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アフターコロナの中国自動車市場、新しい売り方とタッチポイント

前田 直人
株式会社クロス・マーケティング リサーチ・ソリューション部
中国少数民族の研究から大学教員を経てマーケティングリサーチに転身した異色のリサーチャー。特に中華圏におけるモビリティ業界のリサーチを数多く経験しており、モーターショーをはじめとするイベント調査や出口調査、カークリニックなどのフィールド調査が得意領域。2021年よりクロス・マーケティングに参画。

前田 直人

2023 / 05 / 02

#生活 文化,#ブランディング,#車 バイク,#交通

アフターコロナの中国自動車市場、新しい売り方とタッチポイント

中国市場においてもコロナ禍は幾度のロックダウン(封城)を経て大きな打撃を受けましたが、そうした中においても業界ごとにさまざまな取り組みがなされてきました。昨今は、アフターコロナを受けて引き続き新たな施策が展開されるようになっています。今回は今後もさらに成長が期待されている中国の自動車市場をテーマに、コロナ禍からアフターコロナの現在に至るまで、特に「売り方」やタッチポイントを焦点にその特徴を見ていきます。


ディーラーからライフスタイルのなかへ

中国の自動車市場では、一般にディーラーに当たるものをSales(販売)、Spare part(部品交換)、Service(アフターサービス)、Survey(フィードバック)の頭文字を取って「4S店」と呼んでおり、この4つを主な業務内容としてきました。しかしながら、こうした伝統的な枠組みとしての「4S店」に新しい方向性を持たせようとする動きが現れます。その代表とされるのが、高級EVを専門に手掛ける蔚来汽車(NIO)が展開しているNIOのカーオーナー向け会員サービス、「NIO HOUSE」です。


図「4S店」


蔚来汽車(NIO)はもともと自動車のポータルサイト「易車網」を立ち上げた李斌が、2014年に設立したもので、これに大手IT企業の百度(バイドゥ)をはじめとして、様々な投資会社が資本提携を結んでいます。蔚来汽車(NIO)は中国では当時珍しい、グローバルで勝ち抜ける高級EVブランドとしてそのポジションを確立しますが、面白いのは「我々が売っているのはクルマではなく、ライフスタイルである」ことを早くから公言している点です。

この観点は上述した4S店に新しい価値を付与しようとする動き、つまりNIO HOUSEとして具現化していきます。そこでは、既存の4S店にはない機能、例えばセミナールームや会議室などのオフィス用途、カフェや図書館、託児所などの生活用途など、幅広い役割が与えられています。もちろん、蔚来汽車の核心であるクルマについても実車の展示だけでなく、開発ストーリーの呈示やこれまでの歴史的経緯など、モーターショーのブースを彷彿とさせるつくりになっています。

私も一度、広州のNIO HOUSEを訪問したことがありますが、上述した機能の一部に加え、別フロアでは著名人を招いた会員制のオーナーミーティングなども開催されており、このブランドの価値向上のために大きな役割を担っていることがうかがえました。このNIO HOUSEはEV保有が広がる欧州など各国で展開されており、新たなディーラーの形として普及していきそうです。

オンラインでできることは、オンラインで

一方、2019年に端を発した新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は、当然ながらクルマの売り方に大きな制限がかかります。各地で厳しいロックダウン(封城)が行われることで、4S店へ行くことさえできなくなり、これにともなって販売台数にも大きな影響がありました。ここで自動車メーカー各社や自動車情報の提供サイトが注力したのが「オンラインでできることは、オンラインで」という考え方でした。

コロナ禍においては、自動車産業を問わず「非接触経済」がもてはやされた時期でした。購入側と販売側が一切の直接的な接触なく、交易を行うものです。自動車業界においても、例えばネット上で新車の情報を閲覧する場合でも、様々な角度の写真が掲載されているのみで、実際に4S店に行ってみるのとでは大きな体験上の差異がありました。しかし、メーカーやサービス提供者による意欲的な取り組みによって、360度自由な角度でクルマを閲覧することができるようになったり、VRでクルマを見ることができるようになったりと最新技術をふんだんに取り入れ、情報接触の顧客体験は劇的に向上しました。

また、クルマの販売をスマートフォンのアプリで完結することのできるサービスが出てきたことも脚光を浴びました。販売側に会うことなく、非接触の状態で契約から保険の手続き、納車まで一貫したサービスを受けることができるのは画期的でした。一時は、これからのクルマの販売はオンラインが主流になるかもしれない、という声があったほどです。ただ、現地で意見を聞いてみると「クルマの購入は感覚的な部分も大きいので、オフラインの価値が消えることはないだろう」という見方も根強くありました。

4S店を超えるタッチポイント

こうした中、コロナ禍がおおむね終息しアフターコロナの状況において、最近もっともクルマの意思決定に影響を与えていると言われるタッチポイントがあります。それが中国語でいう「商超」、つまり「ショッピングモール」です。これは、ショッピングモールのなかに展示車を設置したり、一区画を借りて小さな企画展示を行っているケースが該当します。日本でも部分的にはしばしば見られる展示形態です。昨年2022年、中国自動車市場の大きなトレンドとしてこの「商超」を取り上げるケースも多く、新しいタッチポイントとして注目されています。

モールによる企画展示が購入の意思決定に大きな役割を持つようになった理由として、中国独自の理由もあります。上述した4S店は都市中心部よりもやや離れたところに立地していることが多く、購入を検討する消費者にとってはやや負担になっていた、と考える向きがあること。また、アフターコロナを経て、購入検討者をオンラインからオフラインに戻す、つまり4S店に来て頂くことも引き続き重要ですが、これに加えて各メーカーともに新たなタッチポイントを積極的に見つけ出しに行ったようです。

このような動きは、現地では顧客との接点の持ち方の文脈で語られており、消費者が4S店に来ることを「人がクルマを探しに来る」、そしてモールでの展示を「クルマが人を探しに行く」として対立的に語られています。つまり、メーカー側は4S店で消費者を待ち構えるのではなく、積極的に消費者の生活圏に出ていくことが重要と考えているのです。このなかで、メーカー側は消費者の居住エリアだけでなくライフスタイルを理解し、その生活導線の上にクルマを展示しているわけです。


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まとめ

ここまで見てきたように、中国では時流に応じて様々な施策が講じられてきました。4S店に代わる新しいディーラーの形、あるいはオフラインが機能しない社会におけるオンラインの試み、そしてアフターコロナの現在、より積極的に生活者のライフスタイルの導線に自らを位置づけようとする自動車会社各社の試み、いずれも日本の自動車業界には見られない新しい試みであり、参考にするべき点もありそうです。特に、中国地場メーカー各社はブランドづくりやタッチポイントの形成にはたいへん意欲的であり、これからも様々な消費者のライフスタイルの中にその姿を現しそうです。

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前田 直人

株式会社クロス・マーケティング リサーチ・ソリューション部

中国少数民族の研究から大学教員を経てマーケティングリサーチに転身した異色のリサーチャー。特に中華圏におけるモビリティ業界のリサーチを数多く経験しており、モーターショーをはじめとするイベント調査や出口調査、カークリニックなどのフィールド調査が得意領域。2021年よりクロス・マーケティングに参画。

前田 直人

お問い合わせ先 : glb@cross-m.co.jp

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