アメリカ人を知っていますか? | リサーチ・市場調査・マーケティング

グローバルコラム
2018/12/17

アメリカ人を知っていますか?

アメリカ人を知っていますか?

 クロス・マーケティングのグローバルコラムをご覧いただき、ありがとうございます。このコラムでは、当社グループの海外拠点の協力を得て、各国のトレンドや海外進出のヒントなどについてお伝えしていますが、今回は少し趣向を変えて、留学やアメリカ系企業での勤務経験のある広報担当が、「アメリカ人」についてよもやま話をお送りします。
 

ドラマ「フルハウス」でジェンダーフリーを学ぶ

 アメリカに興味を持ったのは、世界的人気ドラマ「フルハウス」がきっかけでした。約20年の時を経て、続編「フラーハウス」も現在制作されているレジェンド的なドラマです。妻を亡くしたダニーが、義理の弟ジェシーと親友のジョーイの力を借りて、娘3人の子育てに奮闘するシットコム(シチュエーションコメディー)で、アメリカ人が理想とする家族の姿が描かれています。
 

 「フルハウス」はコメディーでありながら、社会や教育のあり方などについて啓発的なエピソードが数多くありますので、少しだけご紹介しましょう。例えば、1994年に制作されたシーズン7で、ダニーの末娘ミシェルが自分で作った車でレースに出場するエピソードでは、視聴者のジェンダー意識に問いが投げかけられました。

 ミシェルはジェシーの妻ベッキーと車作りを始めますが、ベッキーが「車のことは女性にはわからない」という話をダニーやジェシーとしているのを聞いて、車作りをやめてしまいます。もちろん3人は冗談を言っていただけなのですが、幼いミシェルにはわかりません。ベッキーたちはミシェルに間違った情報を与えてしまったことを謝り、「男の人にできることは女の人にもできる」と話しミシェルを説得、ミシェルは車作りを再開しレースで見事優勝します。

 ミシェルは決勝戦の前に、「女の子の車ってわかるでしょ」と言って、車の前部分に1輪のバラを飾り、そのバラの差で勝利をおさめました。これは、「性別によって能力は決まらない」というだけでなく、「女性は、男性と同じことをするために、女性であることをやめる必要はない」というメッセージとも受け取れます。

 さらに、このエピソードでは、「先人に感謝し、次の世代に伝える」ということを大切にするアメリカ人の姿が描かれていました。ベッキーは、女性の大会への出場が認められていなかったことを振り返り、「このトロフィーは、レースに出られなかった女性全員のもの」とミシェルに話すのです。

 

アメリカの合理主義は大学の制度にも

 初めてアメリカを訪れたのは、大学に入学するために渡米した時でした。日本とアメリカの大学の違いの一つに、在学年数ではなく、取得単位数のみによって学年が決まるということがあります。Freshman(1年生)からSophomore(2年生)、Junior(3年生)、Senior(4年生)になるための単位数がそれぞれ大学で定められていて、卒業に必要な単位を取り終われば卒業することができます。

 また、夏期学期は他の大学で講義を受け単位を取得することができますし、私は経験していませんが、転学なども比較的しやすい環境があります。幅広い年齢層の学生がともに学ぶ風景もごく当たり前に見られます。このようなところにも、アメリカ人の合理的な考え方が表れているように思います。「アメリカを支える優れた人材を輩出する」という目的を第一に考え、合理的な制度が敷かれているのではないでしょうか。

 

アメリカ人にとって社会に出る覚悟とは

 大学入学当初、寮生活を送っていたのですが、寮の仲間たちが「Childish(子どもっぽい)」であることに驚いた記憶があります。アメリカでは、子どもに部屋を持たせることのできる中流以上の家庭の場合、赤ちゃんの頃から子どもに部屋を与えます。また、自動車免許も多くの州で16歳から取得できるなど、早い時期から子どもの自立心を育てる文化があります。このようなことから、当時私は同年代のアメリカ人に成熟した大人のイメージを抱いていました。ところが、私の出会った大学1年生の多くは、一人で行動することを嫌い、友だちの言動に右往左往する絵に描いたような「ティーンエイジャー(十代の若者)」でした。

 そんな彼らでしたが、卒業する頃には立派な大人に成長します。大学で驚いたことの一つに喫煙者が多いことがありましたが、彼らの多くは大学卒業とともにタバコをやめました。たまたま私の周りがそうだっただけかもしれませんが、アメリカの社会では喫煙者が厳しい目で見られることが多いため、タバコをやめることは、まるで社会に出るための儀式のようでした。

 ご存じのように、アメリカには「終身雇用」や「年功序列」は基本的にありません。これは、年配者にとって厳しい制度であるだけでなく、若者にとっても「若さ」を言い訳にできないことを意味します。年齢に関係なく、「何ができるのか」を常に問われるのです。このような環境が、若者たちに緊張感を与え、社会に出るための強い覚悟を持たせているのかもしれません。

 会社側は年齢にかかわらず、社員が「一人前」であることを求めると同時に、社員を「一人前」として扱おうとします。アメリカ系企業に入社し、ニューヨーク本社での育成プログラムに参加した際、CEOをはじめとしたマネジメント陣と接する機会がありましたが、彼らはどのような場面でも自分たちの話をするだけでなく、「あなたはどう思う?」と私たちに意見を求めてくれました。ウォール街で荒波にもまれてきた彼らからすれば、私たちなど赤子も同然です。その私たちの言葉に耳を傾けてくれたことは、純粋に嬉しいものでした。

 

アメリカ人は”Thank you”ですべてOKに?

 アメリカ人は、組織を指す場合、「Team(チーム)」という言葉をよく使います。チームの責任者は、メンバーに明確なゴールを示し、アメとムチを使い分けながら、チームの向上を目指します。

 明確なゴールとは、業務における目標だけではありません。ニューヨークで行われた育成プログラムでは、見事な眺望が眼下に広がるミーティングルームが度々使われました。これは、努力をすることで見られる景色を、目指すべきゴールとして、会社が私たちに示す目的もあったのではないかと思います。

 チームのモチベーションアップのためには、労うことも忘れません。”Thank you for your hard work(一生懸命やってくれてありがとう)”ですべてを済ませようとしているような気がしなかったわけではありませんが、ささいなことでも”Thank you”と言ってもらえることで、コミュニケーションがスムーズになるのは確かだと思います。

 

アメリカのビジネスパーソンはマナーが大切

 アメリカのビジネスパーソンにとって、マナーを身につけることはとても大切です。日本でリメイク版が作られ話題になったアメリカの人気ドラマ「SUITS/スーツ」をご覧になった方は、敏腕弁護士を演じる織田裕二さんのスマートな身のこなしが記憶に新しいのではないでしょうか。座る時にボタンを外し、立ち上がる時にボタンを留めるというジャケットの扱い一つをとっても、アメリカのビジネスマンは見事です。
 

 職場でのレディーファーストも当たり前です。上司であっても、男性はエレベーターの扉を押さえて女性が降りるまで待ちます。アメリカ人は、職場でもファーストネームで呼び合い、ビジネスメールは用件のみというフランクな関係性を好みながら、なぜビジネスの世界でマナーを重んじるのでしょうか。もしかすると、アメリカという国の成り立ちに理由があるのかもしれません。さまざまな文化や習慣を持つ人々によって作られている国だからこそ、ビジネスの場では、マナーという共通かつ明確な価値観によってコミュニケーションを円滑にするという面があるのかもしれません。
 

アメリカ人とのビジネスは情報戦?

 アメリカ人は、リスクに対する意識が高いこともあり、万全の準備をして仕事に臨みます。会議のアジェンダ(議題)を予め用意することはもちろんですが、仕事相手の情報収集についてもぬかりはありません。

 例えば、ボストン出身者には「今年のレッドソックスは強かったですね」、イギリス人には「ボヘミアン・ラプソディーの映画見ましたよ」というように、情報収集はスムーズなコミュニケーションのためにとても役立ちます。しかし、それだけではなく、情報収集を徹底的に行うことで、相手の長所や弱点、人間関係、意思決定の仕方などを事前に把握し、ビジネスを有利に進めることができるのです。アメリカ人とのビジネスは、「情報戦」という意味合いがより色濃くなると言えるかもしれません。

 

アメリカ人の秘められたメッセージにご注意を

 相手について集めた情報を会話に散りばめることで、「この人は自分のことに興味をもってくれているんだ」と相手に感じさせることもできます。アメリカ人は、単刀直入なようで、実は言葉や服装、振る舞いにさまざまなメッセージを込めているのではないかと思います。これは、ちょっとした言葉の選び方や握手の仕方などから、相手の気持ちを読み取ろうとするアメリカ人の姿からも感じました。

 「It’s cool(クール)!」を連発するアメリカ人にとって、あえて直接言葉にしないということが「So cool!」なのかどうかはわかりませんが、このように何かにメッセージを込めることで、コミュニケーションがより効果的なものになることは確かだと思います。アメリカ人がPRやイメージ戦略を得意としているのは、こういうところにも理由があるのかもしれません。

 アメリカ人に限らず、異なる文化や習慣を持つ人とのコミュニケーションでは、相手を尊重することがとても大切ですが、本当に実践できているかと自らを省みると、なかなか難しいことであるように思います。ここでみなさまにシェアさせていただいたアメリカ人についての感想は偏ったものかもしれませんが、これから先どこかで何かのお役に立つことがあれば幸いです。それでは、Happy Holidays!

 

株式会社クロス・マーケティング グループ 広報担当 野々宮 香子

米国の大学でコミュニケーション学を専攻。卒業後に帰国し、在京キー局の報道局スタッフなどを経て、約9年間米国系大手金融機関の日本法人に勤務し、ニューヨーク本社にて育成プログラムにも参加。2017年10月から現職。

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