留意点を意識したペルソナの設定方法 | リサーチ・市場調査・マーケティング

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マーケティングコラム
2019/9/19

留意点を意識したペルソナの設定方法

留意点を意識したペルソナの設定方法

 マーケティングの世界では、詳細な設定をした架空の顧客プロファイルをペルソナといいます。氏名や年齢だけはでなく、ライフスタイルや価値観など多様なデータを重層的に使い、現実には存在しない人物像を設定することで、範疇に含まれる顧客に向けた商品開発や改善、プロモーションなどを行うために設定されます。しかし、その設定方法に関しては留意すべき事項があります。設定するときは、これらをしっかり把握して取り組むことが肝要です。
 

ペルソナについて

【そもそもペルソナとは】
マーケティングの世界でペルソナは、製品を購入したりサービスを利用したりする架空のユーザー像を指します。架空の氏名、年齢、性別という基本データ、家族構成、居住地、勤務先という社会の中での位置づけ、経済力、興味、将来の目標といった経済行動に結びつく項目などを決定して、一人のユーザー像を創造します。モデルやCGで人物写真を作ることもあります。
ターゲットと一緒にして考えられがちですが、ペルソナが詳細なユーザー像であることに対し、ターゲットは20代女性というように自社商品などを利用してほしいペルソナよりも大きなくくりのユーザー層になります。

【ペルソナはどんな時に設定する?】
例えば、女性用化粧品の発売情報を配信する場合にターゲットを女性という性別だけにとどめると、どのような内容をどの程度出せば最適の効果が得られるのか判断がつかず、告知戦略が不明確になります。しかし、女性、32歳、出版社勤務、通勤に1時間半、効率的な生活をしたいと思っている、といったペルソナを設定すると、年齢的にスキンケアが気がかりだろう、通勤に時間を要すため、お手入れが簡単という新商品のPRポイントを強調しよう、といった具体的な内容から訴求力が期待できる情報が整理しやすくなります。

 

また、新商品や新サービスがターゲットになかなか受け入れてもらえないという場合に、販売側の論理ではなく消費者側の論理に立って検証する時にも、設定することで効果が期待されます。売りたい側の考えではなく、買いたい側の欲求がどのようなものであるかを、年齢、仕事、休日の過ごし方などといった細かな設定で生み出された架空人物の視点に立って、自社商品やサービスの評価を分析します。商品やサービスの評価を会社の目線でするのではなく、消費者の視点でやることによって、なぜ受け入れてもらえないのかという原因解明と、どう改善すれば購買意欲を醸成することが可能かという練り直し戦略も立てられる可能性があります。
 

ペルソナを設定する際の注意点

【注意点①大人数で多くの意見を元に考える】
特に重要なのは、少人数だけで作業をしないことです。重要なユーザー像を作る際には、プロジェクトのメンバー全員で一緒に作り上げていく作業が大切です。チームにはITデザイナーもいればセールス担当もいます。業務が異なれば求めるユーザー像も違いが生じます。どこにも偏らず、だれもが納得できるようデータを基に論議を尽くして作り上げていく過程で、最終的なユーザー像がどういうものであるかという認識を共有化することが大切です。これを放置してプロジェクトを始めても、認識にズレが生じてスケジュールの遅れや、コスト増の恐れすらあるからです。設定方法や手順はとても重要です。

【注意点②合理的な根拠を持つ】
ペルソナは極端にユーザー像を絞り込むため、高い精度での設定が必要で、推論や仮定を合理的な根拠なしで重ねると精度が落ちる恐れがあります。最終的には実在しそうな架空の人物像を設定することが重要であり、現実とかけ離れては意味がなくなります。そのためには、ある程度予算をかけてリサーチ、アンケート、インタビューなどを行い、回答から妥当な人物像を構築するようにしましょう。

 

【注意点③新規顧客の目線に立つ】
自社商品を売りたいという欲を強く出さず、フラットなスタンスでユーザー像を決定していくことは非常に大切です。自社のサービスをよく利用する人は、サービスに対してこのような価値判断をする人物であるというように、自社のサービスの優位性を前提にした逆算で作ってしまうと、実在する消費者像の実態とかけ離れてしまう懸念があります。逆に、既存顧客が持つ特性に引きずられないような注意も必要です。既存顧客と理想のユーザーを重ねてしまうと、既存ユーザーの囲い込み効果はありますが、新規ユーザーの開拓には有効に機能しない場合があるからです。新規取り込みができなければビジネス拡大に支障となります。

【注意点④一度決めたペルソナでも再考する】
ある商品に対する理想的なペルソナを設定したとしても、現実の人間の価値観や社会環境は日々変化します。一度決めたからといって、検証や修正を怠ると現実と乖離したユーザー像になってしまう恐れは常にあります。例えば、マイカーは、かつては最高馬力や最高速度が重要な選択基準だった時代がありました。しかし、ユーザーの意識は変化して燃費重視、環境に優しい設計への評価、家族が楽しめる多目的車両というように優先度が変わりました。したがって、価値観の変化に柔軟に対応できる設定方法を選択することが重要になります。ある時点ではベストのユーザー像であっても、このままでよいのかという疑いを持ち続け、ギャップが生じていれば修正したり、根本的にやり直したりする決断が求められます。

 

まとめ

 ペルソナを設定したマーケティングは個人の消費性向がどんどん個性化していく対応策として有効な手段の一つです。しかし、設定を誤れば期待するような効果が得られないケースも生じます。どのような方法で設定するのかというスタートから、どの時点でギャップを埋める見直し作業を始めるかというリメーク対策を含めた長期的戦略として実施することで、社内で認識のズレが生じる、現実のセールスに合致しないという事態を回避するように、柔軟に活用することが肝要です。
 

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