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社会とつながりたい? ひとりでいたい? 揺れ動く若者の心
第1回 テレビは見る。でも大切な情報は友人から
キリン株式会社
キリン食生活文化研究所 所長
太田 恵理子
2013 / 03 / 22
日本でも若者を中心に4,000万人を超えたLINEユーザー。LINEは仲のよい友人と気軽につながることができるメッセージ&電話アプリとして人気を博しています。一方で「ひとりカラオケ」に代表されるような「おひとりさま」ビジネスも脚光を浴びています。ひとり、家族、仲間、社会……これから6回の連載の中で、独自の調査結果も織り交ぜながら、“社会(誰かと)”と“ひとり”との間で揺れ動く若者たちの姿を追いかけながら、ビジネスチャンスを探っていきたいと思います。
若者の情報源は「マスメディアより身近な友人」
1回目の今回は、情報行動の面から若者の社会との関わり方を見ていきます。ちまたでは若者のテレビ離れ、新聞離れと言われています。実際、総務省発表の通信白書を見ても、平成17年から平成22年の5年間で、10代、20代の若年層を中心に1日のテレビ視聴時間が減少していることがわかります。ただ、減少したとは言っても、若年層でも1日平均1時間以上はテレビを視聴しています。もともと少なかった新聞の閲読時間はさらに減少し、10代、20代ともに1日平均2分を下回っています。
新しいコマーシャルをネットで知る
テレビを見ないという大学生に、新商品や新しいコマーシャルをどこで知るのかをヒアリングしたところ、新しもの好きの友人や「キュレーター」(情報を収集・選別・編集してネット上で拡散してくれる人や、「NAVERまとめ」などのまとめサイト)からの情報で知り、興味を覚えたらネットで検索して、そこではじめて接触するとのこと。従来とは異なる、若者とのタッチポイントの結び方を考えていく必要がありそうです。さて、若者はひとりでいる時も、友人・恋人など誰かとつながっているのでしょうか? 同じ調査から「昨日の夕食で、食べながらしていたこと」について、20代男女がひとりで夕食をとった時の状況をまとめてみました。これによると、全体平均よりは低いものの「テレビ(含むDVD)」視聴が6割内外と、圧倒的に高い結果でした。一方「Twitter」や「SNS」をしながら食べていた人は、女子でやや高いものの、1割未満にとどまりました。