“タイポグラフィ”はコミュニケーションツール | リサーチ・市場調査・マーケティング

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グローバルコラム
2019/5/21

“タイポグラフィ”はコミュニケーションツール

“タイポグラフィ”はコミュニケーションツール

 突然ですが、プレゼンテーションで話す内容を忘れてしまった時のことを想像してみてください。背中には汗がつたい、体が震えるのを感じるでしょう。出席者たちは、この様子を見て、ボディーランゲージによって、アクシデントに気づくはずです。実際には、あなたは身だしなみを整えてプレゼンテーションに臨み、出席者たちを前に堂々と話すことができるでしょう。そして、ボディーランゲージによって、あなたがきちんと準備をして、内容を理解した上で話しているということを伝えることができるはずです。

 資料やクリエイティブの中の“タイポグラフィ”は、同様の役割を果たします。“タイポグラフィ”とは、活版印刷術として生まれたもので、文字によるデザインのことを言います。ボディーランゲージと同じく、コミュニケーションにおいて非常に重要な要素で、適切なフォントやアレンジを用いることによって、強力なコミュニケーションツールとなります。

 最近、私は同僚たちとトレーニングを受け、この点について意見交換をしました。日常の業務の中でも、例えばEメールで感嘆符、大文字、イタリック体をつい多用してしまうことや、資料などで図表の配置が難しいことがあると話していた時、私の同僚があることに気づきました。彼女は、これがボディーランゲージに似ていると気づいたのです。彼女の主張は、非常に的を射たものでした。

 メールなどで、相手の解釈が意図したものと違ったという経験のある方は多いと思います。これは、プレゼンテーションの最中に、腕を組んで、クライアントに背を向けてしまうのと同じことです。特にイタリック体には、このような事態を招くリスクが多くあるように思われます。イタリック体を多用することで、その意味が失われてしまうことや、意図していることと異なる意味を伝えてしまうことがあります。他にも、大文字を使い過ぎると攻撃的に見えてしまうことがあります。

 クライアントに提出するレポートや資料で、どのようなフォントを選ぶかも重要でしょう。例えば、歪みのあるセリフ(serif)体や、ブラックレター(Blackletter)などは古びた印象を与えることがあります。そのため、特に現代的な商品に関するレポートには適さないでしょう。

 つい最近のことですが、中学生や高校生の未来に対する考え方について調査を行いました。未来にどのような選択肢があると感じているかと問うと、それぞれの目標や関心事に基づいた実に多様な回答が集まりました。また、興味深いことに、それぞれの個性は書体にも反映されていました。

 ストレスを感じている学生は、躊躇や雑然とした感じを与えるスクリプト(流れるような書体)を使い、自信に満ちた生徒は、わずかにイタリックの迷いのない書体で、楽観的で気楽な様子が窺えました。

 このような書体に関する特性を理解し、意図的に使い分けることで、短時間かつ効果的に相手とのコミュニケーションを図ることができます。私たちも、クライアントに調査レポートの内容をきちんと読んで共感していただくためにも、最適な書体を選ぶよう心がけています。

 調査レポートを通じて、私たちの洞察に関する理解の幅は広がります。また、タイポグラフィを強力なコミュニケーションツールとして活用することで、非常にクリエイティブなレポートをご提供することができます。細部にまで注意を払うこのような姿勢が、私たちのサービスのクオリティーの高さにもつながっているのではないでしょうか。

 

Kadence International Inc.(USA)※ Regional Insight Director Scott Murry

フリーランスのデザイナー、フォトグラファー、アートディレクターなどを経て、Kadence International Inc.(USA)に入社。ボストンを拠点に、医薬品や日用品、電気関連の大手企業をはじめ、幅広い業種のマーケティングに携わっている。
※Kadence International Inc.(USA)は、株式会社クロス・マーケティンググループのグループ会社の一つです。

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