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ITPとは?Web広告との関係や企業に必要な対策を解説

堀野 正樹
株式会社みらいマーケティング本舗 代表取締役
「経営者の右腕」として企業のECビジネス支援、ブランディングやウェブマーケティング代行業務を行う。「マーケティング設計図」「ブランドストーリー」「発注力強化」から構成される独自メソッドを実践し、上場企業から中小企業まで十数社に対してマーケティングを活用した売上改善支援を行う。
マーケターとして約20年の経験があり、メーカー勤務時代にはマーケティング責任者として7年間で売上を3.5倍の70億円に成長させた実績を持つ。

堀野 正樹

2023 / 01 / 17

#テクノロジー,#データ分析・活用

ITPとは?Web広告との関係や企業に必要な対策を解説

近年、個人情報保護の観点から、ウェブ業界でも利用者のプライバシー保護を重視する動きが高まっています。このプライバシー保護に関連が深い機能のひとつが「ITP」です。本記事は「ITPについての基本を知りたい」「ITPがウェブ広告にどう影響するか知りたい」という方に向けて、ITPの概要、与える影響、対策方法について詳しく解説します。

ITPとは

ITPとは「Intelligent Tracking Prevention」の略で、ユーザーの追跡を制限するために付与されたプライバシー保護機能のことです。具体的には、サイトに訪問したユーザーの情報を保持する「Cookie」の機能を制限したり無効化したりする役割を担います。
Apple社のブラウザ「Safari」に2017年に導入されて以降、アップデートが繰り返されており、制限が強化されています。

ITPを知る上で知っておきたい用語1【トラッキング】

トラッキングとは「追跡」という意味で、ウェブサイトの運営者や第三者がユーザーの属性や行動履歴を計測・分析するために追跡することを指します。
トラッキングを行うことで、ユーザーがどこから来たのか、どのようなページを閲覧したのか、どのくらいの時間滞在したのかなどがわかります。
今後はITP導入の影響により、トラッキングの範囲や精度が低下することが懸念されています。

ITPを知る上で知っておきたい用語2【Cookie】

Cookie(クッキー)とは、ウェブサイトを閲覧したときに、訪問者が訪れたサイトや入力したデータ、利用環境などの情報が記録される仕組みを指します。一度ログインすれば、時間が経ってもID・パスワードを入力せずにログインできる、自分の興味・関心に合ったインターネット広告が配信されるなどのメリットがあります。
Cookieには2つの種類があり、ユーザーが訪問したウェブサイトのドメインが発行する「1st Party Cookie」と、それ以外のドメインが発行する「3rd Party Cookie」に分類されます。

ITPのアップデートによる変遷

これまで、ITPは度重なるアップデートがあり、そのたびに削除対象となるCookieの範囲を広げてきました。

Apple社が「safari」ブラウザを対象にITPを初めて導入したのが2017年。当初は3rd Party Cookieを対象に制限をかけていましたが、その後もアップデートを繰り返し、1st Party Cookieにも制限をかけるようになりました。アップデートの詳細は以下のとおりです。


Apple社「safari」のITPの変遷

ITPが広告運用に与える影響

日本ではiPhoneの利用者が50%以上を占めることから、ITPの対象となる「Safari」ブラウザの利用者が多く、ITPの影響が懸念されています。具体的には、以下のような影響が出る可能性があります。

1. リターゲティング広告の制限

Cookieを活用した広告の代表例が「リターゲティング広告」です。Cookie情報をもとに一度サイトへ訪れたユーザーに対して広告を配信する手法ですが、ITPの影響により主に下記の2つの問題が懸念されています。

・Cookieの保存期間が短くなることで広告の配信量が減少する
・Cookie情報をもとにしたターゲティングの精度が悪化する

従来、リターゲティング広告は費用対効果が極めて高い広告手法として多くの企業が採用していましたが、リターゲティング広告に頼っていた企業は今後早急な転換が求められる可能性があります。

2. 広告効果の測定が困難になる

ITPの導入は、広告の効果測定にも大きな影響を及ぼします。
広告でもっとも重要な指標である「コンバージョン」についても、計測に必要なCookieを削除してしまうため、最初の訪問から一定期間が経ってしまうと「実際は注文に至っていても、コンバージョンとして計測されない」という事態を招きます。
よって、正確なコンバージョン数が計測できない可能性が高まり、配信した広告の費用対効果の把握も困難になっていくでしょう。

3. 分析レポートが偏る

広告効果を正確に把握ができないということは、分析やレポーティング業務にも影響を及ぼすことになります。その場合、管理画面上のコンバージョン数と、実際のコンバージョン数を照らし合わせて実際の数値を把握するしかなく、レポート作成に大幅な時間がかかるという問題が生じることもあるでしょう。


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広告主要媒体がおこなうITPへの対応

主要媒体である「Google」「Yahoo!」「Facebook」は効率的な広告配信の実現やコンバージョンの計測不良などを防ぐために、それぞれ独自の対策を講じています。
ここでは各媒体の対応策を紹介します。

Googleの対応策

Googleが行うITP対応は「グローバルサイトタグ」と「イベントスニペット」を使用することで、訪問したユーザーに対して1st Party Cookieを付与させるという取り組みです。グローバルサイトタグはすべてのページに、イベントスニペットはコンバージョンを計測したいページにそれぞれ貼ります。

タグを管理する際、「Googleタグマネージャー」を利用する場合は「コンバージョンリンカー」を設定します。Googleタグマネージャーを使えば、複数サイトをまたぐユーザーの行動データも取得できるため、より正確なコンバージョン計測が可能です。
Googleでは、今後のさらなるITPの強化に備えて、3rd Party Cookieに代わってオンラインで人々を識別する「Topics」という補完技術をテストしています。

Yahoo!の対応策

Yahoo!広告では、以下のタグを設置することでITPへの対策を講じることができます。

・サイトジェネラルタグ・コンバージョン測定補完機能タグ
・リニューアル版 コンバージョン測定タグ

コンバージョン測定補完機能タグを使用するためには、事前にアカウントへの「自動タグ設定」が必要になります。

Meta(Facebook)の対応策

Facebook広告では、ITP対策として「ビジネスマネージャのドメイン認証」と「合算イベント測定」の設定を推奨しています。
ドメイン認証は、ドメインの所有者の確認によりコンテンツの安全性を確保するための機能であり、この認証を実施していないと「合算イベント計測」が実施できません。
「合算イベント計測」とは、ドメイン単位で計測できるイベント数を8つに上限を設けることで、合算イベント測定のデータを使用してコンバージョンを正しく計測できるようにします。

ITPへの主な対策方法

ITPに対して各広告媒体側もさまざまな対応を講じていますが、広告を依頼する企業側(広告主)にも積極的な取り組みが求められるようになってきています。ここでは、広告主がどのような対策を講じるべきかを説明します。

消費者を意識したマーケティング展開をする

Cookie規制の強化に伴い、以前と比べてリターゲティング広告や広告効果測定の精度が低下することは避けられません。将来的に規制が緩む可能性も低いと予想されているため、今後はCookieに頼らない「ポストCookie時代のマーケティング」を検討すべきでしょう。
例えば、自社のペルソナやカスタマージャーニーを見直して、それに即したコンテンツ発信を行う取り組みや、「ゼロパーティデータ」と呼ばれる自社で収集した顧客データの活用など、新たな取り組みが必要になってくるでしょう。

ITP対策に対応した広告効果測定ツールを使う

広告効果を正確に測定したいときにおすすめなのが「広告効果測定ツール」の導入です。ITPがアップデートされるたびにツールベンダー側が自動で対策してくれるので、都度自社で対策を行う手間が省けるのは大きなメリットだと言えます。

広告効果測定ツールはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や機能が異なります。 以下のポイントを抑えて自社の目的にあったツールを選びましょう。

・計測したい指標を計測することができるか?
・現場で使いやすくなっているか?
・サポート体制はどうか?

ツールは導入するだけではなく、使いこなしてはじめて効果を最大化できるものです。検討の際には、ツールの特徴のみならず、操作性などもしっかりと確認しましょう。

Cookieに依存しない広告手法を採用する

Cookie規制により、従来のようにターゲティング広告が出しにくくなっているなか、Cookieに代わる技術を使った広告手法も登場しています。
新たな仕組みとして注目されているのが、Googleの「Privacy Sandbox(プライバシーサンドボックス)」。Cookieに代わり、ユーザーのプライバシー保護を強化しつつ、ユーザーにとって最適な広告を発信していく機能です。
Googleからは、3rd Party Cookieを使用した場合と比較して最低でも95%以上の効果が見込めると発表されています。つまりターゲットに対する広告表示の精度はそのままに、ターゲットの個人情報は保護されるというわけです。

まとめ

ウェブ広告運用における個人情報収集への規制はますます厳しくなることが予想されます。そんなポストCookie時代で生き残るためにはユーザーのプライバシー保護の観点を意識しつつ、Cookieに依存しない新しい取り組みの検討・実行を進めていくことが必要です。同時に、消費者から選ばれるための仕組み作りという、本質的なマーケティング活動が改めて重要になると考えられます。時代に合ったマーケティングをするためにも、今後のITPに関する動向をしっかりと追っていきましょう。


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