原料はコーヒー豆と水だけ 「UCC BLACK無糖」ブランドの戦略 第2回 わずかな味の違いで評価が変わる | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2017/1/27

原料はコーヒー豆と水だけ 「UCC BLACK無糖」ブランドの戦略 
第2回 わずかな味の違いで評価が変わる

原料はコーヒー豆と水だけ 「UCC BLACK無糖」ブランドの戦略 <br />第2回 わずかな味の違いで評価が変わる

容量によって異なる味の設計

 1994年に販売を開始した「UCC BLACK無糖」は現在、缶製品としてプルトップタイプに加えてキャップ付きのリキャップタイプも展開しています。リキャップタイプでは、375gの「SMOOTH&CLEAR」と275gの「DEEP&RICH」、HOT販売専用の「DEEP&HOT AROMA」があります。

 同じ「UCC BLACK無糖」ブランドの製品ですが、飲用シーンを踏まえ、容量ごとに違う味の設計になっています。基本となるプルトップタイプは、ちょっとした休憩に気持ちを切り替えるために、開けてそのまま飲みきるような利用が中心です。そのため、コーヒーの旨みを感じながらも、後味が残らないキレのある味わいに設計しています。

 一方で、リキャップタイプはリラックスしたいときや、デスクワークや会議中に少しずつ飲みたいときに合わせた設計です。「ちび・だら飲み」と表現することもあるこの飲まれ方に合わせて、少しずつ飲んでも美味しさを感じられる、しっかりとした味わいになっています。味覚としては濃厚に感じるような設計なので「DEEP&RICH」としています。

 さらに容量の多い375gのものは、「ゴクゴク飲み」もできるよう設計しています。夏場などは若年層を中心に一口でたくさん飲むような飲まれ方が増えていることがわかってきました。そうしたシーンに口当たり良く飲めるよう設計し「SMOOTH&CLEAR」としました。プルトップや275gのものが食後に飲むようなイメージなのに対し、この製品は食事中にも飲んでもらえるようなイメージです。パンやサンドイッチだけではなく、おにぎりやお弁当と一緒に楽しまれる方もいるようです。

 

UCCブラジルでは輸出する前のコーヒー豆の品質を厳しくチェック。

するどい味覚の消費者への調査

 「ちび・だら飲み」、「ゴクゴク飲み」といったシーンごとの飲まれ方の傾向は、消費者調査を通して見えてきたものです。製品開発においては、定性調査で嗜好を見ながら、一定のニーズがあると判断したものは、試作品を定性調査にかけていきます。当社には、当然ですがコーヒーに強いこだわりを持つ社員が多くいます。そうした社員達が作る試作品を調査にかけて、多くの人に響く味を製品化しています。

 調査の対象は主に缶コーヒーユーザーから集めています。当社のロイヤルユーザーや、新規ユーザーなど調査の目的に合わせて呼んでいます。特に、その時の対象製品の想定ターゲットを優先して調査をしています。リニューアル時の調査では、わずかな味の違いで評価が大きく変わることもあり、消費者の方のするどい味覚には驚かされています。特に無糖タイプの缶コーヒーユーザーの方は、昔からブラックでしか飲まないという人も多く、味へのこだわりを感じます。「UCC BLACK無糖」のメインターゲットは男性が中心ですが、調査では女性の意見も意識的に聞くようにしています。

 近年は、缶コーヒー市場全体でも女性のユーザーは増加しています。構成比としては男女で8対2くらいなので男性が圧倒的に多い印象ですが、かつては9対1だったので女性の利用が拡大していることがわかります。売り上げを伸ばしているリキャップタイプも、その成長を支えているのはコンビニエンスストアでの販売です。女性や学生が持ち運びの利便性を重視して、コンビニエンスストアで缶コーヒーを買うときに、リキャップタイプを選んでいることがその要因だと見ています。今後も女性の缶コーヒーユーザーは増えていくだろうと考えています。

 次回はプロモーションとキャンペーンについて、ご紹介します。

 

日本でもコーヒー鑑定士がチェックを行い、合格したものだけを使用。

UCC上島珈琲株式会社 マーケティング本部 ブランド開発部 ブランド1チーム ブランドマネージャー 松野 宏昭

2002年UCC上島珈琲株式会社に入社。営業部を経て2009年よりマーケティング本部へ。ペットボトル飲料「上島珈琲店 ミルク珈琲」の開発などに携わる。2016年4月より現職。

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