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  • グローバルコラム

シリーズ アメリカのSDGs (1)ニューヨークで進むエコライフ

竹内 道
Arc Media, Inc. 代表取締役 ビジネスコンサルタント
ニューヨーク在住

竹内 道

2020 / 04 / 30

#食品 料理,#生活 文化,#消費者行動,#気づき

シリーズ アメリカのSDGs (1)ニューヨークで進むエコライフ

近年、さまざまなシーンでSDGsという言葉を聞くようになり、注目を集めています。環境問題への取り組みとして、2020年7月からは全小売店にレジ袋有料が義務付けられました。海外では既にレジ袋有料化や廃止が行われている国も多く、レジ袋削減に対する動きは日本より進んでいるといえるでしょう。単にレジ袋を廃止するだけでなく、商品自体の形状を工夫してみたり、自発的にエコバックを持参する意識を持つようアイデアを打ち出したりと、日本でも見習うべきところがあるのではないでしょうか。
そこでクロス・マーケティングでは世界各国におけるSDGsに対するさまざま取り組みをお伝えするため、30年以上ニューヨークにオフィスを構え暮らしているArc Media, Inc.の竹内氏に協力を依頼し、現地のリアルを綴ってもらいました。





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グローバルに広がる活動で重要となるコミュニケーションのポイント

 新型コロナウイルスは日本より遅れてアメリカに上陸したように思える。3月23日より、ニューヨーク州は、州在住のすべての人に対し在宅勤務を義務付ける行政命令を出し、ここニューヨーク市でも市民の生活が大きな変化を余儀なくされるという緊急事態に陥っている。
 感染の急速な拡大を阻止するために、生活に必須な食料品店や薬局以外はすべての店舗が閉鎖することになった。ニューヨーク州はカリフォルニア州に並んで、決断の速い進歩的な州だといえよう。

 その一例をあげてみると、今年、3月1日から、ニューヨーク州では、使い捨てレジ袋の完全使用禁止が施行された(※)。これ以後、各郡や市は、紙袋一枚につき5セントが課されることになっている。2018年からは一回限りのプラスチックの使用を禁止する法律が6つの州にて発行されており、カリフォルニア、ハワイに加わったことになる。
 アメリカの平均家庭は年間1500枚もの使い捨てレジ袋を使用していると言われ、社会問題として取り上げられてきた。プラスチックを台所から無くそうという運動も活発だ。レジ袋のみならず、ラップなどのプラスチック製品もユーザーの精査の対象に取り上げられてきた。

※新型コロナウイルスによる緊急状況のため、使い捨てレジ袋は4月1日まで使われることになった。


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社会問題となっているアメリカの家庭でのプラスチックごみ


ニューヨークで人気のエコラップ

 女性が創立、経営するビジネスは食生活に関連したエコ・フレンドリーな商品が多い。安全な食品を、環境を破壊することなく、大切な家族に食べてもらいたいというのは自然な願いである。
 そんな中、アメリカの日常生活に浸透しつつあるのが、木綿を蜜蝋で上塗りをしたBee's Wrap 社(本社バーモント州)の「Bee Wrap(ビーラップ)」という布商品である。プラスチックの保存袋やサランラップの代わりにパンやサンドイッチを包んだり、残り物を保存したりするのに使われている。

 蜜蝋の持つ封蝋性を利用して、手作り製品としてスタートした商品で、材料は蜜蝋、植物油、そして木綿であるため、堆肥化可能、生分解性と地球にやさしい。蝋が溶けないように低温の水で手洗い、1枚につき120~150回使うことができる。冷凍庫での使用も30日以内であれば可能であり、収納もしやすい。創立者でCEOのサラ・ケークさん自らが選ぶデザインも蜂や動物をテーマにしたデザインで洒落ていて、ギフトとしても人気を集めている。S,M,Lサイズ(Sは18cm × 20cm)の3枚一組で16ドル。アマゾン、Etsy, キッチン用品店など全米3000カ所で販売されている。


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蜜蝋、植物油、木綿でできた繰り返し使えるエコラップ「Bee Wrap」


 Bee’s Wrap社は2018年にナショナル・ジオグラフィックが開始した「Planet or Plastic?」という1回限りのプラスチックの使用を減らそうというナショナル・キャンペーンのパートナー企業でもある。一方、ビジネスを通して社会的正義を実現化のため、ローカルコミュニティーにおける活動にも熱心で、進取の気概に富む会社として数多く賞を受賞しており、注目されている。

 持続可能性があることで環境配慮の側面だけでなくデザイン性も高く使い勝手も良いことからBee Wrapはアメリカで好まれている商品だ。



 世界中で起こっている新型コロナウイルスの感染拡大。今後の見通しは全くつかず、アメリカでも誰もが不安な日々を送っている。想像をしていなかった孤立を強いられた生活の中で、目をしっかり開けて何が起こるのか、直面していきたいと思う。
 そしてその中で見つかった希望の感じられるライフスタイルや動向について、読者のみなさんにお知らせしたいと強く願っている。


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ひっそりとしたマンハッタン目抜き通り(撮影:2020/3/22 PM2時 筆者撮影)


筆者紹介

竹内 道
Arc Media, Inc. 代表取締役 ビジネスコンサルタント ニューヨーク在住

【プロフィール】
1988年、ニューヨーク大学(NYU Gallatin Graduate School)大学院在学中にArc Media, Inc.を設立。日本初の民間有料衛星放送、WOWOWの立ち上げプロジェクトに参加。以来、日米共同プロジェクトや日本企業のアメリカでの新規プロジェクト立ち上げを手がけてきた。
アメリカで実施されるPR・CSR・CSVキャンペーンをニューヨークで活躍する、最先端のクリエーターと日本のチームがコラボする懸け橋となり、日米間のプロジェクトチームを構築。2019年にドキュメンタリー映画を自主製作して以来、国連での演説や国連NGOでの活動を開始。様々なSDGsの課題に取り組んでいる各国のインフルエンサーや専門家とのインタビュー調査も行っている。アメリカ発の起業家精神に満ちた新しいライフスタイルを代表する新ビジネスについて日経産業新聞などへ定期的に寄稿。

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