蚊とり線香で新しい価値の提供を 第2回 キーワードは「長持ち」と「香り」 | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2015/8/21

蚊とり線香で新しい価値の提供を
第2回 キーワードは「長持ち」と「香り」

蚊とり線香で新しい価値の提供を<br />第2回 キーワードは「長持ち」と「香り」

「香り」商品増加のトレンドに着目

アース製薬は効きめを第一としながらも、消費者が使い方を間違わないか、使いやすいものであるかということを重視し、「お客さま目線の商品開発」を合言葉に開発に取り組んでいるメーカーです。

前回でも触れた通り、蚊とり線香においてナンバーワンを獲得することは私たちの大きなテーマです。そのため、商品開発にはずっと注力してきました。もっとも、殺虫効果は「あって当然」のものであり、蚊とり線香に関しては各ブランド間でベースの原料に大きな差もなく、効果・性能という点での差別化は難しい状況です。

そこで、シェアを獲得するために最初に手を付けたのが価格戦略です。他社よりも手に取りやすい価格帯にしたのですが、すでにでき上がったブランドイメージを破るまでには至りませんでした。

次に取り組んだのは大型化です。渦巻のサイズを大型化して、時間にして約1.7倍長持ちするようにしました。競合も長持ちタイプの商品は投入してきましたが、価格が高くなりすぎて手を出しにくい価格帯になっていました。私たちは先に低価格化を進めていたこともあり、売上げを伸ばすことができました。

次なる手として、蚊とり線香独特の煙の臭いに抵抗がある人がいるのではないかということで、煙の臭いを抑える研究も続けていました。その成果として、2010年頃には煙の臭いを消す技術ができ上がりました。

当時、香りつき柔軟剤のブームを受けて、ほかの日用品でも香りをつけることがトレンドになっていました。私たちも煙の臭いをただ消すだけではなく、香りをつけることでアピールする商品があってもいいのではないかということで開発を進め、2012年にバラの香りをつけた商品を発売しました。

これがヒットしたことを受けて、第2弾のお茶の香り「アロマグリーン」、第3弾にラベンダーの香りを発売するに至りました。2015年には新たにカモミールの香りを発売しています。

他社も追随、本当の勝負はここから

実はかつて、煙の臭いと刺激を抑えた商品を販売していたのですが、当時は「煙が少ないことでお部屋を汚さない」ことを訴求していたものの、お客様に響かず、店頭でのインパクトも打ち出せずに失敗したという苦い経験がありました。そこで、今回は香りをメインに訴求するとともに、店頭で消費者の目に止まって手に取ってもらえるように、バラはピンク、ラベンダーは紫、お茶はグリーンといったように、香りとパッケージカラーを関連づけたインパクトのある商品として打ち出しました。

バラはピンク、ラベンダーは紫、お茶はグリーンといったように、香りとパッケージカラーを関連づけたインパクトのある商品

通常の蚊とり線香の白と緑を基調としたパッケージが並ぶ売り場に、明るい色が加わったことで、視覚的にも目に入りやすいという効果があったと思います。小売店側も売り場が華やかになったということで好意的に受け入れてもらうことができました。今年発売したカモミールは、すでにあるピンク、紫、グリーンとある中に、夏らしく涼しげな色を投入しようということで展開しています。他社からも香りのついた商品が出てきており、このカテゴリーも競争が激しくなっています。

長持ちタイプと香りつきタイプの発売で、蚊とり線香に新しい価値を加え、売上も伸ばすことができました。シェアに関しても、かつてはトップブランドの足元にも及びませんでしたが、現在はトップブランドが約50%ほどに対し、私たちが約30%と、ようやく背中が見えてくるほどまでに差を詰めることができました。そして、ここからが勝負だと感じています。

次回は、広告展開や今後についてご紹介します。

アース製薬 デジタルマーケティング部 研究開発本部 商品企画部
商品企画課 課長
飛田 憲一

2005年アース製薬株式会社入社。研究員としてトイレ用芳香洗浄剤や入浴剤の研究開発を担当したのち、2010年より商品企画部に異動。ハエ・蚊用、ゴキブリ用などの殺虫剤を担当しながら、モンダミンやお米用防虫剤など幅広い業務に携わる。

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