新たなニーズを発掘する商品ブランド戦略 第3回 男性マーケターが女性消費者の本音をつかむ術 | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2016/5/20

新たなニーズを発掘する商品ブランド戦略
第3回 男性マーケターが女性消費者の本音をつかむ術

新たなニーズを発掘する商品ブランド戦略<br />第3回 男性マーケターが女性消費者の本音をつかむ術

調査で「不安の強さ」が明らかに

私自身は男性でもあり、日常的にメークをすることはありません。ですから、女性がメーク落としに感じている不満や不安は実感として持つことはできません。男性がその不安をイメージするなら、整髪料をつけたまま、髪を洗わずに寝てしまった翌朝、頭皮に負担をかけてしまったか?大丈夫かな?というようなものでしょうか。また、女性が強いこだわりを感じるのは、それが「顔」という部分であることも大きな理由のひとつでしょう。

そこで、調査を通じて女性の化粧習慣を明らかにしていく一方で「自分自身でも体験する」という方法もとっています。FWB開発の際は、私自身がメークを落とすという体験を行い、その様子を収めた動画が、発売時の営業ツールとしても活躍したことはこの連載の2回目で紹介しました。

商品

フルメーク ウォッシャブル ベース(FWB)

自分で試してみるしかない

私が体験という手法をとり始めたのは、研究員としてシャンプーの処方開発を担当していたときのことです。他社ブランドのシャンプーを使っている消費者が「このブランドのコンディショナーをつけた瞬間に髪がクニャッとして良い」と言っているのを聞いて「クニャッというのはどういうものだ?」という疑問を持ちました。それを知るには自分が試してみるしかない。そこで髪を伸ばして、毎日4〜5回、朝、出社後、夕方、夜に髪を洗いました。試作品を自分で使って、トライアンドエラーアンドを繰り返して消費者が求めているものを理解していきました。そうして「TSUBAKI」などのシャンプーを開発しました。

とにかく消費者になりきり、気持ちに寄り添うことが大事だと思います。消費者が何に悩み、何を不安に感じているかはやってみればわかる。メーク落としが面倒だけど、多くの女性がなぜメークしたまま寝ないのかを知りたいならば、自分がメークをしたまま寝てみる。そこで何が起こるのかを体験してみることは、男性だから、女性だからという性別に関係なく、開発に携わる人間なら当然すべきことだと思います。

やってみてわからなければ、その分野に強い人に任せれば良い。男性だからメークできない、女性だから男性の整髪料はできないということは違うと感じています。性別を問わず消費者の気持ちに近づこうとすることは、私が商品を開発するにあたって一番大事にしていることです。

株式会社資生堂 トレードマーケティング部 トレードマーケティング室 コラボレートマーケティンググループ 長野 種雅

2000年、金沢大学大学院自然科学研究科修了。同年(株)資生堂に入社。ヘアケア商品の処方開発および基礎研究業務に従事。2010年からはマーケティング部門に異動し、女性用ヘアケア商品・男性用化粧品などの商品開発を担当し、現在に至る。

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