社会とつながりたい? ひとりでいたい? 揺れ動く若者の心 第3回 ひとりカラオケが流行する理由 | リサーチ・市場調査・マーケティング

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2013/4/22

社会とつながりたい? ひとりでいたい? 揺れ動く若者の心
第3回 ひとりカラオケが流行する理由

社会とつながりたい? ひとりでいたい? 揺れ動く若者の心<br />第3回 ひとりカラオケが流行する理由

関心が低いことでも「みんなで楽しみたい」

下のグラフは、横軸に関心度、縦軸に共有度を置いてプロットしたもので、左が20代男性、右が20代女性の結果です。右上の、関心度・共有度ともに高いエリアにチャンスがあるのは当然ですが、今回はあえて関心度と共有度の高さにねじれがある、左上(関心度低-共有度高)と右下(関心度高-共有度低)のエリアで、若者の消費拡大の可能性を探ります。

左上の“共有度の割に関心度が低い”エリアには、「お酒」をはじめ、「車」、「海外旅行(男性)」、「カラオケ」、「スポーツ(男性)」など、残念ながら世間で“若者の○○離れ”と言われているものが並んでいます。一方で、「女子会」や「SNS」など最近人気が上がってきた項目も入っています。

「女子会」は2010年の流行語大賞にもノミネートされましたが、女性同士“みんなで楽しむ”ニーズを、「女子会」という言葉によって顕在化させることで市場を開拓したと言えるのではないでしょうか。昨年実施したビアガーデンに関する調査の中でも、20代女性からは「みんなで花火ができる」「店員さんと一緒になってサンバを踊れる」など、ビアガーデンに対して“みんなで楽しむ”ことへの期待が多く寄せられました。コラムの第一回で見たように、20代男女は情報源としてマスコミよりも身近な仲間を重視しており、仲間との交流機会を求めていると言えそうです。「車」、「海外旅行」も、共有度の高さに着目して商品・サービスを見直し、“家族や友人との交流をつくりだす”ことをメッセージとして伝えたり、交流の支援をしたりすることで、若者の消費を拡大するチャンスがあるかもしれません。

バーチャルな交流の場である「SNS」に関しては、このような顔を合わせて交流する場のライバルとなるのか、かえってリアルな交流を促進するのか、ウォッチしていく必要があるでしょう。いずれにしても、リアルな交流ならではの価値を作り出していく必要があることは言うまでもありません。

ひとりの楽しさを発掘し、自分本位で楽しむ

右下は左上とは逆に“関心度の割に共有度が低い”エリアですが、興味深いのは「ファッション」がこのエリアに入っていることです。「ショッピング」と比べて関心度は高いのに共有度は低く、共有度は男女とも2割程度しかありません。さらに激しいのが「カラオケ」と「音楽・歌」との関係です。「音楽・歌」は、女性で5割、男性で4割と高い関心を集めていますが、共有度は高くありません。一方、関心度が「音楽・歌」を大きく下回る「カラオケ」の共有度は男女とも6割内外と高く、両者には大きなギャップが見られます。

ファッション、音楽ともに、その中での多様性が大きいカテゴリー。自分と全く同じ好みの人をみつけるのは容易ではないでしょう。付き合いでカラオケに行って周囲にあわせて無難な選曲をするのではなく、自分が本当に好きな歌を思う存分歌いたい・・ このニーズをつかんだのが“ひとりカラオケ”なのかもしれません。そのほかにも、“一人旅限定ツアー”や“ソロトレッキング”といったプロモーションも最近見聞きするようになってきました。“SNS疲れ”や“女子会苦手”という声もよく聞かれます。先ほどとは正反対ですが、“ひとりでやる”楽しさを発掘し、“自分本位で楽しむ”ことをサービス化することが新しいビジネスチャンスを生む可能性もありそうです。

“みんなで楽しむ”と“自分本位で楽しむ”・・ 次回はその背景を探っていきます。

キリン株式会社 キリン食生活文化研究所 所長 太田 恵理子

東京大学文学部社会心理学科卒業、キリンビール、キリン・シーグラム(当時)にてマーケティングリサーチ・商品開発・コミュニケーション戦略などマーケティング全般に携わる。2007年9月、新設のキリン食生活文化研究所所長に就任。2013年1月よりキリン株式会社。 

キリン食生活文化研究所では、食生活を中心とした生活全般の調査研究をもとに、お客様や社会の変化をとらえた情報発信を行っている。また、元気と潤いのある未来に向けてキリングループの貢献のあり方を提案し、お客様や従業員と未来のライフスタイルを“共に創る”活動を行っている。

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