- マーケティングコラム
デジタル庁とは?発足の背景や今後の施策を解説
2021 / 11 / 19
#テクノロジー,#生活 文化,#トレンド,#データ分析・活用
2021年9月に発足されたデジタル庁。政府のデジタル化への真剣な取り組みは今後、大手企業を中心に中小企業にも波及することが考えられます。そのため、この先デジタル庁がどのような取り組みを行うのか、気になる方も多いのではないでしょうか。今回は、デジタル庁発足の背景や今後の施策、ビジネスやマーケティングにどのような影響を及ぼすのかを解説します。
2021年9月に発足した“デジタル庁”とは
デジタル庁とは、2021年9月に発足した政府の新しい省庁です。「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せを実現できる社会」を目的としています。※参考:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/201225/siryou3.pdf
庁内の組織体制は約600人構成。そのうち約200人が民間出身者です。内閣府や11の他省庁には属さないことから、各省庁を横断したデジタル改革が期待されています。デジタル庁で行われることを具体的にまとめると、そのポイントは3点に絞られます。
・手続きの自動化やワンストップ化
・データ資源活用による一人ひとりに合わせたサービス提供
・個人の選択で社会に参画できる社会の実現
手続きの自動化やワンストップ化については、就学や出生、子育てといったライフスタイルに関わる手続きを、スマホ一つで行えるというもの。また、健診情報や薬歴、日々のバイタル情報などの散在したデータをデジタル上で一元化し、安全かつ便利に健康や医療サービスを受けられるのも、デジタル庁が目指す未来の形です。
デジタル庁発足の背景
デジタル庁が発足された直接的な要因は、新型コロナウイルスです。すでに世界的なIT化の流れに乗り遅れた日本でしたが、これまでは何とか当面をしのぎつつ現状をキープしてきました。しかし、新型コロナウイルスへの政府の対応を巡り、問題が顕在化しました。例えば国民1人辺りに現金10万円を支給する対策では、電子申請手続きに際してトラブルが続出。他にも、行政機関ではいまだにFAXを用いて感染情報を交換しており、被害状況を迅速に確認できなかったり、感染者との接触情報が分かるスマホアプリは不具合が数カ月続いたりと、デジタル化の遅れが国民の生命を危険にさらす事態を招きました。
そこで政府が急遽立ち上げたのがデジタル庁です。デジタル化が進展することで、例えば現金給付の手続きにおいても、マイナンバーカードと行政サービスを連携させ、緊急時に素早く給付を行えるようにします。
今後取り組む施策
この先、デジタル庁が取り組む施策は以下の通りです。・ID・認証機能の整備:マイナンバー制度やGビズIDの普及活動
・政府情報システムの基盤整備:政府共有のクラウドサービスの整備や活用
・包括的データ戦略実装:行政機関のデータ分散管理体制の構築
・行政デジタルサービスのUI・UX整備:マイナポータルや政府Webサイトなど
・国や地方公共団体の手続きデジタル化:裁判手続きや警察業務、港湾などのデジタル化
・デジタル人材の育成・確保:デジタル庁内部での育成と外部からの人材確保
デジタル庁は設立されて間もないこともあり、これから本腰を入れて施策が行われます。ただ、デジタル庁が発足される約8カ月前には、すでにそのモデルケースとなる事例が存在しています。それが、内閣官房IT総合戦略室の担当である「ワクチン接種記録システム(VRS)」です。
ワクチン接種記録システムとは、コロナワクチンを接種する国民一人ひとりの状況を管理するシステムです。これまで予防接種台帳を元に接種状況を管理していたため、データ化に数カ月の期間が必要という課題が存在していました。しかし、システム導入によってデータが標準化され、リアルタイムで現状を把握できるようになります。
上記はまさしく、マイナンバー情報を主体としたデジタル庁の改革に近い形だと言えます。
社会はどう変わるのか
マイナンバーが今後どれだけ普及していくかにもよりますが、今後はデジタル庁が目指す「スマートフォンを使って60秒で完結するサービス」が増えていくことでしょう。例えば現状では、デジタル庁にて「引っ越しワンストップサービス」が検討されています。これは、引越し手続きと同時に電気やガス、水道の移転手続きが行えるというものです。こうした利便性の高いサービスが生まれれば、企業のマーケティングの仕組みそのものも変わるかもしれません。
国が主体となってデジタル化が進展すれば、その影響は大企業以外に中小や零細企業にも波及する可能性があります。すでに大企業を中心にDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用が進んでいますが、中小企業にまで波及することで国内全体の生産性向上が期待できるでしょう。
また、デジタルを根幹とした新たな商品やサービスが生まれると、ユーザーの購買プロセスの変化と共にマーケティングの考え方も進化するはずです。デジタル庁の今後の取り組みが自社にどのように影響するのか、真剣に考えるべきタイミングが訪れたと言えます。
【参考URL】
https://www.digital.go.jp/
https://www.watch.impress.co.jp/docs/topic/1347274.html
https://ascii.jp/elem/000/004/068/4068283/
https://www.sbbit.jp/article/cont1/60240