アドホック分析を効果的に活用する手法と留意点 | リサーチ・市場調査・マーケティング

マーケティングコラム
2019/4/25

アドホック分析を効果的に活用する手法と留意点

アドホック分析を効果的に活用する手法と留意点

 マーケットリサーチやビッグデータの処理にはアドホック分析がよく使われます。アドホックとは「限定目的のため」や「その場限りの」という意味です。長期的な定常調査や分析とは異なり、必要に応じて必要なだけ行われる単発的な分析法です。調査に必要な設計である対象や調査方法、分析などはすべてその時のみ完結するのが特徴です。分析を効果的に活用するには、経営状態を可視化するレポート機能であるダッシュボードとのリンクと、分析結果を施策に落とし込んで有意なものにするというビジネス戦略が重要になります。
 

アドホック分析とは

 統計の世界では、顧客や市場のリサーチやビッグデータ処理の際にアドホック分析がよく使われます。時間をかけて総合的な結果を導きたいわけではなく、とりあえず今ある事業やデータに対する結果や評価をすぐに出力したい場合に用いられます。恒常的かつ定期的に継続されるデータ分析や、あらかじめ項目や内容が固定化されているデータ分析とは異なり、短期的かつ単発的に実施されるデータ分析で、処理要求が発生した際に、その都度行われるのが特徴です。短時間で完了するため、スピード感を持って結果を確認しなければならない際など、限定的に結果を出すことが求められる状況で活用されます。

 データ分析としては、データを柔軟に処理できるインタラクティブ分析や、事前に設定したプログラミングで自動的に動かすバッチ分析、データが発生するたびに処理を行うリアルタイム分析もありますが、ある仮説について深く掘ってみたり、仮説の検証を行ったりする場合にはデータをさまざまな角度から深堀することができるアドホック分析が効果的です。特にビッグデータがビジネスシーンで必須になってきた昨今、トライアンドエラーを重ねることで一定の結論や方向性を導き出すことが重要視されており、経営戦略に不可欠の分析法になっています。

 

分析目的

 現代ビジネスに求められるのは、ライバルに後れを取らないスピーディな意思決定と、単純思考に陥らないようにする複眼的な分析力です。ビックデータはデータ量だけではなくその様式も多種多様で、それらを元にビジネスにおいて有用なデータを得る、現在行っている対応が正しいかを分析するといった目的のために活用されるのがアドホック分析です。

 例えば新商品の開発におけるステップとして、若い女性をターゲットにしたAという明るい色合いの商品は1,000円でよく購入されている、と仮説を立てているとします。この仮説が正しいかを判断するために、ビックデータを用いて様々な情報を精査します。結果としてターゲット女性たちはAの類似品を購入する際にパステル系の色合い商品を1,000円程度で購入していることが多い、という結果が出たとすれば、これが仮説の裏付けとなります。逆の結果が出た場合は、異なる結果が出た要因を探し、さらに別の角度から分析を行います。得た結果を元に施策を行い、さらに仮説を立てていくといった流れで、より確かな戦略を立てることが可能となります。

 アドホック分析はあくまでも限定的に、立てた仮説が正しいのか、もしくは仮説を深堀りしたい時に行うものです。仮説だと考えているものに説得力のあるデータを付加し、具体的な施策に落とし込む作業を後押しすることできます。一度出た結果を施策に反映させて再度仮説を構築、改善を繰り返し、最終的にはビジネスパワーの向上につなげることも可能になります。このように、すぐに結果を確認したいとか、違う角度からの評価を求めて判断したいといった目的を達成する際に役立つ分析法です分析法は俎上にあるデータが正しいのかどうかだけを速やかに確認することを目的とする場合に、特に効力を発揮します。

 

アドホック分析のやり方

 分析を行う際に重要なポイントは、大きな視点でのサイクルを頭に入れて実施するということです。サイクルは3段階の連動です。

 第1段階はダッシュボードの活用です。ビジネスでは達成するべき目標に対してどれだけ進捗したかを定量的に指標化した重要業績評価指標が使われます。この指標の動向を定点観測する分析画面がダッシュボードです。担当者はダッシュボードを活用して、蓄積されていくデータの全体状態をつかみ、効果測定などを行います。この過程でデータの有意な変化があれば、なぜそうなったのかという仮説を構築し、分析に回します。

 第2段階では、この仮説にアドホック分析を適用します。分析のやり方は、基本的には仮説の内容をどんどん深掘りして、検証を進める方式です。分析によって仮説が立証されれば、第3段階で仮説を施策に落とし込んで仮説の検証が行われます。こうして三つの領域のサイクルがひと回りしたら、再びダッシュボードで効果測定などの観測が繰り返されます。分析をより効果的に行いたいと考えるのであれば、これらのサイクルを効果的に回すことが重要です。分析によって深掘りされた仮説が施策に反映され、合理的に活用されていけば、ダッシュボードの新陳代謝が進みます。出来が良いダッシュボードは意味のある仮説を立てる可能性を高め、分析のやり方も精度が上がり、最終的にはビジネスに良い形で反映されます。

 

まとめ

 アドホック分析の要諦は、短期決着が必要な場面に適合するということと、ビッグデータ活用に向いているという2点です。重要なのは、分析だけを行って終わりというのではなく、分析結果をビジネスの施策に反映させることです。ダッシュボードを活用した定点観察と仮説の構築を行い、次にその仮説を分析によって深掘りして検証結果を出し、最終的に施策に落とし込むという3工程が一つのサイクルとなってぐるぐる回すというシステムが重要になります。ビジネスシーンにおいては、一連の作業が終わったら、分析結果を社内会議などで公表して共有し、分析データをビジネスに生かす戦略が求められます。
 

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