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グローバルコラム
2019/1/29

ネットが揺るがす中国の都市ランキング

ネットが揺るがす中国の都市ランキング

 中国では、11月11日は「独身の日」です。「ひとり」を連想させる「1」が4つ並んでいることにちなんで、1990年代に若者の間で生まれたと言われています。公式の祝日ではありませんが、「独身の日」には、毎年、インターネット通販の大セールが行われています。特に中国の電子商取引(EC)大手アリババの「独身の日セール」は、世界最大のショッピングイベントと言われるほど大規模なもので、2018年に10周年を迎えました。その記念すべき2018年、セール開始後、わずか24時間で、総流通額は308億ドル(前年比27%)に上りました。また、受注額も初めて10億ドルを上回りました。

 中国の都市の消費水準は、大きく変化しています。売上収益を見てみると、1位に上海市、2位に北京市、3位に杭州市、4位以下は、広州市、深圳市、成都市、重慶市、武漢市、蘇州市、南京市と続いており、上位には、日本のみなさまも、一度は聞いたことのある都市が並んでいますが、人口流入に関するある調査では、異なる結果が出ています。トップは、上海市や北京市ではなく、13.6%増となった杭州市でした。

 2位以下は、長沙(ちょうさ)市、成都市、武漢市、深圳市、西安市、青島市、南京市、鄭州(ていしゅう)市、合肥(ごうひ)市と続いています。日本のみなさまにとっては、見慣れない都市名が多いのではないでしょうか。中国における都市間競争は、新たな局面を迎えているのです。

 数年前、中国では、人々が北京や上海、広州を目指して、移動していました。若者は大都市で困難に遭い、多くの若者が大都市を離れましたが、彼らは地方都市の生活になかなか馴染むことができず、結果的に大都市に戻ってくるということが多くありました。しかし、現在は違います。一度、大都市を離れた若者が、戻ってくることは稀です。彼らは第二都市に留まることを選び、それによって、第二都市は成長しているのです。

 給与レベルや物価が、これまでの都市ランキングを揺るがしています。国の経済マップの再編により、大規模産業や多国籍企業が、第二都市、第三都市を形成し始めました。本社以外の研究開発やマーケティング、製造部門は、第一都市に置かれないケースが増えています。例えば、ファーウェイのデータセンターは貴陽市に設けられ、ファーウェイ大学や研究開発センターも東莞(とうかん)市に移されました。シスコにいたっては、中国本社を杭州市に設立しました。

 通信企業だけでなく、自動車や高級ブランド、不動産をはじめとした様々な大企業が、第二都市で事業を拡大しています。

 私の友人の弟は、大学卒業後、スタンダードチャータード銀行の南昌(なんしょう)市支店に入社しましたが、南昌市支店で初めての採用だったそうです。海外資本の銀行は、採用の半数以上を第二都市もしくは第三都市で実施するようになっており、大企業の多くも、そのような地域で、人材の確保や掘り起こしを進めています。内陸のGDPは、沿岸部を上回りました。

 Eコマースの登場によって、地域差が小さくなっています。都市間の境界線をなくした最初のインターネットツールは、淘宝(Taobao)でした。2003年にTaobaoが登場し、Eコマースが発展を遂げる中で、第一都市と第二都市の間で、入手できる商品の差が次第になくなっていきました。高級ブランドのニューモデルも、天猫(Tmall)で購入することができます。

 過去数年間のモバイルインターネットの急速な発展は、衣食住や移動手段、娯楽の利便性を追求する上での問題を解決しました。フードデリバリーのMeituan、Ele.me、配車サービス大手 のDidi Chuxing、自転車シェアリング、動画配信プラットフォームのYOUKUなど、この数年間に登場したサービスは多くの人に活用されています。

 インターネットは、人の流れを変え、人材の獲得競争が、都市間で激しくなっています。このような動きが、中国の都市ランキングをひっくり返すことにつながるかもしれません。

 

Kadence International Inc.(China)※ Regional Insight Director Apollo Dai

様々な分野において、高度な分析やバリュープロポジションの構築に豊富な実績を持つ。
マギル大学卒業。経営学修士。
※Kadence International Inc.(China)は、株式会社クロス・マーケティンググループのグループ会社の一つです。

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