークンです。

ファンジブルトークン

ブロックチェーン上のトークンという意味ですと、NFTより、ビットコインやイーサリアムの方が先に発行・流通していました。
ビットコインやイーサリアムといった暗号資産は、FT=Fungible Tokenといい、代替可能トークンなどと呼ばれます。ビットコインは今(2022/4時点)1,900万枚以上が発行されており、その発行されている1,900万枚は区別がなく(それぞれのビットコインには個性がない)、例えば筆者が持っている1bitcoinと他の人が持っている1bitcoinは同じビットコインです。
そして、ビットコインなどのFungible Tokenは分割ができます。所持している1bitcoinのうち0.5bitcoin誰かにあげることも可能ですし、手元に0.5bitcoin残すことが可能です。

ノンファンジブルトークン

対して、NFTなどのノンファンジブルトークンはビットコインにように、同じNFTを何個も発行・流通させることはできません。NFTと呼ばれるトークンは世の中にたくさん発行・流通しておりますが、それぞれのNFTは絶対に重なることがないユニークな情報を持っており、そのユニークな情報は変えることができないので、NFTはデジタルデータにも関わらず、唯一無二なトークンを維持しています。そして、NFTはビットコインのように分割するようなことはできません。
今まで、デジタルデータというのは、コピーが可能で、どれがオリジナルなのかがわからなくなり資産性を持つことが困難でしたが、唯一無二の特性を持つNFTをデジタルデータに結びつけることにより、結びついているデジタルデータがオリジナルであることをNFTが証明してくるような仕組みが可能となりました。
デジタルアートの文脈におけるNFTは、該当のデジタルアートがオリジナルであることを示す証明書のようなイメージがわかりやすいかと思います。

ブロックチェーン上で発行・流通しているトークンには、いろんな種類があります。

ユーティリティートークン

実用性のある、何かに利用できるトークンのことです。例えば、サービスに使えるポイント、美術館やライブのチケット、クーポンやギフト券などがあります。

セキュリティートークン

デジタルの有価証券のことで、株や債券と同じようなものです。よって、証券取引委員会や金融庁などに厳しく管理される形となります。セキュリティトークンを使った資金調達方法であるSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)の事例が増えつつあります。

ファントークン

アーティストやスポーツチームなどとファンとの距離を縮め、エンゲージメントを強化することを目的とするトークンであり、運営や指針などの意思決定に参加するための投票券、限定のイベントに参加券といった役割を持ちます。スポーツ業界での導入されている事例が数多くあり、海外や日本でも導入が進んでいます。

ガバナンストークン

DAOと呼ばれる組織体において、DAOの方針や方向性を決める権利を表すトークン。DAOとはDecentralized Autonomous Organizationの略で、自律分散型組織と呼ばれます。例えば、企業における、経営陣が存在せず、社員たちだけで、企業の経営や方針を投票などで決めていく方式で、もちろんメリットデメリットがあり、そして適している業種業態や導入するタイミングなど、様々な課題や検討事項があります。

ステーブルコイン

ビットコインやイーサリアムといった暗号資産は、値動きが激しく、決済手段には向いていないとされています。そこで、値動きが一定な状態を保証するトークンの需要が高まり、ステーブルコインが登場しました。海外だと、USDTやUSDC(米ドルと同じ価値を持つ暗号資産)、日本だとJPYC(日本円と同じ価値を持つポイントのようなデジタル資産)が有名です。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンとは、今までお話ししてきたトークンの価値を保証する技術です。ブロックチェーンの特性として、「特定の事業体に頼ることなく(非中央集権型)」「データの改竄ができない(耐改竄性)」「取引の状態を誰でも確認できる(高透明性)」があります。
今までの仕組みは、特定の事業体が運営していることが多く、その事業体に何か問題があると、その仕組みにも影響を及びます。ブロックチェーンにはそういったことがありません。また、誰か強い権限をもった管理者のような存在、または強力なハッカーによる恣意的なデータの変更というのもできません。
以上により、誰でも安心して、価値を持ったトークンの発行・流通・売買を可能とするプラットフォームを実現できているのがブロックチェーンです。そのブロックチェーンで発行・流通する唯一無二のトークンであるNFTは他のトークンとは違い、唯一無二の状態をブロックチェーンが保証いたします。その非代替性がデジタルデータの価値を変える技術と言われています。

NFTの特徴

コピーし放題だったデジタルデータは価値を持たせることが困難でした。しかし、NFTとデジタルデータを結びつけることにより、デジタルデータがオリジナルであることが証明できるようになり、希少性を高めます。
例えば、10個限定のデジタルアートを発行することができ、それを買った人は自分が持っているデジタルアートが10個限定のデジタルアートであることを簡単に証明できます。これだけでも革新的ですが、この何個限定のデジタルデータの発行が誰にでもできることも革新的だと感じています。そのため、日本でも海外でも学生が書いたデジタルアートが何百万円の売上ものをあげる、といったことが可能となります。

デジタル資産の売買ができる

NFTで売買できるのはデジタルアートだけではありません。極端なことでいえば、NFTと結びつきさえすれば何でも売買できるということで、実際に取引されています。有名どころだと、Beepleの75億円のデジタルアート、ジャック・ドーシーの最初のツイート、米プロバスケットの名場面動画、メタバースの土地(現実世界の土地も事例があります)、音楽のアルバム、ワインやウイスキー、高級時計、ストリートアート、広告枠、アマゾンの森林などがあります。

メタバース

メタ(超える)とユニバース(宇宙)を組み合わせた造語で、メタバースという言葉自体は、SF作家のニール・スティーヴンスンが1992年に発表した作品に登場する仮想空間の名前に使われたのが、最初と言われております。メタバースという言葉の定義は今の所定まっていないのが現状ですが、デジタルな仮想空間があって、その中に自分のアバターがいて、そして、仮想空間上を自由に歩けるような内容で、「同時に複数人が参加可能なデジタル3D仮想空間」「メタバースの世界を自分で自由に作れる」と言えます。

投資目的での利用

2021年末あたりに暗号資産取引所のコインチェックとビットバンクがそれぞれ日本のユーザを対象にNFTに関するアンケートを実施し、NFTの購入理由の第一位が「値上がりへの期待」や「長期投資」といった、投資としてNFTを保有している方が多い統計が出ました。
海外では、NFTの取引高のピークが2021年8月あたりで、そこから年末にかけて下がってきたところに、メタバースの土地のNFTを高値で売買され、全体の取引高をあげるといったことがありました。こちらも、メタバースへの将来に向けた期待を含めた投資としての動きとなり、バブルという見方が多く見られています。

参照:
コインチェック株式会社「【2021年話題沸騰の「NFT」】約6割が知っていると回答 、一方で購入ハードルはまだ高いという結果に」
https://corporate.coincheck.com/press/3yoEYpuv

ビットバンク株式会社「【暗号資産投資・NFTに関するアンケート調査結果】NFT所有の目的やNFT売買に係る損益の実態を調査」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000083.000024344.html

コインテレグラフジャパン「メタバース上の仮想土地NFT、先週1週間で取引高は1億ドル以上に=DappRadar」
https://jp.cointelegraph.com/news/106m-worth-of-metaverse-land-sold-last-week-dappradar

データそのものは手に入らない

例えば、2021年の3月に75億円で落札されたと話題になったBeepleのデジタルアート。こちらのデジタルアートはだれでも見ることができますし、ダウンロードすることができます。では、落札者は何を75億円で落札したのかということになりますが、Beepleのデジタルアートに紐づいたNFTを落札し、手に入れたことになります。
Beepleの75億円のデジタルアートの場合、NFTはブロックチェーン上で流通するトークンなのですが、デジタルアート自身は、別の記憶領域に保管されています。


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NFTを利用する上での注意点

日本の法整備

NFTはデジタルデータであり、紐づいているのもデジタルデータである場合が多いです。では、NFTを手に入れることにより、何が手に入るかという点なのですが、まず、NFTを手に入れることができれば、紐づいているデジタルデータの所有権が手に入るイメージを持っている方は多いかと思います。
しかし、日本の法律では、有形のものに所有権という権利は存在しますが、無形のもの(この場合はデジタルデータ)には、所有権という権利は存在しません。
つまり、NFTは法律という観点でいうと、NFTという技術が先行し、法律が追いついていない状況です。
実際、NFTを買うことにより、NFT所有者に何を得ることができるのかは、利用しているNFTマーケットプレイスの利用規約や個別の売買契約の内容によります。

ネットワーク手数料が不安定

NFTは発行・流通時にブロックチェーンに手数料を支払う必要があります。手数料は該当ブロックチェーンのネイティブトークンで払います。Ethereumの場合はEthです。手数料は、暗号資産のボラティリティやブロックチェーンの混雑具合の影響を受けて、上がったり下がったりします。

複製物に注意

Beepleのデジタルアートは誰でもダウンロードできます。ということは、ダウンロードしたデジタルアートを新しく発行したNFTと紐づけて、販売することも可能です。こういったNFTのコピーミントは問題となっており、複製物や盗作も多く出品されておりますので騙されて買ってしまわないように、注意が必要です。

NFTを利用する流れ

最初に、欲しい・買いたいと思うNFTを決めましょう。買いたいNFTによって、暗号資産で買えるのか、クレジットカードでも買えるのか、暗号資産が必要なら、どの暗号資産取引所で取り扱っているか、欲しいNFTはどのNFTマーケットプレイスで売っているのかなど、買い方が変わります。

NFTを購入する場合

今回は、欲しいNFTがOpensea(取引高世界一のNFTマーケットプレイス)という海外のNFTマーケットプレイスで販売されており、暗号資産を持っていない状態から、NFTを購入するための手続きを簡単に説明いたします。まずは、暗号資産を購入しましょう。

暗号資産の購入

暗号資産の購入通常、暗号資産取引所で購入します。まず暗号資産取引所に口座を開設します。口座開設には本人確認情報が必要です。インターネット上の手続きで終わるようになっています。各暗号資産取引所の詳しい口座開設手続き方法は大概Web上に情報が載っています。

ウェブウォレットに暗号資産を送金

購入した暗号資産はカストディアルウォレット(取引所管理のウォレット)に入ります。そして、その暗号資産をノンカストディアルウォレット(個人管理のウォレット)に移す必要があります。ノンカストディアルウォレットは種類がたくさんありますが、初めて利用する方は有名でユーザの多いMetamaskがよいでしょう。暗号資産取引所からMetamaskへ買った暗号資産を送金する方法は簡単で、Web上にも情報があります。

マーケットプレイスでNFTを購入

OpenseaでNFTを購入する場合、Openseaのアカウントを登録して、Metamaskを接続します。NFTが買えるNFTマーケットプレイスは世界中にたくさんあり、Openseaは世界で一番有名な海外のNFTマーケットプレイスです。その他、海外だと、様々なコンテンツを扱うRarible、アートに特化したSuperRareやNiftygateway、LooksRare、国内だと、暗号資産取引所のコインチェックやGMOコイン、SBIグループのSBINFT、Rakuten Wallet、LINE bitmaxなどがあります。

NFTで出品する場合

NFTマーケットプレイスで買ったNFTは売ることもできます。また、自分の創作物もNFTにして売ることができます。例えば、Openseaの取り扱いコンテンツは、写真、動画、アート、ゲーム、トレカ、⾳楽など、多岐にわたります。この多岐にわたるNFTを売ること(出品する)ができます。

出品物の用意

自作コンテンツ(デジタルアートなど)をNFTにして売る場合、まずコンテンツを準備します。デジタルアートであれば、Photoshopなど画像編集ソフトを使うでしょう。コンテンツが用意できたら、マーケットプレイスでNFTにします。

マーケットプレイスの選定

ほとんどのNFTマーケットプレイスで、NFTの出品ができます。ただし、日本の場合は審査が厳しく、海外は比較的緩いところもあります。マーケットプレイスの選定には、取引高やユーザの多さ、出品数やコンテンツのバリエーション、手数料(マーケットプレイス利用料)、日本語対応、クレジットカード対応など、「マーケットプレイスの盛況度合い」「料金」「使いやすさ」の軸があるかと思います。
またマーケットプレイスによっては、特定のジャンルに特化しているところもあります。たとえば、SuperRareはアート特化型(審査が厳しい)という特徴があり、日本にもアートに特化しているマーケットプレイスがあります。自作コンテンツの出品の場合、Openseaが取引高もあり情報も多いので、使いやすいでしょう。

出品手続きを行う

マーケットプレイスでコンテンツをNFTにし、出品します。出品には、販売形式(「価格固定」「オークション(価格釣り上げ式と価格下降式)」)や販売期間(販売期間もしくはオークション期間)や価格(販売価格や最低価格など)などの設定があります。

まとめ

NFTは今、様々な方向に進化していっています。NFTと分散型金融(DeFi)や従来の金融(TradiFi)、NFTとファッション、NFTと音楽、NFTと不動産、NFTとIoTなど、NFTと何かが組み合わせることにより、さらに新しい価値が保持された状態で、あらゆる経路への流通が可能となります。そして、デジタルツインやメタバースの進化とともに、NFTは価値のインフラの1つとして確固たる存在になっていくでしょう。


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