社会とつながりたい? ひとりでいたい? 揺れ動く若者の心 第4回 ひとりでいる時が楽しい若者 | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2013/5/10

社会とつながりたい? ひとりでいたい? 揺れ動く若者の心
第4回 ひとりでいる時が楽しい若者

社会とつながりたい? ひとりでいたい? 揺れ動く若者の心<br />第4回 ひとりでいる時が楽しい若者

「ひとりが気楽」が多くの人の本音

まず、“一緒に過ごして楽しい相手”として、20代男性で「1人」(39.8%)がトップとなったのが特徴的です。この数字は他の年代よりも高い比率でした。20代女性では「1人」は「高校や大学の同級生」に次いで2位ですが、3割を超える人が「1人」が楽しいと答えています。ちなみに女性で「1人」が最も高かったのは10代後半の39.9%でした。“ひとりが楽しい”と考えるのは若い男女で際立っているようです。

“一緒に過ごして癒される相手”は男女とも「1人」が圧倒的に1位です。この傾向は他の年代でも同様に見られます。若い人に限らず、現代人は誰かと過ごすことにストレスを感じているのかもしれません。

“ひとり”を求める気持ちは、経年的にはどう推移しているのでしょうか。右のグラフは博報堂生活総合研究所の「生活定点」調査から、“束縛されないで自由にしていることが多い”、“人から離れてひとりですごすことが多い”などの「シングル度」を見たものです。

「シングル度」は1994年から2012年の16年間に、全体としてもわずかながら伸びていることがわかります。中でも、20代男性は15ポイント増、20代女性も10ポイント増と、いずれも全体よりも大きな伸びを示しています。

ひとりで食事をする“孤食”もじわじわ増えていますが、キリン食生活文化研究所の調査の中で“ひとりで食べる夕食についてどう思うか”を聞くと、若い男性では「ひとりで食べるほうが気楽でよい」とする人が約半数と高く、女性では「ひとりだと時間も献立も自由にできてよい」との回答が目立ちました。

東日本大震災後に“絆”が重視されるようになったと言われますが、これらの結果を見る限り、若い人を中心に“ひとり”を求める傾向に変化はありません。“おひとりさま”向けの商品・サービスが続々と登場するのもうなずけますね。

つながりたいのは、家族と昔からの仲間

もちろん、誰かとつながりたい気持ちがなくなったわけではありません。キリン食生活文化研究所の別の調査で、“自分の趣味や好きなことで人とつながっていたい”かどうかをダイレクトに聞いたところ、「あてはまる」「ややあてはまる」と答えた人は、男女年代を問わず7割に達しました。“ひとり”を求めながらも、積極的につながりを断つところまではいかないということでしょう。  

“お酒を飲む機会を増やしたい相手”を聞くと、20代では男女とも「高校や大学の同級生」が断トツの1位。「恋人」や「おさななじみ」、また「父親」や「母親」も全体より高くなっています。若い男女にとって、つながりたい相手として優先するのは、家族などの身近な人や、昔からの仲間と言えそうです。

このように、若い男女の心の中には“つながり欲求”と“ひとり欲求”という、一見相反するようにみえる気持ちがともに存在しています。

次回は、“つながり欲求”と“ひとり欲求”に関する若者の生の声から、相反する気持ちの実態に迫ります。

キリン株式会社 キリン食生活文化研究所 所長 太田 恵理子

東京大学文学部社会心理学科卒業、キリンビール、キリン・シーグラム(当時)にてマーケティングリサーチ・商品開発・コミュニケーション戦略などマーケティング全般に携わる。2007年9月、新設のキリン食生活文化研究所所長に就任。2013年1月よりキリン株式会社。 

キリン食生活文化研究所では、食生活を中心とした生活全般の調査研究をもとに、お客様や社会の変化をとらえた情報発信を行っている。また、元気と潤いのある未来に向けてキリングループの貢献のあり方を提案し、お客様や従業員と未来のライフスタイルを“共に創る”活動を行っている。

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